1.フランス政局の現在

 

フランスで大規模な規模なデモが行われている。

 

マクロン大統領が中道右派のベテラン政治家ミシェル・バルニエ氏を首相に指名したことへの抗議デモなのだ。

ヨーロッパの多くの国が右翼勢力の伸張があり、それに対抗する左翼も伸びているところがある。

それがフランスなのだ。

 

7月の選挙の結果議席はこうなった。

 

 

マクロン大統領が実施を決めた7月の総選挙の結果、国民議会(下院、議席数577)はNFPが193議席、マクロン大統領の与党連合は166議席、「国民連合」(RN)は142議席と、どの会派も単独で過半数を得られていない。

このためバルニエ首相の第一の課題は、安定政権を築くことになる。しかし、中道左派の社会党はすでに不信任案の提出を計画している。

マクロン氏は複数の首相候補を検討していたものの、就任直後に予想された不信任決議案を乗り越えられることが必須条件とされた。

マクロン大統領は8月末、左派連合NFPは国民議会で信任を得られないとして、NFPが擁立した首相候補を拒否。NFP内の最大会派「不服従のフランス(LFI)」を率いるジャン=リュック・メランション代表は、「選挙がフランス国民から盗まれた」と反発。7月7日の総選挙で最多議席を得たNFPから首相が出るのではなく、「一番少なかった政党」、つまり共和党から首相が出ることになってしまったと不満をあらわにした。

メランション氏は、「これはもはやマクロン=ル・ペン政府だ」と、極右RN党首の名前を大統領と並べて批判。バルニエ首相の不信任に賛成するよう、広く呼びかけた。

 

 


また、左派連合に参加する極左「不屈のフランス」のジャン・リュック・メランション党首は、民主主義では敗北を受け入れる謙虚さが必要だと主張。デモ参加者に「長い戦いに着手する」よう呼びかけている。

主催者側の発表によると、フランス全土で約30万人、うちパリで16万人が平和的なデモを実施した。警察の発表ではパリのデモ参加者は2万6000人となっている。

抗議デモは国内130カ所で行われた。デモ参加者はマクロン氏が有権者を裏切ったとして、弾劾を求めている。

世論調査機関エラベが6日公表した調査結果によると、有権者の74%はマクロン氏が選挙結果を無視したと回答。選挙が「盗まれた」との回答は55%だった。

 

 

2.フランス共産党の存在

 

志位議長が訪問したフランスの共産党はどうなっているのか?

 

共産党は国会に議席をもっているが一大勢力ではない。

しかし、左派連合として国民議会で17議席、上院で18議席を確保している。

それに対して、不服従のフランスは国民議会で72議席を確保した。

 

 

 

 

ソ連と親しかったフランス共産党は、ソ連崩壊後である1994年1月の第28回大会で民主集中制を規約から無くした。

それ以降、党内組織の改革を行い、党内の考えの多元化を認めており、党内民主主義がフランス共産党内に初めて誕生している。

以降から、フランス共産党メンバーごとの思想傾向によって、簡単に党内グループを分類できる。

多数派:マリー・ジョルジュ・ビュフェからピエール・ロラン体制に至るまでの現在のフランス共産党の路線を支持するグループ。その名の通り、党内の主流を占めている(70%以上)。フランス社会党をパートナーと見做している。左翼戦線の主要な支持母体。


正統派:1990年代以降のフランス共産党の変貌(民主社会主義政党化)に反対し、伝統的なマルクス・レーニン主義に忠実なグループ。この派閥は現在のフランス共産党が政党連合「左翼戦線」を組んでいることを手ぬるいとしており、また、左翼戦線の代表ジャン=リュック・メランションを快く思っていないとされる。社会党との連携にも反対している。また、欧州連合やユーロからの脱退を支持している。このグループに属していた一部の党員はフランス共産党を離党し、新党を立ち上げた。このグループの党内比率は約10%。


保守派:ジョルジュ・マルシェの支持者による小派閥。


反撃派:トロツキストの派閥。国際マルクス主義潮流(IMT)の一員。トロツキストの基本戦術である加入戦術をフランス共産党に対して行っている。社会党との連立に否定的で、マルクス主義の基本に忠実なところまでは「正統派」と似ているが、スターリン主義とソビエト連邦に批判的である。左翼戦線の支持勢力の一つ。このグループの党内比率は約10%。


ユー派:ロベール・ユーの支持者による派閥。社会党やその他中道左派政党や環境政党との幅広い連立に肯定的である。ただ、ユー自身は離党こそしていないものの、現在のフランス共産党指導部との関係が疎遠になっている。


改良派:改良主義者による派閥。フェミニズム、エコ社会主義、ユーロコミュニズムを指向する。この派閥のメンバーの多くはフランス共産党を去ったが、かなり昔から共産党内部に深く関わってきた派閥であるとされる。ジョルジュ・マルシェによるソビエト連邦の意向に常に従う保守的な党運営や、民主集中制自体にかなり批判的であったとされている。2002年と2007年の大統領選では共産党候補を支持しなかった。その代わり、フランス共産党再建のために、極左や環境政党含む幅広い左派勢力との連携を声高に主張した。

 

 

 

志位議長は5日にフランス共産党の幹部と会っている。

懇談もしたみたいだ。

 

 

日本共産党の志位和夫議長は5日、最後の欧州訪問地となるフランスの首都パリに到着しました。到着駅でフランス共産党のバンサン・ブレ全国執行委員・国際担当責任者のあたたかい歓迎を受け、あいさつを交わしました。

 

 

ヨーロッパの共産党は30年前に民主集中制を捨てて、党内民主主義を持った政党に生まれ変わった。

 

その後、30年間、スターリニズムの官僚制と中央集権主義と面から向き合わなかったのは、先進国では日本共産党だけだ。

 

 

志位議長はフランス共産党の幹部と党内情勢について、意見交換したのだろうか?

 

民主集中制について突っ込んだ議論をしたのかもしれない。

 

今回のヨーロッパ訪問が成果になることを期待する。

 

帰国後の志位議長の談話が楽しみだ。