「桜を見る会」とは何だったのでしょうか?
2019年5月に「桜を見る会問題」が表面化しました。第2次安倍政権での桜を見る会の開催にいくつかの問題があると指摘され、国会で与野党による真相究明が始まります。
2019年10月4日に召集され、12月9日までの67日間の第200回国会で行われた審議時間をcopilotに聞くと、15時間12分だったようです。
第200回国会の審議時間をテーマ順に並べるとこうなります。
1位 日米貿易協定 - 約30時間
2位 桜を見る会 - 15時間12分
3位 日米デジタル貿易協定 - 約9時間21分
4位 ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案 - 約8時間
5位 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律の一部を改正する法律案 - 約7時間
6位 独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案 - 約6時間
7位 消費税増税に関する議論 - 約5時間
8位 年金制度改革 - 約4時間30分
9位 教育無償化 - 約4時間
10位 防衛費増額 - 約3時間45分
11位 環境保護政策 - 約3時間30分
12位 地方創生政策 - 約3時間
13位 労働法改正 - 約2時間45分
14位 医療制度改革 - 約2時間30分
15位 災害対策 - 約2時間
特に日米貿易協定の次に桜を見る会に関する審議が多くの時間を占めていたことがわかります。
1.桜を見る会で問題視されたこと
そもそも桜を見る会で何が問題視されたのでしょうか?
2019年4月13日に開催された桜を見る会について、当初の予算の三倍となる約5518万円に上っていたことが衆院決算行政監視委員会(同年5月13日)で明らかとなり、問題視されました。
第二次安倍政権における2019年以前の5年間、支出は毎回設定されている予算額を超過し、金額・参加者共に毎年増え続け、2019年度の参加者は約1万8000人となっていました。
招待客に保守系の文化人ら(百田尚樹、有本香、ケント・ギルバート等)や自民党関係者や後援会の参加が多数確認されたことから、以前から安倍晋三首相らに私物化されていたのではないかと批判されました。
予算の3倍の5500万円も使っている。つまり予算は1840万円くらいだったのです。
ところでこの予算の金額ですが、ホテルニューオータニ東京だったら、会場の収容人数は立食で最大2500名です。そして、1人あたり約16,000円のようです。
この単価を参考に1万8000人で見積もると、総額は2億8800万円になります。
桜を見る会は誰が予算を考えたのかわかりませんが、まず予算の立て方が間違っているのがわかります。
まあ、そこを誰も突っ込まなかったのですが、その頃、国会とマスコミで問題にされたのが大まかには次の3点です。
1. 招待した支援者・関係者を見ると、公職選挙法の疑いがあり、処理方法には政治資金規正法違反の疑いがあるのでは?
2. 桜を見る会には反社会的勢力が参加していたのでは?
3. 招待者名簿の廃棄などには公文書管理法違反があるのではないか?
2.公職選挙法違反と政治資金規正法違反について
桜を見る会が始まったのは1952年ですが、その前身となる「観桜会」は明治時代からありました。
当初は国際親善を目的とする皇室主催の行事でしたが、現在の桜を見る会の目的は、「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労するため」となっています。
コロナ前の民主党政権のときでも、皇族、元皇族、各国大使、国会両院の議長・副議長、最高裁判所長官、国務大臣、都道府県の知事、各界の代表者など、約1万人が招待されていました。
しかし、第二次安倍内閣のときに催された桜を見る会では、公職選挙法と政治資金規正法に関連して以下の点が問題視されることになりました。
具体的には、内閣総理大臣主催の桜を見る会そのものと、その前夜に開かれた安倍晋三事務所主催の前夜祭等のツアーについてのそれぞれの問題です。
内閣総理大臣主催の桜を見る会:
・予算額を超えた支出と予算の増額
・招待客の人数が膨れ上がっていること
・縁故者を優先して呼んでいる可能性が疑われていること
この会は2020年度の開催中止が発表され、さらに菅首相時に2021年以降の桜を見る会についても、中止することを表明しました。
安倍晋三事務所主催の前夜祭等のツアー:
・安倍晋三後援会が主催する桜を見る会をツアーの中に組み込んだイベントが行われており、その中で供応接待等の「寄付行為」が行われていたのではないかという点が問題視されました。
・ホテルニューオータニでの会食について、通常よりも割安で提供したのではないかという疑惑があり、その場合には寄付行為になる可能性が指摘されていました。
結論として、安倍元首相は政治資金規正法違反(不記載)と公職選挙法違反(寄付行為)の両容疑で告発されましたが、特捜部は嫌疑不十分で不起訴と判断されました。
ただし、公職選挙法違反については公職選挙法199条の5違反が指摘されていましたが、内閣総理大臣主催の桜を見る会は公選法違反の話ではなく、政治資金規正法上の義務違反疑惑も政治団体の会計責任者に課せられている義務の話であるため、違法性は否定されました。
また、前夜祭の契約主体は後援会なのか参加者個人なのかが議論になりましたが、2020年12月23日に、最終的には桜を見る会前夜祭の主催者は後援会であり、後援会において収支も生じているという前提で収支報告書が修正されました。
2021年7月15日、安倍晋三後援会が「桜を見る会」の前日に開いた夕食会の費用を補填していた問題で、東京第一検察審査会は安倍を不起訴とした東京地検特捜部の処分のうち公職選挙法違反(選挙区内での寄付)容疑などについて「不起訴不当」と議決しました。議決を受けて地検は再捜査を行いましたが、同年12月28日、再び不起訴とし、安倍元首相についての捜査は終結しました。
3.反社会勢力が出席していた疑惑
「桜を見る会」に暴力団関係者が出席していた疑惑は、立憲民主党の杉尾秀哉議員が指摘したことで広まりました。
この問題について、沖縄県の指定暴力団「旭琉會」傘下、二代目功揚一家の狩俣重三総長は、自身が関与していないことを否定しています。
「今、安倍総理の『桜を見る会』に反社会的勢力が来ていたのではないか、という話で私のことも取り沙汰されているようです。沖縄の地元紙である琉球新報の記者さんからも“会いたい”と連絡がありました」
困惑ぎみにそう語るのは、沖縄県の指定暴力団「旭琉會」傘下、二代目功揚一家の狩俣重三総長である。結論から言えば、狩俣総長は「桜を見る会」への関与は否定する。
「普段、公共の場にも中々足を踏み入れられない立場の我々ですが、こういう時になると、私には何の断りもなしに私の写真が、インターネットのあちこちに出回って、結果的に政治家の足の引っ張り合いに利用される。見苦しいなと思い、事実をお話ししようと考えたのです」
だが、狩俣総長には、騒動に巻き込まれる理由があった。
“反社出席”が国会で俎上に載せられたのは、立憲民主の杉尾秀哉議員が質問した11月21日の参院内閣委員会でのことだった。ここで杉尾議員は、反社と見られる人物と菅義偉官房長官とのツーショット写真がネットに出回っている点について、菅官房長官に迫っている(菅長官は「面識はない」と回答)。
また、現職閣僚の武田良太国家公安委員長、竹本直一科学技術担当相、田中和徳復興相も反社会的勢力との交際疑惑が報じられていましたが、現在でも暴力団関係者の出席が確認されたという公式な報告はありません。
4.招待者名簿の廃棄などは公文書管理法違反か?
2013年から2017年までの5年間の「桜を見る会」の招待者名簿が、公文書管理法で義務付けられている行政文書の「管理簿」への記載がされていなかったことが判明しました。
この問題に対して、内閣府は幹部職員6人を厳重注意の処分としました。
また、2019年5月9日、野党議員から「桜を見る会」の参加者選考基準と招待者名簿の詳細を求める資料要求がありました。
政府は、招待者名簿と各省庁での選考基準を示す「推薦依頼文書」を、資料要求の1時間後にシュレッダーで廃棄したと説明しています。
招待者名簿や推薦依頼文書は、次年度の準備に必要な文書であると考えられていますが、政府はこれらを廃棄しました。野党は、招待者名簿の廃棄が「隠蔽」であり、民主主義の危機であると主張していました。
しかし、その詳細な経緯や責任者は公式には明らかになりませんでした。
「桜を見る会」をざっと振り返ると、それが全貌です。
15時間12分の国会審議で、3600万円の予算オーバーを追及しただけのことでした。
その結果、この会は無くなりましたが。
もともと必要のない会が、1952年以来続いていたのでしょう。
確かに悪いのは安倍晋三元首相で、自分の権力を利用して、公金を余計に政府主催の宴会に使ったのだという見方もあります。
それは今となっては、自民党側も否定できないでしょう。
しかし、copilotで調べると、第200回国会では、審議時間が足りずに審議できなかった法案がいくつかありました。
例えば、以下の法案がその一部です:
・公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院で閉会中審査)
・行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(衆議院で閉会中審査)
・組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院で閉会中審査)
・被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(衆議院で閉会中審査)
・東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(衆議院で閉会中審査)
・東日本大震災からの復興の推進のための相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化に関する法律案(衆議院で閉会中審査)
安倍元首相の問題では、野党とマスコミが必要以上にたくさんの疑惑を出し(中には根拠のないものもあった)、たくさんの記事を書く傾向があったと思います。
安倍元首相ネタだと、新聞は多少売れ行きが良くなるし、テレビの視聴率が上がったからでしょう。
なにしろ「アベが~」とか「アベ政治を許さない」が政治スローガンになるほど左翼勢力から憎み、嫌われていたのですから。
でも、写真を国会で出された暴力団関係者はいい迷惑だったことでしょうね。
こういう人たちにも人権はあるのです。
マスコミやネットが飛びつくネタを出す国会議員、マスコミも「桜を見る会」問題とは何だったのか振り返る必要があるように思います。
そうでないと、有権者をどんどん低俗な欲望の虜にしてしまいます。