ウィスキーグラスにみえる森のなか魔女がそだてた媚薬なる花

 捨てられた時計のなかで眠りつく少年がみる夢の路線図 

 不規則に鳴り続く帆がかき乱す航路の如き散髪の椅子

 とけているチョコとならんだサボテンがどんな棘だか思い出せない

 目が合った人とぶつかりひび割れた結婚指輪もとに戻らず

 これは夢。火をつかわない動物を檻の外からみてる休日

 駈けぬけるサラブレッドの足の影盗んだ君のヒールの一瞬

 海賊の宝の地図で永遠に転がる石とRock'nRoll

 魂を悪魔に売ってほくそえむ面のやつらとアインシュタイン

 天にある輝く星は暗黒でまわりつづけるやさぐれた石

 コーナーのミラーに映る夕暮れがさんだる履きの俺へと歌う

 丘にあるほったて小屋がゆれている。彼女のくちはまだとまらない

 床下で眠り続ける酒を出し埃を拭いギターを探す

 鼻先でとけてく雪よ クリスマスネオンが滲む通りが長い

 あたたかい毛布のなかで目を閉じてチョコの匂いにつつまれ 森へ

 アンティーク家具に隠れたかなしみが熟れた果実のシミをみつめる

 記憶では紙のおしぼり出す店と覚えているがなんの店だか

 風のなか飛んでる蝶は風に舞い流れてるのか 午後の公園

 陽だまりでゆれてる椅子を薪にしてギターで囲む炎は空へ

 眩しさに翼ひろげてとめどなく変わる砂丘の風に吹かれて

 欠けている爪で突っ込むポケットに擦り切れているシルクの手紙

 インディゴの曲がりくねった河を飛ぶ鳥を追いかけエデンを抜ける

 8回に雲が集まるグランドで白球の血を拭い構える

 ホームラン予告しながらスクイズでふいに雨降る決勝の運

 白球を追いかけている上空に星を集めた銀河があって

 南向く窓を開けばカーテンで埋め尽くされる何もない部屋

 7thのコードへうつる指先が読まずに破く手紙の音を

 砂浜で主のいない貝殻を集め続けるひとすじの線

 いつまでも友達になり思い出す 子供のころの帰宅時間を

 はくちょうが棲むみずうみでおとのない嵐の夜に裸のふたり

 珈琲が残った底の乾いてるカップが踊りC Jam Blues

 指先にタバコの匂いしのばせたウッドベースを胸に吸い込む

 汚れてる毛布のなかで本番を待つ人々に冬告げる雨