この3月末で、大学院を卒業となる(見込み)。
音楽科の場合は、卒業試験(演奏および論文の発表)とは別に、『卒業演奏会』というものがあって、卒業試験(非公開)で演奏したものを、一般の方々に発表するのが恒例となっている。まぁ実質的には、大学で学んだことを、親族や、知人・友人に、“お披露目”するための発表会だ。
大学院卒業にあたって、作曲専攻である私は、作品(作曲)と論文を提出するつもりだった。しかし、時間的に厳しかったので(笑)、作品については、卒業演奏会で発表することにして、卒業試験としては、論文一本に絞った。
この論文の内容については、卒業試験での発表の後に、このBlogで紹介しようと思っていたのだが・・・、卒業演奏会が1ヶ月後に迫っていたので、そんな余裕もなかった(^^;。
さて、論文についての詳細は、いずれ書くということにして(←本当か?)、卒業演奏会で発表した作品について書くことにする。
曲名: 『少女』 (詩:園田恵子)
編成: ソプラノ+シンセサイザー
以前、このBlogの『校歌を作る』で“良いメロディーを作るのが根本的に苦手”と書いたにもかかわらず、歌なんかを作ることにしたのは、同じ科で一緒に卒業する学生が、声楽専攻(ソプラノ)だったから・・・という単純な理由(^^;。
とは言え、普通にソプラノとピアノ伴奏というありふれたスタイルにだけは、(自分の性格から言っても)絶対にしたくなかったので、例えば、管楽器をプラスしてトリオにするとか、いくつか案を考えていた。しかし、イメージに合った楽器を演奏できる人が見つからないとか、練習できる時間の問題とか、そもそも卒業演奏会に外部の演奏者を使うことが出来ないという制約もあって、二人で演奏ができるスタイルで、通常では無いもの・・・ということで、私がシンセサイザーで演奏することにした。
シンセサイザーを使うという発想に至った要因は、2つある。
1つは、このBlogの最初の記事として(偶然?)取り上げたPerfumeの影響。
Perfumeは、あの後に、NHKの環境・リサイクルキャンペーンソングとなった、『ポリリズム』で、大ブレイクしたようだが(*1)、今、流行っているからどうかには関係なく、私が最初にPefumeを聴いた時の“新しいテクノポップ”の好印象からである。おかげで、機械的な音色を使うことに抵抗がなくなった・・・というより、あえて使いたくなったというわけだ。
このこともあり、1月の最初に、KORGのアナログモデリング・シンセサイザー『RADIAS-R』(*2)を買った。Pefumeの影響というと言い過ぎだが、発売当初から興味があった、このRADIASを本気で買おうという“後押し”となったことは確かだ。
2つめの要因・・・というよりは、経験と言ったほうが良いのかもしれないが、かつて、バンド活動していたTitania
。
キーボードという「見た目が地味」な演奏スタイルをどう“見せるか”ということで、導入した、ショルダー・キーボードのRoland AX-1を持っていたということ。AX-1は、キーボード・コントローラーなので、これだけでは音が出ないが、これを、RADIAS-Rにつなげて演奏したら、ステージで、しかも、クラシック演奏が主となる卒業演奏会では、インパクトがあるのは間違いない(笑)。
さて、演奏形態は決まったところで、肝心なのは曲だ(^^;
今回、歌詞として選んだ『少女』という詩は、いわゆる現代詩で、かなり昔に、歌をつくるネタとなるかもしれないと買った詩集の1冊の中にあったもの。実際に歌を作るかどうかはともかくとして、自分が好きな現代詩は、表面的な表現は綺麗だが、深く読むと、女性らしい(?)情念のようなものを感じる作品。「その奥には真実が潜んでいる」というものに魅力を感じる。また、面白いことに、“血”とか“刃物”のような強烈な言葉は、意外にも男性より女性の詩人のほうがよく使う。その言葉の持つ、鋭さや怖さと、前衛的な現代音楽の尖った響きに、ある種の共通性があると感じている。
一方、現代音楽といわれるクラシック音楽のジャンルは、玉石混淆であり、難解で、聴衆不在とも言われている。クラシック音楽を好む人でも、ほとんどが近代より以前のものを聴いているし、一般に多くの人々は、ポップスやロック、ジャズを聴いている。
また、ここで私の性格が出てしまうのだが(笑)、だからと言って、流行りのJ-POP的な音楽なんか作る気はない。そういう音楽なら、他にいくらでもあるし、(自分でなくても)そういう音楽を作るセンスの長けた人が、良いものを作ればいいと思っているから。(かといって、そういう音楽が簡単に作れるとは思っていないし、キライなわけではない)
では、“自分らしい音楽”とは何か?
実際、それが判れば苦労はない(笑)。だが、かつて自分が作った作品の中で、自分が納得いっている音楽に、その答えの一部があると思っている。その作品について説明し始めると、また長くなってしまいそうなので(^^;、ここでは、結論だけ言うと、
“日本の伝統音楽(純邦楽とも言われる)と現在の音楽の融合”
である。日本の伝統音楽とは、言うまでもなく箏曲や能楽など、日本古来の音楽のことであり、“現在の音楽”とは、ポップス、ロック、ジャズなど、現在のあらゆる音楽ジャンルを含めた、まさに、今、普通に耳にする音楽のことである。
「○○と□□の融合」・・・などというのは、語り尽くされた感があるが、実際に融合といっても色々な段階や解釈があると思う。私が考える“融合”とは、ただ混ぜたということではなく、
“異なるモノが解け合って全く新しいモノとして昇華した”
という高度な意味で考えている(^^;
とは言え、実際にそんなモノがそう簡単にできるわけもなく、あくまで“目標”としての位置づけであるのだが・・・。
ここまで、大きな事を言ってしまって、「実際にそういう音楽が出来たのか?」と突っ込まれると、言い訳のしようもない(大汗)。ただ、発表から数週間経った今、振り返ってみれば、“目標”への何らかのヒントが少しだけ見つかった気もする。
(前置きだけで、あまりに長くなってしまったので、ここでいったん終了)
(*1)
『ポリリズム』の初回限定版がプレミアとなっている。店で見たときに「シングル盤だから、まだ買わなくていいや」と思って買わなかったことが、今となっては悔やまれる。ちなみに、Blogで紹介した『Complete Best』は、私が買ったのは、しっかり初回限定版だった(笑)。誤解の無いように言っておくが、プレミアになるようなものを持っていたら嬉しいというだけで、持っているものを売る気は無いし、プレミアとなったものを高額で買う気もない。
(*2)
KORG 『RADIAS-R』 製品のサイト>> http://www.korg.co.jp/Product/Synthesizer/RADIAS/
シンセサイザーの音づくりが複雑になる一方で、デザインやコストの関係から、ボタンやツマミ類が少ない製品が多い中、このRADIASは、昔のアナログシンセサイザーを彷彿させるような操作パネルで、音づくりのし易さに長けている。私が、買ったRADIAS-Rは、鍵盤を除いた音源モジュールだけのものである。鍵盤は、AX-1を使う前提だったことと、家に置く場所や、鍵盤の無い分安価であることも考えて、RADIAS-Rにした。