記憶では紙のおしぼり出す店と覚えているがなんの店だか




 彼女のフォークから落ちたオリーブが

 テーブルにある

 彼女は指でつまんで口へ入れた


 外は風がつよくてさむい

 手をつないで帰ってきた

 あの店から


 頑固そうなストーブにみえるシェフだった

 赤くぶっとい指だった

 おいしいと言ってもよろこびそうもなく

 ストーブの火が消えればすぐに冷えてしまうだろう

 そんな目をしている

 陽が昇る前に市場へ行くのだろうか?

 包丁を研ぐのはどれくらい時間がかかるのだろう

 そうだ

 蕪がおいしかった

 ぱりっと焼けた魚の皮がおいしかった


 友人はおいしい店があると教えてくれた

 なんの店かは覚えていない

 紙のおしぼり出す店だそうだ

 おしぼりは食べないよと俺はいった

 友人はたぶん笑った


 彼女のフォークから落ちたオリーブが

 テーブルにある

 彼女は指でつまんで口へ入れた


 外は風がつよくてさむい

 手をつないで帰ってきた

 あの店から