今、アメリカ各地の大学でイスラエルによるガザ攻撃に反対するデモが拡大し、学生らの逮捕者は1500人を超える事態になっています。
これは、学生たちがパレスチナ・ガザ地区での戦闘停止を求め、イスラエルへの抗議デモが各地で広がっているためで、警官隊との暴力衝突も発生しています。

 


 カリフォルニア大学ロサンゼルス校では、バリケードを張る学生に対して警官隊が突入。カリフォルニア大学では、その前日も反イスラエルのデモ隊と親イスラエルのグループが衝突しています。警察が駆け付けましたが、15人が負傷しました。

 警察も学生たちに対し、強硬的な手段に打って出ました。

 アメリカ中部のウィスコンシン大学マディソン校ではデモを行う学生の拠点に警官隊が押し寄せ、ニューヨークのフォーダム大学でも建物を占拠した学生らを強制排除しました。

 

 

 

 

 

いったい何が起きているんでしょうか?

バイデン政権への反対が強まるとトランプ大統領候補に有利になるんじゃないかという疑問も湧きます。

 

このことについて、実際にデモを見てきたという斎藤幸平氏は「NEWS23」でこうコメントしています。

 

 

東京大学 斎藤幸平 准教授:


何回か実際に参加してきたんですけれども、彼らは過激なのではなく、普通に訴えてるだけなんです。自分たちの授業料が軍事産業やイスラエル支援の企業に使われていることに対して、「そういう投資をすべきじゃない」という声を上げていたんです。

ところが、それに対して学問の自由や表現の自由を脅かすような形で、普段はリベラルぶっているコロンビアの学長らが急に警察を呼んで、かなり強制的に弾圧をしてきたということにアメリカ全体もショックを受けているし、若者たちは本当に怒っているわけです。

若者たちは、前回はバイデン氏を支持して何とかトランプ氏に勝てた。だけど今回の件でかなり彼らは怒っているので、そういうことがリベラル派への失望を生んで逆説的にトランプ氏が有利にしてしまうという状況が、さらに民主主義を危機に追い込んでいくかと思うと頭が痛いですよね。

 

 

普通に訴えているだけ、って本当なんでしょうか?

 

アメリカ東部ニューヨーク州のコロンビア大学では30日、キャンパス内にテントを張って抗議デモを続けていた参加者の一部が建物の1つを占拠したため、大学側の要請を受けて警察が強制排除に踏み切りました。

ニューヨーク市警によりますと、これまでに不法侵入や器物損壊などの疑いでコロンビア大学では119人、同じマンハッタンにあるニューヨーク市立大学でも173人を逮捕し、キャンパス内に警察官を配置して警戒を続けています。

有力紙ニューヨーク・タイムズのまとめによりますと、4月18日以降、抗議デモで逮捕者が出た大学は22の州で合わせて34校にのぼります。

 

 

 

学生たちは不法侵入、器物損壊の疑いで排除されたようです。

 

 

UCLAではこんな感じ。

 

 

コロンビア大学ではこんな感じ。

 

 

ウィスコンシン大学でもこんな感じ。

 

普通ではないですよね。

 

 

しかし、この動きが大統領選に影響することは避けられないようです。

 

米メディアによると全米で今週、大学キャンパスを占拠した数百人が拘束された。南カリフォルニア大(ロサンゼルス市)は保安上の理由から卒業式の主要式典を中止。エマーソン大(ボストン市)は授業を取りやめるなど、影響が拡大している。
 抗議の一部には反ユダヤ主義的な活動も混じり、大学側は表現の自由と差別助長の阻止との間で、難しい判断を迫られている。
 影響は学内にとどまらない。「税金を(ガザへの)空爆費用に回すバイデンが、11月に再選されることはない」。ホワイトハウスから数ブロック西のジョージワシントン大で集会に参加したナダさん(30)は、イスラエル向けの約264億ドル(約4兆1000億円)を含む対外支援法を成立させた政権に抗議。大統領選で「白票を投じる」と語った。
 バイデン氏は22日、学生デモについて記者団に問われ「反ユダヤ主義の抗議活動を非難する。同時に、パレスチナ人の状況を理解しない人々も非難する」と双方に配慮を示した。だが、イスラエルへの軍事支援とガザの人道状況改善の両立は非現実的。混乱収束に向けた妙案は見えない。

 

 

 

ところで斎藤幸平氏の言っていた学生の授業料がイスラエルの軍事産業や企業支援に使われているってどういうことでしょうか?

 

学生たちは所属大学に対し、多額の大学基金などによるイスラエルへの投資から資金を引き揚げるよう要求している。

学生活動家らは、イスラエルでビジネスをしている企業やイスラエルの組織と取引をしている企業は、現在進行中のガザへの戦争に加担していると指摘。それらの企業に投資している大学も同様だと主張している。

大学の基金は、研究室から奨学金基金に至るまで、あらゆるものに資金を提供している。その大半は、数百万~数十億ドル規模の投資による利益を利用している。

 

 

 

アメリカの大学の基金の大きさと用途は日本とは比較にならず、イスラエル資本が入ったり、研究使途になっていることも事実でしょう。

学生の抗議は主にイスラエルへの軍事侵攻への批判であり、それを止めさせるためというのは間違いないと思われます。


 

では、トランプ氏はどうしているのでしょうか?

 

トランプ前大統領は1日、ウィスコンシン州で行われた集会で支持者を前に、ニューヨーク州のコロンビア大学でのイスラエルによるガザ地区への攻撃に抗議するデモについて触れ、警察の対応を称賛しました。

このなかでトランプ氏は抗議デモの参加者の一部が建物のひとつを占拠し、警察が強制排除に踏み切ったことについて「警察が入って2時間ですべてが終わった。見ていて美しいものだった」と述べました。

 

また「テントを撤去して、ただちに過激派を制圧し、安全に学べる場所を求める学生のためにキャンパスを取り戻すべきだ」と述べて、すべての大学で抗議デモをやめさせるよう呼びかけました。

 

 

 

 

これでは、学生たちの支持がトランプ大統領候補に向かうことはまずないでしょう。

 

一方のバイデン大統領はこういう態度です。

 

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は1日、記者会見で、バイデン大統領は全米各地の大学で続く抗議活動について定期的に報告を受けているとして「状況を注視している」と述べました。

また記者団から、バイデン大統領はデモの参加者を警察が強制排除した対応を支持しているのか問われたのに対し、「アメリカ国民には平和的に抗議活動を行う権利があるが、建物を強制的に占拠することは平和的ではない。学生たちの学問を妨げたり、混乱させたりするようなことがあってはならない」と述べました。

 

 

 

 

昨日のニュースでは、イスラエルとハマスの停戦交渉について、イスラエル側が初めて恒久的な停戦を提案したと報じられてました。

アメリカのブリンケン国務長官もハマスにこれを受け入れるように訴えています。

しかし、イスラエル側は停戦合意するかどうかにかかわらず、ガザ南部のラファに侵攻すると矛盾することも言っています。

停戦提案が実現するかどうかはわかりません。

 

アメリカの学生の動きはヨーロッパにも広がっています。

 

イスラエルによるガザ地区への攻撃に抗議する動きはヨーロッパの大学にも広がっています。

 

イギリス北東部にあるニューカッスル大学ではキャンパスにテントが張られ、1日の映像では学生たちがパレスチナの旗を掲げるなどして抗議の声を上げていました。

イギリスの公共放送BBCは、中部のリーズや南西部のブリストルでも1日、大学のキャンパスに学生たちがテントを張り、大学に対してイスラエル企業の株式の売却や財政的な関係の解消を求めていると伝えました。

また、フランスメディアによりますと
▽パリのソルボンヌ大学では先月29日、およそ100人が停戦を求めるデモに集まり警察に排除されたほか
▽マクロン大統領などの出身校として知られるパリ政治学院では先月26日、学生らが建物を一時占拠したということです。

 

 

 

日本でも早稲田大学で抗議デモが静かに行われたようです。

 

米・コロンビア大学を始め、世界の大学でイスラエル抗議が拡がる中、日本の大学キャンパス内でもスタンディングデモが行われました。主催した早大4年・戸田さんは「ともに歴史を作ろう」と呼びかけました。

 
 
スタンディングデモ?
 
これこそ普通です!