「大韓民国法概説」を読みました。

この本は、建国後の法制度のみならず、

植民地時代(及びそれ以前)の法制度について

も学ぶ事が出来るので、韓国戸籍に携わる

人にとっては、有益かと思います。

 

また、最近、東京都行政書士会で、

韓国戸籍についての研修も受けました。

 

それらを踏まえて、戦前の韓国の養子制度

について考察していきたいと思います。

 

 

<普通養子制度>

植民地時代の朝鮮半島では、大日本帝国の法制度

が適用されていましたが、朝鮮民事令第11条前段本文

によって、親族・相続については、

韓国の慣習法が適用されていました。

しかし、その後朝鮮民事令は度々改正され、

1939年11月の第三次改正により、日本民法の

氏に関する規定や、婿養子縁組の無効・取り消しに関する

規程等が依用され、更に、異姓養子制度も追加

されました。

この時から、普通養子制度が法的に開始された

と言って良いかと思います。

なお、独立後、日本の法令が依用される事は無くなり

ましたが、現代に於いても、韓国民法で(普通)養子

制度は定められております。

 

 

<特別養子>

韓国では、「親養子」制度と言いますが、

日本同様、比較的最近出来た制度です。

(韓国では2005年、日本では1987年に制定)

 

 

<戸籍上の記載>

・普通養子

     (普通)養子になっても実父母との親族関係は残り、

     戸籍に実親の名前が記載され、養親と養子の

     続柄は「養子(または養女)」と記されます。

 

・特別養子

      日本では、「民法817条の2による裁判確定日」

      に、養親の戸籍に入る事となり、戸籍にも

      「民法817条の2による裁判確定日」が記載されます。

        (ですので、実子で無い事が判明します。)

      なお、養子の続柄は「長男(長女)」など

      と記載され、実父母との親族関係は消滅します

 

 

 

さて、個人的な話で恐縮ですが、私の実の祖父は、

1914年に東京で生まれた在日韓国人です。

9歳の時に関東大震災を経験し、

28歳の時に佐渡島の神主の娘であった祖母

と結婚し、婿養子になりました。

その結果、内地人(戸籍上の日本人)となりました。

 

どういう訳か、祖父の出生届が韓国 慶尚南道 統営

の役所に提出されたのは、結婚の直前でした。

おそらく、結婚に際して、戸籍が無いのは良くない

という事で、急遽提出されたものと思われます。

 

それまで、祖父は、自分が日本人だ、という

「作り話」(韓国戸籍専門の行政書士による言)

をしていました。

 

当時は、朝鮮人に対する差別が激しかった為、

日本人になりすます朝鮮人は、かなり居たようです。

 

ですが、戸籍は嘘をつきません。

祖父の父は、慶尚南道の統営に住んでいましたが、

祖父を「実子」として出生届を出しました。

 

先に述べたように、1939年11月に異姓養子制度

(今の普通養子制度)

が朝鮮半島でも制定されていた為、もし、

祖父が実の子で無い(即ち、日本人である)

なら、「養子」として

届け出れば良かった訳です。

 

 

 

これは、卑近な例ですが、このように、戦前は

日本人になりすます朝鮮人が多かった事と、

日本や韓国の戸籍制度の違い、その他

複雑な背景により、韓国戸籍を読み解く

にはかなりの予備知識が必要になります。

 

 

当行政書士事務所でも、韓国戸籍

(2008年1月1日以降は、「家族関係登録簿」)

の取得代行を行っておりますので、

お気軽にご相談下さい。

 

 

国際行政書士北岡事務所

北岡健太郎

paul-ken★ymobile.ne.jp

(★を@に換えてお送り下さい。)

한국어로도 가능합니다.