『水平線の太陽』
~題詠100首より後半50首~
海知らず風も大地も知らぬまま偶像作り旅立つ世界
ねじこんだタオルの水がとめどないブルース奏で落ちるデジャブー
傷ついた闇を打ち抜くサイレンは目覚める朝の輝きの音
宙空でひときわひかる星よりもこの目に似合う痛さがほしい
あこがれのとびら蹴りあげ飛び出せば遠き星空/孤独な鏡
片目閉じ故郷を離れ海岸の電車でのぞむStayGold
山手線、急がば回れ思い出し 天国経由居眠り地獄
空高く聳えるビルの疲労した錆びたネジから反乱の歌
フィクサーな爪が譜面を刻んでるYourDestiny拡がる背中
誓いなき鐘の響きを聞く闇に枕のしたでざわめく蟲ら
ひらがなで送られてきた脅迫のやさしさでまた近づく想い
乾杯のあとに一瞬おとずれるすべての星が消える暗黒
くちびるに紅茶の香りうつしてく君の渇きを満たす欲望
be free 言霊よりも肌よりも近い魂抱きしめるキス
太陽の浜をジープでどこまでも振り返らずにどこまでもいく
災害の街でピアノを親として大空向けてくちひらくヒナ
杉の木の小人が踊る頂点に輝き望み降り積もる雪
銃撃の市街地に散る言論のテロリストなるくちびるの赤
胸元の拳のあとを大阪でつけたあいつのボディーはきくぜ
彗星が重低音のエンジンを切った頭上でテイルをのばす
シベリアの鳥をギターの弦としていとしき人よ(Over To You!)
MAXにボリューム上げて答えから叫んだあとに質問がくる
ひとりでは嘘がつけずに狼をひつじは呪う/おー神よ!聴け
鉄筋の骨組み見つつ断りの手紙を破き深い足跡
リモコンの電池を回しもう一度巻き戻しみる青春の傷
弦のうえじゅきじゅきじゅきじゅき走ってる夕立抜ける蒸気機関車
アメリカに来たら英語で話せよと言ったあいつはどこでも英語
何回も同じ話を聞くうちにそっと化石になったかげろう
空を舞い落ちた帽子が散らばった墓場つくれば終わり 卒業
腫れあがる瞼の裏にバーチャルなファイル溜めてるブラインドフェイス
シャッターの音が聞こえる写真みて林檎をかじりこぼれるジュース
危うさの微塵もなくてただそこにたってる塔とはげたか
なにもない 退屈よりも幸せなことがあるかよ 預金通帳
ニュースでは液状化する東京で富士山眺め至る極楽
雲が去り月のあかりで露が落ちいつか誰かが歌ってた風
むなしさに筒をのぞけば一つ目がこっちをみてる陽がのぼるまで
黄金の君の眼差しみつめてる日差しのなかで詐欺師のきざし
焼け石の義眼に雨が落ちる日に涙が頬を伝う喜び
盗聴のテープのような味のするキスをたのしむ白い断崖
命ってたわいないから懸命になったりならなかったりするね
ふたりして並んだ日々が水中の底から俺をみてる暗室
ふりむかずのぼる空気のきらめきをしっかりとみる We Live here
もし俺が死んだらなんてこころには嘘をとおして閉じた小説
幼気(いたいけ)なふりをベッドで演じられ俺まで同化しそうでさらば
音もなく朝もや覆うホテルには残した手紙もう消える星
いっせいに飛び立つ鳥と祝福の歌をうたった終わりなき道
もう泣くな ひとつぶほどの魂はひとつの社会 アウトサイダー
裏がない たとえばそれはぎらぎらと輝く鮫の瞳ナイフ
息継ぎの模様が並ぶ水面を高いところでみてる休日
弾き終えた弦の余韻で天国に一番近いとこまで飛ばす