ドイツの政治家もそうなんだ! | いいかげんにっき

ドイツの政治家もそうなんだ!

2024年2月19日付け「南ドイツ新聞」で「教員組合は”大向こう受け政策”にうんざりしている」(Lehrerverband hat genug von "Applauspolitik")という記事を読むことができます。

 ドイツの児童生徒たちの最新のPISAでの結果(記事では「PISAの失敗」とあります)を受けて、バイエルン州の諸学校において児童生徒をどのように促進すべきか、間もなく州の文部大臣からコンセプトが発表されるという段階での、記事です。その際、記事はバイエルン州の教員組合の主張を軸にして書かれていると思いました。

 日本の政治家にもありがちですが、「大向こう受けする政策」(記事のタイトルを構成するキーワードこのように訳しましたが、直訳すると「拍手喝さい政策」となるようです)を推進しがちな政治家にたいして、教員組合の代表者は政治家は学校の現実を見ていないと批判します。

 PISA調査で明らかになったドイツ語や算数・数学の学力不足を打開するために、ドイツ語と算数・数学の授業数を増やし、そのかわりにどの教科を削除するのかを政治家は語るのですが、そもそも学校現場では深刻な教員不足が問題になっているのだと、教員組合は主張しています。

 

写真のキャプション:「ピザの失敗からの帰結として、バイエルン州の基礎学校の児童たちは、従来よりももっと良く育成され、良く支援されるべきである。ただし教員と政治家の意見は、そうありがちだが、かなりズレている。」

 

 

 以下記事本文の翻訳です

 基礎学校において算数とドイツ語の授業を増やすことについてのディベートは教員組合の議長であるフライシュマンによれば、学校の現実を見過ごしているとのことである。教員組合は教員不足と闘っており、そして官邸からの干渉にはうんざりしている。

アンナ・ギュンター著

 

 

 最近のピザの失敗後の基礎学校児童たちの育成支援に関するディスカッションは、数週間前からバイエルン州の教育政策を規定している。さまざまな思惑が大量に存在し、そして緊張とともに文部大臣アンナ・シュトルツ(自由投票者党)の育成支援コンセプトが期待されている。それは間もなく発表されることになっている。伝統的に基礎学校と中等学校の教員を代表するバイエルン州教員組合(BLLV)の議長であるジモーネ・フライシュマンによれば、しかしそのようなディベートは学校の日常をかなり見過ごしている。13の基礎学校、中等学校および支援学校の例によりながら、フライシュマンは月曜日(2月19日)にミュンヘンで「現実」を特徴づけている。

 それによれば、より多くの算数とドイツ語のためにむしろ英語あるいは宗教が削られるべきであるのかどうか、という問いはまったく出されていない。教員が不足しているゆえにかなりの数の授業が補充なく取りやめになっているとき、育成支援のための時間を設ける余裕はないのだ。公式記録によると、先の学校年度(2022年9月からの1年)において諸学校のすべての授業の0,9%が補充されずに取りやめになっている。バイエルン州教員組合(BLLV)は、例示的に調査された第5および第6カレンダー週のなかで、5%あるいはまた8%という明確に高い値に達している。その際、代行授業ないし2クラスの合併授業は計算に含められていない。そうしないと授業の質が度外視されるからである、とフライシュマンは述べた。「クラスを知らないか、あるいはまったく教師でない人々が代行授業をするからである」。

 シュヴァインフルトの校長であるサブリナ・ネコフは、数週にわたって気管支炎と肺炎をわずらっていながら授業した女性同僚について語った。その同僚がなぜそうしたのかというと、横はいりする人(=かわりに担当する人)をかの女のクラスの前に立たせたくなかったからとのこと。「わたしはかの女を家に帰したかったです。しかしかの女は正しい。わたしはそのことを教員でない人に要求できません」とネコフは語った。ネコフによると、その第2学年では23人の子どものうち15人がドイツ語を一言もできず、そしてトルコあるいはウクライナの難民キャンプからのトラウマを抱えているとのこと。イスマニンクのある基礎学校の校長は、幾人かの教師が時間単位で授業補充のために中等学校に出向いていること、そして退職教師なしではまったくその学校はうまくいかないと語った。

 状況は州の2418の基礎学校、948の中等学校および352の特別支援教育センターのすべてにおいて、上述ほどドラマティックであるわけではない。しかしまさに基礎学校、中等学校および支援学校はここ数年来、とりわけ教員不足に見舞われていることは確かである。その状況のもとでは、子どもたちの特別な支援は考えられないと、バイエルン州教員組合(BLLV)に属する学校長たちは説明した。特別支援の授業あるいはインクルーシブな授業が最初に抜け落ちる。通常の営みを進めるために。

 「政治が討議していることと現場で実際に進んでいること」の間には「決定的なズレ」があると、バイエルン州教員組合(BLLV)代表は語った。かの女はどのような考えにとりわけうんざりしているかを、その考えの持ち主の名前を挙げることなく、明らかにした。フライシュマンはなかでも「大向こう受け政策」と、学校の現状について「まったく知らない人々の記者会見」に抗議した。首相マルクス・ゼーダー(CSU:キリスト教社会同盟)は先に、1月にCSUの党派会合の折に、教員不足をなかんずくパートタイムの制限によって緩和し、ドイツ語と算数を増やすために最善であるのは基礎学校の英語を削除することであると提案し、しかし同時に宗教はタブーであると宣言した。「今や楽しみは終わっている。わたしたちは政治的に攻撃的な言明も、問題にたいする見かけ上簡単な解答も必要としてはいません」とフライシュマンは述べた。

 ドイツ語と算数を増やすための削除協奏曲を、フライシュマンは拒絶した。子どもたちはすべての教科を伴う全体的教育を必要とすると、専門家は伝えている。しかしそのような願いは目下、たいてい教員不足により挫折しているということを、フライシュマンは否認しない。フライシュマンの解決策は次の通りである。教員の仕事はより魅力的でなければならない。そのためにピアツォロ・パッケージはなくならねばならない。2020年に、シュトルツ文部大臣の前任者であるミハエル・ピアツォロ(自由投票者)は申請にもとづくパートタイムを明確に制限し、そしてすべての基礎学校教師にもっと仕事をするように指示した。その結果、勤務できない教師の事例が増えたのだ