最近、北欧の国の例で「4時に帰る」本が出ている。

 

これら北欧の国々は、歴史・文化・社会に多くの共通点をもつデンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの5か国のことをさす。

近年では、高福祉、高負担で、福祉や教育は無料だが、税金は高いという共通性が見られる。

 

しかし、北欧系の国家の歴史は一様ではない。

互いの国やロシアとの抗争の歴史がある。

 

1950年代から1960年代にかけてのデンマーク、スウェーデン、ノルウェー3国の内政にみられる共通の特徴としては、社会民主党系の政党(ノルウェーでは労働党)が政権についた点をあげることができる。フィンランドでは、戦後、共産党の合法化によって、同党を含む人民民主同盟と社会民主党および農民党との連合政権が出現した。

 こうした政権下に、北欧諸国は、1950年代には戦後の復興を終わり、戦前からの工業化の継続と発展を目ざすことになった。経済計画が行われ、その主目的は完全雇用の実現にあったが、国民の経済的平等が執拗(しつよう)に追求されたことが特徴である。1950年代後半には北欧各国の工業発展のテンポは急速に高まり、とくに輸出部門の伸びが目覚ましかった。1950年代の経済成長によって北欧諸国民の生活水準は向上し、また社会構成も、1950年代末には、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンで全所得者中に占める農・漁業従事者の割合は、2割に満たなくなった。このような経済的・社会的条件のもとに、社会民主党諸政府の社会政策が推進された。1960年代に、北欧諸国は福祉国家をほぼ実現するに至った。

 1970年代以降の北欧諸国は、いわゆるポスト福祉国家の問題に直面し、そこで改めて環境問題や人間の問題が問い直されつつあった。1960年代に北海油田が続々と発見されて経済的地位が向上したノルウェーを除くと、北欧諸国は先進世界の慢性的な景気後退のなかにあって経済不振に悩み、そのなかで福祉政策を維持していく困難も生じている。こうしたなかで、社会民主党の長期政権担当に対する国民の倦怠(けんたい)もようやく表面化し、1973年にスウェーデンで44年ぶりに社会民主党が政権を降りるなど、いわゆる保守化の傾向も現れた。1990年代に入ると、保守4党が連立政権を発足させ、1993年には高福祉政策の転換を打ち出した。1994年の総選挙では社会民主党が勝利し、1998年の総選挙でも政権は維持したが、保守政権同様、福祉の切り詰めなど緊縮財政による財政再建を推進した。1998年の総選挙で社民党が政権を維持したとはいっても、戦後最低の議席数で、少数単独政権であった。

 

 

社会民主党が政権に入って引っ張ってきたという特徴が政治の共通性と言えるだろう。

EU加盟をめぐる問題やソ連崩後の共産主義政党の没落もあったが、ソ連の近隣国として社会主義制度を意識しながら資本主義システムを活かしてきた国々だとも言える。

 

こういう国々の政党は、与党でも野党でも常に新しい生き方、新しい社会システムを示してきた。

 

フィンランドでサリナ・マリンが34歳で首相になったときこう報じられた。

 

北欧フィンランドで、女性主導の内閣が誕生した。同国議会は10日、第1党社会民主党のサンナ・マリン運輸・通信相(34)を新首相に選出。新内閣は19人のうち12人が女性となった。ベルギーやニュージーランドでも女性が首相になるなど、世界では政治の女性登用が進んでいる。日本の高齢化、男性偏重が改めて浮き彫りとなっている。


フィンランドの首相に選ばれたマリン氏(右から2人目)と3人の女性閣僚=ロイター
フィンランド議会は、賛成99、反対70、棄権30でマリン氏を選出した。史上最年少で3人目の女性首相となったマリン氏はツイッターで、「全ての子どもが(将来)何にでもなれ、全ての人が尊厳を持ちながら年を取れる社会をつくりたい」と述べた。現職の首相として世界最年少でもある。

 

その後、離婚を発表し、辞任することになった。

 

 

フィンランド人、デンマーク人の「4時に帰る」本はいずれも、家族との時間を大事に考えるために仕事の段取りをすること、DXなどを積極的に取り入れることが書かれている。

 

しかし、北欧の国は税金が高い。

消費税も20~30%の水準だ。

だから物価が高い。

でも、教育費は大学院まで無料で、医療費保障も年金も高い水準で生活に困ることはない。

 

北欧では、政治家が率先して家庭のあり方を示したり、政党が民主主義のあり方を示すことが大事なのだ。

 

 

 

もう一方の社会主義国である中国。

 

 

建て前としては、資本家階級と労働者階級の階級対立はない。

だからマルクス的に言うと、労働者は搾取から解放され、経済的自由を手に入れた。

能力に応じて働き、労働に応じて報酬を受ける。

平等が実現いているはずの国。

 

この国では労働者階級が搾取から自由になるために、プロレタリアート独裁(ディクタツゥーラ)のもとで革命党が執権を握る。

この党は革命党であるので民主集中制という組織原則の下で資本家階級の復活を許さない政策をとる。

 

この国では、共産党が模範を示し、中枢部を握る。

国家の行政機関と共産党組織が並立するが、共産党員の浸透によって国家の統一を保っている。

 

天安門事件でさえ、今では共産党が弾圧したことを支持する人も多い。

共産党によってこの大国の統治は維持されたと。

 

 

プロレタリアートの国家、共産党一党支配、民主集中制の組織原則はセットでないと成り立たない。

 

日本の未来社会を考えるとき、中国型か北欧型かの選択がある。

 

それは理想とする政党の選択でもある。