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MV-Agustaブルターレ1090RRを持っている私、福田モーター商会で新しく出たブルターレ800に試乗してみました。記事の①に続き、乗って感じたことを少し詳しく、そして正直に書いてみましょう。
1.とても良くなったエンジン、街乗りでも使いやすい、そして軽さが美徳
アグスタの800エンジンが初めて世の中に出た数年前、最初の「イタリア」というバージョンに発売直後試乗しました。その後、3気筒モデルは、F3、ツーリズモベローチェやドラッグスターにも試乗しました。
イタリアで感じたネガな部分、アクセルを開けてもすぐにレスポンスしない、エンジンが急に盛り上がって急かされる、そして扱いにくいなあ、という感じ、そういったものはほぼ完全になくなっています。
もちろんエンジンのパワーは800とは思えないほどあります。特に回せばすごいものが。街乗りでも少し回すと推進力はどんどん高まります。ただ、1万とか回すわけじゃないので、扱えないような印象はありませんから大丈夫。
116HP、その出力を出す回転数は11,500rpm。でもね、試乗車はまだ17㎞しか走っていないまっさらな新車、5千も回すのが憚られます。そもそも私自身車がたくさんいる公道で高回転を使うはずもないし、普通のライダーは皆さんそうでしょう。
ということは、あまり最高出力の数値は気にしない、つまり「116HPの潜在的実力のあるバイクなんだ。すげえ!」という程度の感覚が一般ピープルとして正常だと思います。
軽いと取り回しも楽だし(乾燥重量175㎏)、パワーの出方も素直です。ここが一番の美徳でしょう。
2.デザインは秀逸だが、トンガってはいない
ドラッグスターRRといったトンガリデザインに比べると、ミラーも普通だし、ホイールも普通だし、普通感が強いです。もちろんおしゃれ感はかなり強いですね。
ちなみにタイヤはピレリのディアブロロッソⅢという日本では今年新発売のものでした。
本国仕様と同じ3本出しマフラー、もう当然のことになりました。不格好な一本出しはやめて下さいね、今後も。市販車そのままで出力も本国と同じなのですからこの点でも大きく改善しました。
アグスタを欲しいと思う人は、「トンガリデザイン」を望む人が多いのか、普通感のある「オサレデザイン」を望む人が多いのかは分かりませんが、こういう『小粋系』なバイクってシブくていいなって思います。
アグスタに特徴的なタンク形状ですが、現実にニーグリップするとタンク凹みに膝が当たるわけではなく、タンク下のフレームに膝が当たります。身長170の私も、184㎝の営業池田さんでもそれは同じ。身体のデカイガイジンサンでも同じことですから、デザイン重視なんでしょうね、そこは。
前から見ると、アグスタの最近のデザインとしてはかなり控えめだなあって思います。
独特な形のヘッドランプは、ブルターレの兄貴分と同じ。色々なものが最小限付いていて軽量化が見てとれます。押し引きは楽ちん。
ステップは当然やや高め。ポジションが不自然な前乗りでもないのは嬉しいし、シート後部にこぶがあるので、お尻を後ろにずらした時「ここまでだね」って明確に分かります。多少堅めのシートはアグスタらしいし、830㎜のシート高は小柄な人にはやや厳しい。でも、私くらい(170㎝)なら全然問題なし。
デザインとしては、このマークが一番カッコイイかも。マットブラックのペイント、赤いフレームの取り合わせがブルターレ800の色の中で一番セクシーだと思います。
3.ちゃんとした各種性能
ブレーキは効きます。フロントはキュッと確実に効きます。しかし、この手のハイパワー、高回転型バイクを公道でギャンと回して前車が信号停止、アレアレッという間に突っ込む。そんな事態は嫌ですよね。ブレーキは効いても、アクセルをギャンと回した状態ではすぐには止まれませんから。注意深い加速と制動のコンビネーション、試乗でもそれは心がけました。
マルゾッキのサスとブレンボのブレーキ。私の1090RRにはニッシンのブレーキなのでこちらの方がコストが高いですね(笑)。
クラッチはワイヤ引き。トライアンフのモダンクラシックのクラッチの出来が良く、BMWのR系の油圧クラッチも使いやすいので、それに比較するとまだ重いと思います。今後アグスタも同じようなクラッチの採用を行うべきですね。でも、1090RRの油圧クラッチよりブルターレ800のクラッチはかなり軽い。
モード切替も簡単なので、試乗の半分くらいはスポーツモードでした。めちゃくちゃにやんちゃになる1090と違い、800のスポーツモードは扱いやすいと感じました。
メーター類は、普通に使えるもの。1090などの見にくいアグスタスタイルから改善しております(笑)。イマドキのバイクとしては、当然のことと思いますが、さらに見やすくなるとアグスタらしくないんでしょうねぇ。
モード切替も簡単なので、試乗の半分くらいはスポーツモードでした。めちゃくちゃにやんちゃになる1090と違い、800のスポーツモードは扱いやすいと感じました。
メーター類は、普通に使えるもの。1090などの見にくいアグスタスタイルから改善しております(笑)。イマドキのバイクとしては、当然のことと思いますが、さらに見やすくなるとアグスタらしくないんでしょうねぇ。
水温計をウォッチしていましたが、渋滞でもガンガン上がるわけでもなく、街乗りで使えるバイクであることは十分確認できました。これは安心ですね。エンジンからの熱は停まっていると登ってきますが、フレームまでカンカンに熱くなるというようなレベルではないのでご安心ください。
シート下にはABSのユニットが納まっています。ベッタイ式ETCも見えないところに収納されていました。
4.乗ってみて率直な感想
パワーはありますから、最初は慎重にアクセルを回しましょう。1090RRオーナーの私にとっては、パワーレベルに感動はしませんが、それだからこそ怖さが少なく、かなりアクセルを開けて乗ることができると感じました。そうなると乗ることがより面白くなりますね。1090RRじゃ怖くて開けられない局面も多いですから。
車体のサイズ感も小さめだし、軽さが一番の美徳なので、空いている道で加減速しながら楽しむようなスプリンターとして使うのが一番楽しそうですね。ツーリングも行けますが、長距離を低速で走るようなことはあまり想定していないと思います。
個人的には、デザインをもっと尖ったものにしたいと思います。赤や緑といった差し色を車体に加えてみたいですね。派手好きなものですから。
イタリア~ンなバイクに乗ってみたい、しかしリッターバイクは値段もパワーもすごすぎる、そういう方には、ジャストフィットな使いやすい(あくまでもイタリア~ンとしてはですが)バイクに仕上がっています。
それにしても、試乗のために乗っていった重くてデッカイ私のモトグッツィ1200スポルトとブルターレ800って全く違うタイプですね。どちらもステキだと思います。


