今日から「しんぶん赤旗」で志位和夫議長を講師に迎えて行われた民青同盟主催の学生オンラインゼミが5回に分けて掲載されます。

 

 

 

 

簡単にいえば、今の社会を批判してマルクスの『資本論』分析から、『ゴータ綱領批判』や『ドイツイデオロギー』の共産主義ユートピアの世界を話す内容です。

これは先日のダイジェストでわかっています。

 

でもどうしてこういう子供だましの詭弁に頭の柔らかいと思われる若者が騙されてしまうのでしょうか?

それが不思議です。

 

けれど、今回はダイジェストと異なり、かなりその内容が詳しく書かれていますので、どこで騙されるのかを解説していきます。

 

1.現代資本主義社会の批判はカルト宗教でも同じ

 

まず、志位氏は今の社会のマイナス面から入ります。

 

日頃、誰もが不安に思っていることをそれは●●のせいだと断定するのは、オウム真理教などカルト宗教の手口でしたが、志位氏もそれによく似た話の展開です。

 

志位 資本主義というシステムのもとで「人間の自由」を阻むいろいろな害悪が生まれ、拡大しつつあることもまた事実だと思います。今日はその害悪について、貧困と格差の拡大、深刻化の一途をたどる気候危機――二つの大問題で考えていきたいと思います。

 

「人間の自由」を阻むのは、格差の拡大と気候危機なのだそうです。

 

志位 「報告書」は、「もうひとつの大きな勝者はグローバル企業」だと告発しています。2021~22年の世界の大企業の利益は、17~20年の平均に比べて、およそ3年で89%も増えたとあります。そして、このグローバル大企業の利益増の最大の恩恵にあずかったのは、超富裕層です。次のパネルを見てください(パネル2)。こう書いてあります。
 「世界の最も大きい10の企業のうち、7社には億万長者のCEOか億万長者が主要株主として名を連ねている。これらの企業の総資産は10兆2000億ドルである」
 巨大企業の利益増が、億万長者をますます富裕にしている、という告発です。
 これは2020年代に起こったことなのです。2020年代といったら、「世界的な(新型コロナ)パンデミック、戦争、生活費の危機、気候崩壊」(「報告書」)など、世界でも日本でも、多くの人々がかつてない困難な生活を強いられている時期です。そのときに、超富裕層とグローバル大企業は空前の繁栄を謳歌(おうか)している。
 「オックスファム」の「報告書」では、そのことが、労働者の賃金の押し下げ、とりわけ女性に低賃金と不安定雇用を押し付けていると告発しています。「オックスファム」は、多くの女性や少女が無償のケア労働を強いられていることを強く告発しています。

 

超富裕層の存在、これはよく聞くことです。

ジェフ・ベソスやザッカーバーグやトーマス・クックなどGAFAMSと呼ばれる巨大企業の創設者や経営者などは超富裕層で有名です。

ああ、自分もあんな起業家になりたいと思う人もいれば、とてもなれないと思うとそれが憎悪の対象ともなり得ます。

 

 

2.社会の自由の問題が階級的不平等の問題にすり替わる

 

志位 これが資本主義世界の現実です。個々人がいくら努力しても、この現実からのがれられないじゃないですか。これが「人間の自由」が保障されている社会といえるか。社会の大きな変革が求められているのではないでしょうか。これが一つの大問題です。

中山 資本家と労働者という対立はもう古いんじゃないかといわれることもあるんですが、現実にこういった資本家は存在するんですね。

志位 そうです。まさに巨大資本家は存在している。生きた形で。

 

あれ、たしか人間の自由がテーマでしたよね。

それが巨大資本家という憎悪の対象をつくるんですか?

それって経済格差の問題であって、人間の自由を抑圧しているって問題とは違いますよね。

それに経済システムと自由の話をするのなら資本家の話ではなく、資本家階級のことを話すべきですよね。

 

これは具体的な憎悪対象を植え付けるイスラム原理主義のやり方に似ています。

 

でも、どういうわけか、司会者はそういうツッコミも入れません。

 

 

3.経済発展による自然破壊、気候変動の話が資本主義システムが原因に転嫁される

 

次が気候変動です。

 

志位 昨年、2023年は観測史上で最も熱い年になりました。世界気象機関(WMO)は、今年(24年)1月、23年の世界の平均気温は、産業革命前に比べて1・45度上昇したと発表しました。気候変動抑制に関する国際的協定――「パリ協定」(2015年)では1・5度未満に抑えることを「目指す」と取り決めています。すでにその寸前まできているのです。

 科学者たちが一番警戒していることの一つは、気温上昇がある一点――ティッピング・ポイント(転換点)を超えますと、地球全体の環境が急激に、かつ大規模に、不可逆的な変化におちいり、人間の力ではコントロールできなくなってしまうことです。

(略)

 これは16の現象のうち、ティッピング・ポイントを超える危険が差し迫っている四つの現象――「グリーンランド氷床融解」、「西部南極氷床融解」、「低緯度のサンゴ礁消滅」、「北方永久凍土の急速融解」を図にしたものです。どれも、現在の1・45度という気温上昇は、ティッピング・ポイントの「可能性」がある0・8度から1・0度を超えてしまっています。「可能性が高い」とされる1・5度に近づいています。これらの現象は、非常に危険な状態に陥っているといわれています。

(略)

 

 これはすべてが、資本主義が引き起こした社会的大災害です。人類の生存という、根本的な「人間の自由」にかかわる問題が深刻に脅かされているのです。私たちは、これは、資本主義の枠内でも最大の知恵と力を総結集して緊急の対応を行うことを強く求めてたたかっていきますが、同時に資本主義というシステムを続けていいのかということが、気候危機では問われていると思うんです。

中山 そうですね。とくにここに集まっている青年にとっては何十年も生きる人生の中でこんなことが起きたら死活問題だと思います。

志位 本当にそうだと思います。若い人たちにとっては、文字通り未来を奪われてしまうということになります。

 

あれれ、CO2って社会主義の中国が一番排出していませんでしたっけ?

 

2017年度におけるCO2の総排出量は約328億t-CO2で、排出量が多い順に中国の28.2%、アメリカ14.5%、インド6.6%、ロシア4.7%、日本3.4%、ドイツ2.2%となっています。

 

自然環境破壊、気候変動問題は資本主義システムというより、経済発展と各国の環境規制の遅れの問題ですよね。

すべて資本主義システムの問題だというのは詭弁でしょう。

 

それと、人間の自由の問題からは大きく逸れているように思いますが。

 

 

4.社会主義の光の部分だけを見せるトンネル効果

 

その次が社会主義のプラス面の強調です。

というよりマイナス面をまったく説明しないことです。

これはイスラム原理主義者にイスラムの聖戦や虐げられた歴史だけを教えて、自爆テロを行う信者を作るやり方に類似です。

 

志位 最近のうれしいニュースを、みなさんに紹介したいと思います。オーストリア共産党の躍進が、この間起こって、世界的な注目を集めているんです。オーストリア共産党は、2021年9月、オーストリア第2の都市・グラーツの市議会議員選挙で29%を獲得して市議会第1党となり、市長の座を獲得しました。つづいて、今年(24年)の3月、音楽の都・ザルツブルク――モーツァルトが生まれた都市で、私はモーツァルトが大好きで、一回ザルツブルク音楽祭に行ってみたいと思っているんですが――、ザルツブルクの市議会議員選挙で23%を獲得して、第2党となり、市長の決選投票では35歳の共産党員候補が37・5%を獲得し、副市長に選ばれました。

 ザルツブルクでは、現政権による不動産投機の優遇政策のもとで、オーストリアの中で最も家賃が高い。他の都市に人口が流れていってしまう事態も起こっているもとで、オーストリア共産党が、「住まいは人権」を一貫して訴えてきたことが躍進につながったということです。

 2022年11月、日本共産党の緒方靖夫副委員長を団長とする代表団が、欧州各国を歴訪したさいに、オーストリアも訪問し、オーストリア共産党の幹部と突っ込んだ懇談をして、交流を強化していこうということで一致しました。そこでお話を聞きますと、ずいぶんいろいろな努力をしている。一つ目に、オーストリア共産党は、過去に、ソ連追随の姿勢をとったことで国民の支持を失ってしまったという歴史があるのですが、その誤りを克服して自主独立の路線を確立した。二つ目に、党の組織のあり方として、民主と集中という考え方を堅持して、みんなで団結して頑張る党として前進している。三つ目に、オーストリアでもずいぶん反共攻撃が厳しいのですが、そういうなかでも「共産党」という党名は変えない。これを堅持して、共産党だからこそ、未来社会への見通しを持ちながら働く人の利益を守れるんだという観点を前面に押し出しているとのことでした。

 

ちょっと待ってください。

東欧では社会主義の国はなくなりましたよね。

スーパーでは商品が欠乏し、思想は統制されるそういう社会にNOと市民が言ったんじゃなかったですか?

それにオーストリアの国会で共産党の議席はゼロですよね。

ザルツブルクだけのニュースをあたかも世界のトップニュースのように説明する。

これは詐欺師のやり方なんじゃないでしょうか?

カルト問題では、あるところにだけ光を当て、あとはトンネルのように闇の中にするマインド・コントロール手法が「トンネル効果」と呼ばれたりします。

 

社会主義の問題では、崩壊理由の脈絡でこそ、人間の自由と抑圧について語るべきなんじゃないでしょうか?