(谷本諭氏)

 

1.谷本諭氏の文章への一般党員の反応

 

パトラとソクラが、谷本諭氏の中北浩爾氏批判を整理して、批判になっていないと書いたら、こんなコメントが書き込まれました。

 


『日本共産党を論ずるなら事実にもとづく議論を』との谷本論文を再読しました。
 以下に、論文の中で「事実に基づいて明らかにすべき」とされている箇所を取り上げてみます。

・日米安保条約廃棄の世論を多数派にするための独自の努力をはかること間違いだというのなら、その理由を示すべき。
・日米安保条約が、日本の政治に、どのような異常を引き起こしているのか、その容認を説くことが何を意味するのかを、政治学者ならば、事実にもとづいて明らかにすべき
・軍事同盟強化に代わる構想として、ASEAN(東南アジア諸国連合)と協力して東アジアに平和を創造する「外交ビジョン」という抜本的提案を行い、その実現のために行動しているわが党の主張と行動のどこが問題なのか、説明すべき。
・この日本から日米安保条約廃棄を主張する党がなくなったらどうなるのか、説明すべき。
・政治学者として、わが党に“民主集中制の放棄”を求めるならば、わが党が民主集中制の原則(党規約中の五つの柱)をとることのどこが問題なのかを、正面から事実に基づき論理的に明らかにすべき
・除名された党員は、「異論を唱えた」からでなく、規約のルールにのっとって党内でそれを表明することをせず、党外から党を攻撃したことが問題とされたという事実を踏まえるべき。
・ドイツ左翼党の経験は、軍事同盟反対という政治変革の立場に立つ党で派閥を認めることがいかに有害かを私たちに痛感させるものだった。欧州の事例をあげて、わが党に“民主集中制の放棄”を求めるなら、こうした事実(※党の規約から民主集中制を削除し、派閥を認めたことが、いくつもの派閥をつくることにつながり、その主導権争いがメディアで報道され、深刻な困難に陥っているという悩みの発生)も踏まえることが必要である。

 上記の諸点について、私も中北氏の見解を聞いてみたいものと思います。

 もちろん、「事実」も中北論文にはあります。(「党勢の後退傾向」「除名処分に対する党への批判の存在」「野党共闘の行き詰まり」「共産党が日米安保条約の廃棄や民主集中制といったコアを変えなかったこと」「国民民主党だけでなく、立憲民主党も外交・安保政策の違いを共闘のネックとしていること」)

 しかし、再読して感じたことは、谷本論文とは「中北氏に対する”鋳型に当てはめた反論”」というものではなく、上記に示した共産党の肝心かなめの根幹部分に係る諸点について、「事実に基づいて明らかにしてから、批判するならするべきである。」という論点を持ったものであったのだと、私は再確認いたしました。

02月22日 20:49 chocolate

 

いつも一般党員を自称するchocolateさんのコメントです。

 

要するに、中北浩爾氏によるいくつかの有効なパンチは認めるが、全体の採点としては谷本諭氏に軍配を上げるというのです。

 

あれれ?

 

なんでそうなるの?

 

リングの外で見ている人には、どうしても応援している人が勝っているように見たいらしい。

その気持ちはわかります。

 

でも、どうひいき目に見ても谷本諭氏はノックアウト負けでしょう。

 

chocolateさんの視点では、谷本氏が指摘していることに中北氏は答えられないだろうということです。

実際に中北氏が答えるのかどうかはわかりませんが、答える必要もないようにも思います。

 

 

2.日本共産党混乱の本質

 

今回の谷本諭氏の中北浩爾氏批判とそれに対するchocolateさんの反応でわかったことがあります。

 

この混乱の原因は、2015年の安保法案反対のなかで盛り上がった連合政権構想で志位前委員長が踏み込んでしまった「安保凍結」「自衛隊活用」をめぐる路線のあいまさと、従来からある民主集中制による党中央の強大な裁量権という二つの問題だということです。

 

谷本氏の文章で言うとこれらです。

 

松竹伸幸氏が除名処分されたのも集約すると同じ二つの問題です。

 

どういうことか?

 

 

(1)二兎を追うのか、段階論か?

 

日本共産党の安保政策について谷本氏はこう書いています。

 

わが党は、安保法制廃止、米軍辺野古新基地建設中止などの緊急課題で共同を強めることと、日米安保条約廃棄の世論を多数派にするための独自の努力をはかることとは、何の矛盾もないどころか、双方を追求してこそ、それぞれが推進されることを、大会決定で詳しく明らかにしている。

 

これは連合政権のために日米安保条約を容認することと、しかし、一方で安保廃棄の運動を続けるという二兎を追う方針だと言っているのです。

これを「何の矛盾もないどころか、双方を追及してこそ、それぞれが推進される」と言っています。

 

これはどこから出てきたのかというと、2015年10月29日の記者会見で、志位委員長(当時)が、「国民連合政府」について質問にこう答えたときからでしょう。

 

日米安保条約については、私たちは「廃棄」という方針ですが、「国民連合政府」の対応としては、安保条約にかかわる問題は「凍結」するということになります。

 

 「凍結」とは、戦争法廃止を前提として、第一に、これまでの条約と法律の枠内で対応する、第二に、現状からの改悪はやらない、第三に、政権として廃棄をめざす措置はとらないということです。日本共産党としては、日米安保条約廃棄という大方針を一貫して追求します。しかし、それを、連立政府に求めることはしません。これが「凍結」ということの意味です。

 

「日本有事のさいに在日米軍の出動をどうするか」という質問もありましたが、私は、「戦争法廃止を前提として、これまでの条約の枠内で対応することになります。日米安保条約では、第5条で、日本に対する武力攻撃が発生した場合には、(日米が)共同対処をするということが述べられています。日本有事のさいには、連合政府としては、この条約にもとづいて対応することになります」とお答えしました。

 

安保は凍結するのだと言っています。しかし、一貫して安保廃棄を追及するとも言っているのです。しかし、廃棄をめざす措置は取らないとも言っている。連合政権の間は「安保容認」ということです。これは否定できないでしょう。安保条約がある連合政権の段階での措置だと言えます。

 

そして、「自衛隊活用」は明確に述べています。

 「日本有事のさいに自衛隊を出動させるのか」という質問もありましたが、私は、「戦争法を廃止した場合、今回の改悪前の自衛隊法となります。日本に対する急迫・不正の主権侵害など、必要にせまられた場合には、この法律にもとづいて自衛隊を活用することは当然のことです」とお答えしました。

 

 

 

 

では、「二兎を追う」(双方を追及する)ことと、連合政権が一つのステップとした段階論との関係はどうなっているのかということです。

松竹氏は志位氏が言っていることを段階論と理解しました。

いやこれは、松竹氏だけの問題ではないでしょう。

志位氏は2020年3月に共産党と連合政権の考えをこうまとめています。

 

自衛隊について

 

日本共産党の立場……憲法9条にてらして自衛隊は違憲だと考えるとともに、憲法と自衛隊の矛盾の解決は、国民の合意で一歩一歩、段階的にすすめ、将来、国民の圧倒的多数の合意が成熟した段階=国民の圧倒的多数が自衛隊がなくても日本の平和と安全を守ることができると考えるようになる段階で、9条の完全実施に向けての本格的な措置に着手します。

 連合政権としての対応……現在の焦眉の課題は自衛隊の存在が合憲か違憲かでなく、憲法9条のもとで自衛隊の海外派兵を許していいのかどうかにあります。連合政権としては、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」の撤回、安保法制廃止にとりくみます。海外での武力行使につながる仕組みを廃止する――これが連合政権が最優先でとりくむべき課題です。

 「閣議決定」を撤回した場合、連合政権としての自衛隊に関する憲法解釈は、「閣議決定」前の憲法解釈となります。すなわち、自衛隊の存在は合憲だが、集団的自衛権行使は憲法違反という憲法解釈となります。

日米安保条約について


 日本共産党の立場……日本の政治の異常なアメリカ言いなりの根源には、日米安保条約があると考えており、国民多数の合意で、条約第10条の手続き(アメリカ政府への通告)によって日米安保条約を廃棄し、対等平等の立場にもとづく日米友好条約を締結することをめざします。

 連合政権としての対応……安保条約については「維持・継続」する対応をとります。「維持・継続」とは、安保法制廃止を前提として、第一に、これまでの条約と法律の枠内で対応する、第二に、現状からの改悪はやらない、第三に、政権として廃棄をめざす措置はとらない、ということです。

 連合政権として日米関係でとりくむべき改革は、すでに野党間で合意となっている日米地位協定の改定、沖縄県・名護市の新基地建設の中止などです。これ自体が、異常なアメリカ言いなりの政治をただすうえで、大きな意義をもつ改革になると考えます。

 

 

 

これをまとめると次のようになります。

 

 

第1段階(連合政権):2015年閣議決定前の状態。つまり、自衛隊の存在は合憲、安保条約は維持継続。集団的自衛権行使は憲法違反との見解

 

第2段階:日米安保条約を廃棄し、対等平等の立場にもとづく日米友好条約を締結。国民の圧倒的多数で自衛隊の廃棄をめざす段階。

 

第3段階:日米安保条約を廃棄した後、国民の合意が成熟した段階=国民の圧倒的多数が自衛隊がなくても日本の平和と安全を守ることができると考えるようになる段階。

 

これを踏まえて、松竹氏は連合政権で合意する政策として、「核抑止抜きの専守防衛」を綱領路線の枠内として提唱しました。

 

しかし、それが党の綱領攻撃だと言われ、除名処分の理由のひとつとなったのです。

 

ここがわからないところです。

 

たとえば、山下芳生副委員長に至っては、再審査請求を棄却する報告のなかでこうまで言っています。

 

綱領のどこにも日米安保条約を段階的に解消するとの立場はない。わが党は、異常な対米従属を打破していくために、安保法制廃止・立憲主義回復など緊急の諸課題の実現のために安保条約の是非を超えた共同の努力を行うことを重視しているが、それは、安保条約の段階的解消論――安保条約解消のためにはいくつかの中間的段階が必要だという立場では決してない。松竹氏の主張は、綱領をまったく理解していないものというほかない。

 

 

 

 

これじゃ、混乱するのも当たり前ですよね。

連合政権の段階、「安保凍結=安保維持・継続」は第1段階ですよね。

 

二兎を追うって言っても、どっちかがその段階では優先されます。

 

だって、米軍出動って命令させている一方で、安保廃棄なんて会議で出せないでしょ。

「あんた、何言ってんの?」「今は違うでしょ」

って、誰かに言われますね。

 

でも、「段階論でしょ」って言うと「二兎を追っているんです」って言う。

かといって、「安保凍結」「自衛隊活用」の連合政権には入りたい。

これが「矛盾」でなくて何なのか?

 

これを矛盾でないというのは、ジョージ・オーウェル『1984年』のダブルシンク(二重思考)というものです。

 

ダブルシンクとは「二重思考(にじゅうしこう、ダブルシンク、doublethink)とは、ある人が相反する2つの理論にあったら、この2つの理論の間の矛盾点を無視しつつ自然のように受け入れ、他人からその違和感を指摘されても、頑固に矛盾な2つの理論を同時に信じ続けること」です。

 

 

(2)強調したいのは「民主」か、「集中」か?

 

でも、このダブルシンクが通用するのは、日本共産党が『1984年』に出てくる組織のように特殊な思考法を強要する組織だからです。

その裁量が党中央にあるというのも『1984年』そっくりです。

 

谷本諭氏はこう書いています。

 

党大会決定は、国民多数の意思にもとづいて社会変革を実現するためには、「バラバラな党」ではできないこと、不屈性と先見性を発揮して奮闘する団結した党が必要不可欠であること、民主集中制の必要性は、多数者革命を推進する党の役割から導かれることを、理をつくして明らかにしている。

また現行規約における民主集中制は、2000年の規約改正で「定義」され「定式化」されたものであること、この規約改正では上意下達だとの誤解を招きかねない表現を削除し、「民主主義的中央集権制」という表現も改め、「中央集権制」という用語を削除したこと、民主集中制の五つの柱は、どこかの外国から持ち込まれたものではなく、「わが党自身の歴史的体験から生み出された、わが党独自のもの」であることを明示している。

 

名称を勝手に変えるのは自由です。

 

「バラバラな党」ではできないこと、不屈性と先見性を発揮して奮闘する団結した党が必要不可欠であること、民主集中制の必要性は、多数者革命を推進する党の役割から導かれることを、理をつくして明らかにしている。

 

理を尽くして説明しているというのは、「団結した党」=「中央集権制」が必要ってことですよね。

 

村主明子氏(日本共産党学習・教育局次長)は、第29回党大会決定の解説でこう書いています。

 

 報告では、一部に「時代にあわない」として、民主集中制を否定したり、弱める意見に対して、「民主集中制の見直しを求める意見に共通しているのは、“革命抜きの組織論”となっている」と率直に指摘し、次のように述べています。

 「革命の事業は、困難のない平たんな道をのんびりと歩むという生易しいものではありません。支配勢力による熾烈(しれつ)な攻撃や妨害を打ち破ってこそ、その前途をひらくことができる、これは、わが党の102年の歴史が証明しています」

 日本共産党が前進し、国民多数が社会変革の事業に結集しようとすればするほど、それを押しとどめようとする支配勢力の攻撃が激しさを増します。報告は、このことを指摘したうえで、次のように呼びかけています。

 「私たちが『たたかいの弁証法』と呼んで来たプロセスが不可避であることは、歴史が示しており、今日も、日々、私たちが体験していることです。この攻撃を打ち破って、社会変革を成し遂げるためには、民主的な議論と党の統一と団結――民主集中制の組織原則は、『時代にあわない』どころか、いよいよ重要性と必要性を増していることを、私は声を大にして訴えたい」「いま若い世代が…党の組織のあり方への共感をもって入党する経験も生まれています。多数者革命の事業への党の責任、民主集中制で結ばれた組織の魅力を、胸をはって語ろうではありませんか」

 

 

 

 

民主集中制を弱める意見というのは、「民主」と「集中」のうち、党内民主主義を重視しようという意見のことです。

松竹氏の「党首公選制」なんかがその典型なのでしょう。

でもそういう動きは「支配勢力による熾烈(しれつ)な攻撃や妨害」に見えるんですね。

 

だから、「集中」こそ大事ってことになる。

 

 

ところで、松竹伸幸氏の除名処分の再審査では、再審査請求に書かれていた規約との関係での手続きをまったく再審査や再調査していません。

 

・弁明の機会についての再調査

党規約第54条では「除名は、党の最高の処分であり、もっとも慎重におこなわなくてはならない。党員の除名を決定し、または承認する場合には、関係資料を公平に調査し、本人の訴えをききとらなくてはならない」となっています。しかし、弁明の機会のための地区委員会の日程の告知がなかったという松竹氏の主張にたいして、その通知文書や記録などの再調査したのか。

 

・「特別の場合」の定義

党規約第55条では「党員にたいする処分を審査し、決定するときは、特別の場合をのぞいて、所属組織は処分をうける党員に十分意見表明の機会をあたえる」となっています。しかし、どうして党支部ででの処分ではなく、「特別の場合」としたのか。

 

・「分派活動」の定義

松竹氏は「分派活動」が除名理由のひとつとされました。その定義を再三求めましたが、それに答えたのか。

 

これらはすべて再審査の報告では答えていません。

「再審査」は実質上初めてだと思いますが、「異議申立審査会」や「公平委員会」などを設置するのではなく、大会幹部団の責任で再審査を行っています。つまり、党中央の主要メンバーだけで行っているのです。

 

これらは、日本共産党規約から導かれる民主集中制では、すべてが党中央の裁量次第だからです。

除名処分と再審査では、規約で明記されていないことも含めて、党中央の裁量権が圧倒的に大きいということです。

 

 

3.中北浩爾氏の批判の中心

 

chocolateさんは、中北浩爾氏の主張に谷本諭氏が反論し、事実に基づく主張でないというように思いたいようです。

党中央を支持する他の党員も同じなのでしょう。

 

「事実にもとづく批判をしているかといえば、そのような批判はどこにもみられない」

「間違いだというのなら、その理由を示すべきではないか」

「本質的な議論は全く見られない」

 

谷本諭氏など共産党の理論担当の人たちは、そういう表現を使って中北氏の主張を批判します。

 

 

しかし、これらの回答については、中北氏の最後のインタビューで安保政策、民主集中制に関する回答がすべてだと思います。

 

野党連合政権を目指すなら、日米安保の容認など大胆な政策の柔軟化が必要だ。(共産党との共闘を否定する)国民民主党だけでなく、立憲民主党も外交・安保政策の違いを共闘のネックとしている。その場合は中道左派の社会民主主義政党に移行することになる。

日米安保条約の廃棄など急進左派の立場を続け、外から政権を批判するにしても、党勢拡大を望むならば民主集中制を改めた方がいい。自由で公正な党首選挙を行わず、前任者が後任者を推薦して承認する方法では自己改革が難しい。最高幹部の最高齢は90歳代で、組織論は党勢が拡大した1960〜70年代のままだ。世の中はリベラル化しており、社会のさまざまな組織の形も軍隊調ではなく、フラットなネットワーク型に変わってきている。自由で開かれた党組織に転換しなければ、若年層は入ってこない。

 

 

 

 

中北浩爾氏、谷本諭氏が共通に取り上げているドイツの左翼等について、実際にはこういう政党のようです。

 

ドイツ社会民主党(SPD)指導部に反発したSPD最左派が、2005年1月に一斉離党・独立して、WASG(「労働と社会的公正のための選挙オルタナティブ」)という政党を結成した。

その党と統一前のドイツ民主共和国(旧東ドイツ)の独裁政党だった「ドイツ社会主義統一党」(SED)の後継政党である「左翼党-民主社会党」(ドイツ語: Die Linkspartei.PDS)が、2007年に正式合併し、「左翼党」となった。

 

現在の左翼党は党内において民主主義を重視する開かれた左翼政党でる。

旧来式の民主集中制的な前衛党型組織論を有していた(党創立メンバーの潮流上、事実上の前々身政党)「ドイツ社会主義統一党」からは、大きく変貌を遂げている。

 

民主社会主義によって資本主義やグローバリゼーションに対抗しようとすることが共通点とはいえ、その開かれた党の表れとしては同党がマルクス主義やケインズ経済学、さらにはリバタリアンや無政府主義に近い思想まで、極めて幅の広い多様な社会主義像を持つグループを派閥として内包していることが挙げられる。

 

以下は主な派閥。

・反資本主義左翼(Antikapitalistische Linke, AKL)- 党の方針にもっとも批判的なグループで、他党との連立政権に参加することにも否定的。民営化反対、反戦、福祉カット反対などを掲げる。


・共産主義プラットフォーム(Kommunistische Plattform, KPF)- 元は民主社会党(PDS)の派閥で、旧社会主義統一党や東ドイツ時代への反省が薄く、真の社会主義(Realsozialismus)の名でソ連型社会主義の再建を最終目標としている。極左として連邦憲法擁護庁から監視対象とされているグループである。


・社会主義左翼(Sozialistische Linke, SL)-2006年に形成された新しいグループで、WASG出身者が多い。ユーロコミュニズムや労働運動に関心があり、やや穏健だが、連邦憲法擁護庁から監視対象とされている。
改革左翼ネットワーク(Netzwerk Reformlinke)-元は民主社会党(PDS)の派閥で、社会民主党(SPD)や緑の党との連携や連立にも前向き。

 

・解放左翼(Emanzipatorische Linke, Ema.Li。自由解放左翼と訳されることもある)- リバタリアン社会主義(自由意思社会主義、左派リバタリアニズム。社会的無政府主義や左派アナキズムにも思想的に近い)を掲げるグループ。脱中央集権、社会運動への支援などを重視する。


・民主社会主義フォーラム(Forum Demokratischer Sozialismus, fds)-元は民主社会党(PDS)の派閥で民主社会主義を掲げる。改革左翼ネットワークと同じく、社会民主党(SPD)や緑の党との連携に前向き。


他に、主にWASGへの加入を通じて左翼党入りしたトロツキスト・新左翼のグループも多い。

 

(以上、wikipediaより編集)

 

谷本諭氏はこのように書いていました。

 

ドイツ左翼党は、「欧州のNATO(北大西洋条約機構)化」と言われる大逆流のもとでNATO反対で頑張っている党だが、一昨年秋、党訪問団が、この党の指導部と会談したさい、党の規約から民主集中制を削除し、派閥を認めたことが、いくつもの派閥をつくることにつながり、その主導権争いがメディアで報道され、深刻な困難に陥っているという悩みが率直に語られた。ドイツ左翼党の経験は、軍事同盟反対という政治変革の立場に立つ党で派閥を認めることがいかに有害かを私たちに痛感させるものだった。欧州の事例をあげて、わが党に“民主集中制の放棄”を求めるなら、こうした事実も踏まえることが必要ではないか。

 

しかし、もともと東ドイツの旧共産党と西ドイツの社会民主党の左派が合併した政党で派閥は2007年の合併当初からあるものです。

それに日本共産党にドイツの左翼党の誰かが何を語ったのかはわかりませんが、現在も左翼党で、民主集中制を復活させる兆しはありません。

 

谷本氏が、自分たちの都合の言いように事実を切り取るのはどうなのでしょうか?

 

イタリア共産党が変貌を遂げた1990年代にも同じように派閥の存在の是非についての議論がありました。

しかし、イタリア共産党が分裂してできた「左翼民主党」も「共産主義再建党」も民主集中制には回帰しませんでした。

 

政党内での党員としての権利、政治的自由を知った人々はそういう選択はしないものだと思います。

 

中北浩爾氏は「世の中はリベラル化しており、社会のさまざまな組織の形も軍隊調ではなく、フラットなネットワーク型に変わってきている。自由で開かれた党組織に転換しなければ、若年層は入ってこない」と言っています。

 

この意味を日本とヨーロッパの現状を比較して、日本共産党は考えるべきだと思います。