また、日本共産党の匿名の党員による集団記者会見が実施されました。

 

 党員らによる記者会見は、党大会直前の1月11日に次いで2回目。今回参加したのは、現役党員9人、除籍された人1人、離党した人1人の計11人。そのうち5人が1月の記者会見にも出席した。会見は2回とも匿名で開かれた。

   党大会で特に波紋を広げたのが、松竹氏をめぐるやり取りだ。1月15日から18日にかけて行われた党大会の終盤、田村智子副委員長が委員長に選出された。16日の討論では、神奈川県の大山奈々子県議団長が除名処分に異論を唱えたのに対し、田村氏が18日の党大会結語の討論で、大山氏の異論は党外の声が根拠になっていることを挙げて

「あまりにも党員としての主体性、誠実さを欠く発言」


などと批判。田村氏はこの発言の後に委員長に選出されたが、多くの党員の前で異論を「面罵」したことについて「パワハラ」だとする批判が噴出。党は繰り返しパワハラを否定しているが、記者会見ではパワハラだとする見方が相次いだ。

 

 

 

 

この人たちは、大会前にも記者会見をした人たちです。

 

1月の党大会で田村智子委員長が「パワハラ発言」をしたとして撤回と謝罪を求めた。党大会前の1月11日に7人が臨んだ会見に続き2回目。共産党の現役党員が指導部を批判する事態は極めて異例だ。

 

 

 

 

会見で、匿名の党員たちはこんなことも言っています。

 

会見では、出席者の1人が田村氏の発言を映像で紹介し、「(大山氏には)一切反論する機会がない。たくさんの参加者がいる中でこうした発言がされて、ネットにも公開される状況にあった」と指摘。その上で「(新委員長としての)門出の仕事がパワハラから始まったことを非常に残念に思う」と述べた。また、別の出席者は「(映像で発言を改めて聞き)悔しくて泣けてきた」と涙を流した。

「(発言の)パワハラ部分の撤回、大山氏への謝罪を要求していく」と主張する出席者もいた。「警告を無視するならば事実関係の告発などを通じて党内のハラスメントの撲滅、被害者の救済を求める戦いを続けていく」と訴えた。

 

これって、この匿名党員たちが、日本共産党規約に違反していますよね。

 

日本共産党規約の第5条第8項「党の内部問題は、党内で解決する」ってあるのに。

 

第五条 党員の権利と義務は、つぎのとおりである。
 (一) 市民道徳と社会的道義をまもり、社会にたいする責任をはたす。
 (二) 党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為はおこなわない。
 (三) 党内で選挙し、選挙される権利がある。
 (四) 党の会議で、党の政策、方針について討論し、提案することができる。
 (五) 党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。
 (六) 党の会議で、党のいかなる組織や個人にたいしても批判することができる。また、中央委員会にいたるどの機関にたいしても、質問し、意見をのべ、回答をもとめることができる。
 (七) 党大会、中央委員会の決定をすみやかに読了し、党の綱領路線と科学的社会主義の理論の学習につとめる。
 (八) 党の内部問題は、党内で解決する。

 

 

 

 

でも、はたして、田村委員長の結語でのあの発言はハラスメントと言えるのでしょうか?

 

 

 

 

確かに「(大山氏には)一切反論する機会がない。たくさんの参加者がいる中でこうした発言がされて、ネットにも公開される状況にあった」(記者会見での党員の発言)とも言えます。

 

でも、先の党規約の第5条第6項にはこう書いてあります。

 

(六) 党の会議で、党のいかなる組織や個人にたいしても批判することができる。また、中央委員会にいたるどの機関にたいしても、質問し、意見をのべ、回答をもとめることができる。

 

あれれ?

田村委員長は党の会議で組織や個人を批判してもいいんじゃないですか?

 

では、それをメディアに発表している党中央は「党の内部問題は、党内で解決する」前に党外に持ち出したと言えるのでしょうか?

党規約にはこういう規定もありますね。

 

 

第十五条 党機関が決定をおこなうときは、党組織と党員の意見をよくきき、その経験を集約、研究する。出された意見や提起されている問題、党員からの訴えなどは、すみやかに処理する。党員と党組織は、党の政策・方針について党内で討論し、意見を党機関に反映する。

 第十六条 党組織には、上級の党機関の決定を実行する責任がある。その決定が実情にあわないと認めた場合には、上級の機関にたいして、決定の変更をもとめることができる。上級の機関がさらにその決定の実行をもとめたときには、意見を保留して、その実行にあたる。

 第十七条 全党の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない。
 地方的な性質の問題については、その地方の実情に応じて、都道府県機関と地区機関で自治的に処理する。

 

第15条では「党機関が決定をおこなうときは、党組織と党員の意見をよくきき、その経験を集約、研究する。出された意見や提起されている問題、党員からの訴えなどは、すみやかに処理する。党員と党組織は、党の政策・方針について党内で討論し、意見を党機関に反映する」となっています。

 

これは大山奈々子代議員の意見をよく聞き、田村委員長は結語で一方的に断罪するまえに、党内で討論する必要があったのではないかとも思えます。

 

でも、第17条では「全党の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない」となっています。

党大会決定には幹部会委員長の結語も含まれていると思われます。

だから、それに反する方針を勝手に発表しないことに反している、つまり規約違反でしょう。

 

党委員長には代議員の発言を批判し、メディアに発表するのは許されるけど、党員たちがこんなふうに記者会見をしてメディアに発表するのは共産党の規約では懲戒対象になるのです。

 

それが共産党の民主集中制の一側面です。

 

松竹伸幸氏は鈴木元氏に「出版を早めたら」と言ったことで分派活動とされたけど、今回の記者会見は間違いなく「分派活動」ですよね。

党委員長を批判する同じ目的を持って行動しています。

志賀義雄らが1964年に部分的各条約の批准をめぐって記者会見を行ったことと類似です。

 

 

 

 

さて、次の展開は日本共産党中央委員会が、この11人の摘発に乗り出すことでしょう。

正確には、現役党員9人、除籍された人1人、離党した人1人の計11人ということなので、9人の摘発からです。

 

それの是非をめぐってまたメディアに話題を提供することになるんでしょうね。

 

今、共産党では第29回党大会決定の討議が始まっています。

 

11人の記者会見は、支部で討論するか、党中央に手紙を書くのは許されるけど、こんなふうに党外に出すのは御法度なのです。

でも、田村智子委員長の発言がハラスメントかどうかなんてどうやって党内で討議するんでしょうか?

 

例えばある支部で、「あれはハラスメントだ」「そうだ、そうだ」となります。

それが地区委員会にあがります。

そのときに、第15条では「党機関が決定をおこなうときは、党組織と党員の意見をよくきき、その経験を集約、研究する。出された意見や提起されている問題、党員からの訴えなどは、すみやかに処理する。党員と党組織は、党の政策・方針について党内で討論し、意見を党機関に反映する」となっていますが、都道府県委員会にはどう報告され、その意見をどのように反映されるのでしょうか?

 

すでに小池委員長が「パワハラという指摘は違います」と記者会見で答えています。

 

 

 

 

党中央の結論は出ているのです。

討議もせずにね。

 

共産党の民主集中制の民主的な討論って何なのでしょうね?

 

党中央への批判や根本的な批判はNGってことでしょうね。