昨日、5月3日は憲法記念日なので、いろんな報道もあった。

 

憲法9条の改正に賛成か反対かというお馴染みのアンケート結果もあった。

 

NHKの世論調査で今の憲法を改正する必要があると思うかどうか聞いたところ、「改正する必要があると思う」は36%、「改正する必要はないと思う」は19%、「どちらともいえない」が41%でした。

 

 

 

ただ、「改正する必要があると思う」は調査のたびに比率が増えているようだ。

 

 

しかし、こういう調査結果もある。

 

共同通信社は1日、憲法記念日の5月3日を前に憲法に関する郵送方式の世論調査結果をまとめた。岸田文雄首相が9月までの自民党総裁任期中に意欲を示す憲法改正の国会議論に関し「急ぐ必要がある」は33%にとどまり、「急ぐ必要はない」の65%と差が開いた。改憲の進め方は「慎重な政党も含めた幅広い合意形成を優先するべきだ」が72%で、「前向きな政党で条文案の作成に入るべきだ」の24%を上回った。9条改正の必要性は「ある」51%、「ない」46%と賛否が拮抗した。

 

 

「急ぐ必要がありますか?」という質問を誰が考えたのだろうか?

 

今にもおしっこが出そうなときに、トイレへ「急ぐ必要がありますか?」と聞けば、ほぼ100%の人が「ある」と答えるだろう。

しかし、尿意もないときに同じ質問をしたらどうだろう?

「はい」と答えるのは、念のために言っておいた方がよいと思うわずかの人だろう。

切羽詰まった状況のなかでこそ「急ぐ必要があるのか?」と聞くべきだが、今この質問はどういう意味があるのだろうか?

 

法案を早合点した逆の場合もある。

2015年は安保法制の国会審議が問題になった。

あの法案が通ればいまにも戦争になると宣伝する政党もあった。

 

 

あれから9年になるが、日本の周辺での戦争に日本は巻き込まれていない。

ウクライナやガザに自衛隊を派兵する気配すらない。

 

むしろウクライナへのロシアの侵攻で軍事同盟での集団的自衛権の問題がクローズアップされた。

一部でも集団的自衛権を行使できる軍事同盟になったことは、日本の安全保障上、アメリカの後ろ盾が強くなったということだ。

日本もそれなりの負担をすべきというのも事実だが、軍事同盟ってそういうものだ。

 

 

憲法改正について、マスコミはもうちょっと国民を啓蒙するようなアンケートを取ったらどうなのだろうか?

 

例えば、2015年の国会では、軍事同盟と憲法では国内法が優先するのだという憲法学者と国際法が優先するという国際政治学者がいて議論になった。今、その意味を問い直すアンケートや取材記事をしてはどうだろうか?

 

ウクライナはどうして侵略されることになったのか?

フィンランドやスウェーデンはどうしてNATOに加盟することになったのか?

それらを取材して、日本は戦力を持つべきか、持たざるべきか? それを憲法に明記すべきかどうか?

そう聞けば、どういう結果になるのだろうか?

 

そういう作業もしないで、今、マスコミにとって、本当に憲法9条のテーマが大事なんだろうか?

 

それより、ウクライナ、ガザ問題から分かるのは、国連の機能不全、戦争を止めることさえ出来ない安全保障理事会の制度だろう。

 

戦争を止める、戦争を防ぐには国際法や国連を機能させることであり、どうすれば国連軍がその役割を果たせるかを考えるべきだろう。

そういうテーマで国民を考えさせる特集を憲法記念日にしてはどうなのだろうか?

 

日本が侵略戦争を起こし、原爆投下で終わるという悲惨な戦争があった。

その反省として今の憲法がある。

憲法9条が実態に合わないのも日本の国民の多くが気付いているだろう。

しかし、その文言を変えることに抵抗のある人々も多い。

そんなことをすれば、また、戦争反対の赤いプラカードをせっせと作る人が増えるだろう。

 

そういうときに、いつまでも憲法9条の文言にこだわる日本のマスコミと国民は、世界の情勢からちょっとピンボケなのではないだろうか。