いつもお読みくださり，ありがとうございます。皆さん，こんばんは。元JWのスッパイです。
いったんカルト宗教のマインド・コントロールにはまってしまったなら，そこから出て来ることは，かなり，難しいと思います。
阪神大震災
わたしがエホバの証人になった1975年から，20年近くが経過した1995年に，阪神大震災と，地下鉄サリン事件という二つの大きな出来事がありました。
当時，わたしのいた会衆の区域にも，サリン事件を起こした、問題のカルト宗教の教祖の顔写真のポスターがあちこちに張られていました。
エホバの証人をしていたので，普段は，あまりテレビを見ませんし，マスコミはサタンだと教えられていましたから，ニュースを熱心に見るという事もなかったのです。
関西で育ったわたしは，阪神大震災の様子が気になっていました。テレビで，災害の様子が映し出されていました。被災者の皆さんが画面に映し出されているにもかかわらず，被害が大きすぎて，救出が間に合いません。火が燃え広がっていく様子が放送されているのに，何にもできないのです。
数か月間は，テレビで，震災の様子や，その後の救出などのニュースを熱心に見るようになりました。ものみの塔は，あまり，このようなニュースを見るために，時間を取られすぎて，王国の業がないがしろにならないようにと，信者に警告していたことを思い出します。
この大災害で，エホバの証人の仲間が，大勢亡くなりました。それまでは，世界各地の災害で，多くの死者が出ても，エホバの証人の死者は，一人もいませんでした，などという報告が多かったので，やはりエホバが救ってくださったんだ，などと思っていました。ですから，数十人が亡くなった，この大地震で，「どうして，エホバは，仲間を救ってくださらなかったんだろう」と，まじめに疑問を感じました。
地下鉄サリン事件
マスコミは，何か月にもわたって，あきらめずに阪神大震災を報道し続けていました。このおかげで，テレビのニュースをみる習慣ができてしまいました。これは，エホバの証人にとっては，もちろん，良くないことだったのです。
このころ，地下鉄サリン事件や，松本でのサリン事件，などがあり，いったい何が起きているんだろうと思える，不思議な事件が続いていました。
そんなある日，突然，テレビの画面に，大勢の警官が，宗教施設の中に，入っていく様子が放送されたのです。なぜ，宗教施設に，警官が大勢入っていくんだろう，当時は，そんな感覚でした。地下鉄サリン事件などの犯罪が，宗教団体によって起こされていたなど，想像もしていなかったからです。
阪神大震災の報道のおかげで，テレビのニュースをみる習慣が出来上がっていました。毎日，この宗教団体に関する報道を食い入るように見ていました。
この事件では，驚いたことばかりでしたが，なかでも，普通の暮らしをしていた優秀な大学生が，ひとたび，この宗教の教えに接すると，マインド・コントロールされてしまい，ついには殺人命令に服するまでになってしまうという事です。
海外でも，カルト宗教団体が，集団自殺を起こした事例もありましたが，まさか日本で，宗教が，こんな事件を起こすとは，本当に，ショックでした。
新聞記事
それから20年以上たった2018年の事，ある朝，新聞の一面記事を見ていて，とても不思議に思いました。「地下鉄サリン事件を起こした死刑囚に死刑が執行された」という記事です。
なにが不思議なのかというと，最近，この教団にかかわらず，カルト宗教のことが，ほとんど報道されてこなかったことに，気が付いたのです。決して忘れることはありませんが，それにしても，まだ処刑されていなかったんだ，というのと，どうして今，死刑が執行されたんだろう。この教団の最近の活動はどういう風なんだろう。ほかにも問題のある宗教は，たくさんあったと思うのだけれど，報道されないということは，問題が少なくなったという事なのかなー，などと，いろいろと思いめぐらしていました。
ところが，処刑されないどころか，逮捕もされていない有名な信者がいることに気が付きました。この人は，なぜ逮捕されていないんだろう。という疑問もありましたが，もっと大切な，決定的な疑問が心の中から，沸き起こりました。
自分は大丈夫なんだろうか?
あのような大事件を起こしてから20年以上も経っているのに，まだ，この宗教に信仰を持っている人がいるのか。大勢の幹部が死刑になったのに，それでも，信仰をやめていないなんて，どういうことなんだろう。
待てよ！ ，，，，，
わたしは，大丈夫なんだろうか。
エホバの証人になって42年が経っていました。いままで，一度も考えたことがない感情でした。自分は，大丈夫なんだろうか。
そういえば，親戚や親から，「スッパイちゃんの宗教は大丈夫なの。だまされているんとちゃうか」などと，何度も言われていたんです。
インターネットで検索
自分は大丈夫なんだろうか。エホバの証人の宗教は，どうなんだろう，と初めて不安に感じました。そして，地下鉄サリン事件に関連して，いまだに信仰をもっている有名な信者を検索してみました。すると，「マインド・コントロール」というキーワードに出会います。マインド・コントロールで検索していくと，1995年に放送された古いテレビの特集番組を見ることができました。
この古いビデオの中で，ひとりの女の人が，「自分の宗教にそっくりだと思った」と述べていたのです。手に持っている本は，エホバの証人の書籍でした。それでも，エホバの証人が危険なカルトだとは，すぐに，結びつかなかったのですが，それでも，関連したビデオを見続けました。
そして，とうとう，ひとつの決定的なビデオを見つけてしまいました。
ふたつの大会ホールを使用しなくなるという発表を王国会館で聞いたとき，ざわめきがありました。わたしも，なんとも言えない気持ちになりました。しかし，このビデオに出会った時，エホバの証人に対して持っていた，あらゆる疑問の答えが得られたように感じました。
30年間の空白
4年前に，地下鉄サリン事件の新聞記事を見た時，カルト宗教に関する報道を久しぶりに見たように感じました。そして，今年，エホバの証人をやめてから初めて，カルト宗教に関する熱意ある報道番組を見ることになりました。
そうすると「30年の空白」があったと言われるようになりました。わたしの感じていた通りだったのだと納得しました。
報道にもあるように，無理にマインド・コントロールを解こうとしても，また戻ってしまう事もあります。覚醒は，ほんとうに難しいものなんだと感じます。
それでも，こうした報道番組をとおして，自分の宗教はどうなのか，大丈夫なのかと思う人も出て来るのではないかと期待しています。
危険なカルト宗教といっても，種類も外見も規模も，いろいろあります。こうした宗教のせいで，苦しんでいる信者や，家族のかたもおられると思います。わたしのように，マインド・コントロールが強くて，自分が，そのような宗教に属していることに，全然，気が付いてさえいない人も，けっこう大勢いることと思います。
カルト宗教に関して，これほど多くの報道がなされることは，なかなかないと思うので，これが一つのきっかけとなって，ひとりでも多くの方が解放されることを願っています。