(大山奈々子氏)

 

第29回党大会で、松竹氏の除名処分を批判した代議員がいた。

 

問題は出版より除名処分 

共産党「怖い」と思われる

 

〇神奈川 大山奈々子 代議員

 

松竹氏の除名問題で顕在化した党内民主主義の課題についてです。昨年地方選前に松竹氏の著作が発刊され、その後まもなく彼は除名となりました。私は本を読んでいませんが、何人もの人から『やっぱり共産党は怖い』『除名はだめだ』と言われました。将来共産党が政権をとったら、国民をこんなふうに統制すると思えてしまうと。問題は出版したことよりも除名処分ではないでしょうか。一時期人気を博した「希望の党」から人心が急速に離れたきっかけは、小池百合子知事の「排除します」という発言でした。あのときに国民が感じた失意が、いま共産党に向けられています。
異論を唱えたから除名したのではないと繰り返しわが党の見解が報じられていますが、そのあとには松竹氏の論の中身が熱心に展開されますので、やはり「異論だから排除された」と思われてしまうんです。
この問題でメディアによる攻撃論が訴えられますが、攻撃の理由を与えてしまったのは党の判断である異状、党の判断に間違いがないというのであれば、わが党が民主的である少佐として、松竹氏による再審査請求を適切に受け止めて、国民の疑念を晴らすべく透明性をもって対処することを要望します。『除名』は対話の拒否にほかなりません。排除の論理ではなく包摂の論理を尊重することは、政党運営にも求められています。


https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2024-01-18/20240118-009.pdf
(『しんぶん「赤旗」』1月18日付より)

党中央を批判した発言はこのひとつだけのようだが、この発言は波紋を呼んだようだ。


神奈川県の大山奈々子県議団長は党運営の在り方にこう苦言を呈した。念頭にあるのが昨年1月、元党員の松竹伸幸氏が党首公選制の導入など党運営の透明化を訴える書籍を出版した際、党から「重大な規律違反」として除名処分されたことだ。松竹氏は処分を不服として今大会で再審査を請求し、処分の撤回を求めたが、請求は却下された。

大山氏の発言は「心ある党員の心情にマッチしている。全面的に賛同する。共産党の良心ともいえる発言」(山口県萩市の宮内欣二市議)などX(旧ツイッター)上で共感も広がった。

ただ、田村氏は18日の党大会結語の討論で、大山氏の発言を取り上げて「『除名処分を行ったことが問題』という発言者の姿勢に根本的な問題があることを厳しく指摘する」「党員としての主体性を欠き、誠実さを欠く発言だ」「全く節度を欠いた乱暴な発言」「党外から出版という形で党の綱領と規約を攻撃した者を除名処分にしたことは当然だ。この政治的本質を全く理解していない発言者に大きな問題がある」など延々と批判した。

 

 

 

産経新聞はそう報道した。
さらに、党大会の様子はインターネット配信されており、全国に党員に波紋を広げたことも伝えている。

共産党のある地方議員は産経新聞の取材に「明らかなパワハラだ。見ていて気分も悪くなった。田村氏の結語について、地方組織で事後採決する際には一言言おうと思う」と語る。神奈川県相模原市の今宮祐貴市議も18日、Xに「この糾弾はハラスメントだと考える。謝罪と撤回が必要。市民の理解は得られない」と投稿した。

 

愛知県東郷町の門原武志町議は田村氏の結語の直後、党本部に抗議の電話を入れたことを明かし、「ハラスメントの芽を小さなうちに摘む組織でありたいと思う」とXに書き込んだ。京都府長岡京市の小原明大市議もXで「参加者の発言内容に誤りがあったとしても、参加者全員の前でその個人を極めて厳しく叱責するようなことは、ハラスメント根絶を掲げる組織としてはやってはならない」と訴えた。

 

田村氏はこれまでベテラン議員や省庁幹部によるセクハラや職場のパワハラには厳しい姿勢で臨む一方、身近な問題には〝鈍感力〟も発揮していた。令和4年、当時上司だった小池晃書記局長が田村氏を会合で叱責し「パワハラ」に該当するとして党から処分された際、当の田村氏は「パワハラを受けた認識はなかった」などと語っていた。

 

今宮祐貴 相模原市議

 

小原明大 長岡京市議

 


しかし、党大会では逆に、代議員の大山奈々子氏が党中央を批判したことへの反論がいくつか続いたようだ。
 

大山氏の意見、容認できない

松竹氏除名の手続き適正

 

〇京都 河合秀和 代議員

 

大山奈々子代議員の松竹氏に関する対応と提案については、容認することはできません。松竹氏の規律違反に関する調査は全国的に大きな開題になっており、特別な事情があるもとで地区常任委員会が調査することを支部と合意して進めたものであります。支部からも、このような問題は対応できないという意見があがっていました。昨年2月2日の松竹氏の規律違反の調査は十分時間を取って行われました。松竹氏は自衛隊容認論を繰り返し、一度も支部会議でも持ち出したことがない「党首公選制を採用せよ」と執拗(しつよう)に繰り返しました。党内問題は党外に持ち出してよい、それどころか党外に持ち出さなければ党は変わらないと主張しました。党綱領と規約に真っ向から反すると指摘しましたが、持論を撤回することはありませんでした。最後にこれ以上言うことはないと述べたので、調査は打ち切りました。私から2月5日の地区常任委員会で処分を決定することを告げましたが、この会議への出席を求める言及はありませんでした。2月5日、松竹氏から2回、処分は決まったかを問う電話がありました。常任委員会後、松竹氏に除名処分を伝えると、その10分後に毎日新聞の記者から、京都南地区の常任委員会が松竹氏の「除名」を決めたと聞いたが事実かと、問い合わせがありました。マスコミとも連携した動きであったことは議論の余地がないと思います。


 

党内民主主義壊すのは松竹氏、

反撃は党員拡大で

 

〇東京 中野顕 代議員

 

新宿地区委貝会の中野です。松竹氏の除名問題に関する大山奈々子代議員の発言に驚いています。どれだけ現場は苦労していると思っているのかと。松竹氏の党への攻撃は統一地方選挙前に行われ、3日に1回は、この問題を街頭で開かれ、新宿では2千~3千票減ったという実感でした。

そこで一つは野党共闘をめぐる新しいステージでの反共攻撃を絶対に軽視しないで正面対決すること。二つは支配勢力による反共攻撃が強まるのは、自民党政治が行き詰まっている夜明け前という見地で、恐れず攻勢的に立ち向かえば得票の躍進も可能だと意思統一。

まず反共攻撃の最大の反撃は党員拡大だと位置づけ「有権者が党組織と活動への関心を高めている。党の本当の姿を伝えていけば、党員拡大のチャンスにできる」という立場で頑張り、選挙前10人の入党者を迎えることができました。区議選では、大山ともこ都議(新宿区)の応援演説はほぼ全部反共反撃にあて、区議団や都議団の運営がいかに民主的で、チームカを発揮していると語りました。民主集中制への攻撃に対する反論と党議貝団の実績を押し出し訴えました。支部の党員も苦労しながら懸命に支持拡大し区議を6人から7人に増やせました。

松竹氏の本を読みました。党の安保政策を野党共闘の障害になっていると「批判」。国民民主党や運合指導部と連携するため党の基本政策を安保堅持・自衛隊合憲に転換すべきとか、党名変更したらいい、党の専従は党から給料をもらっているから逆らえない、共産党員でさえ共産主義は独裁と思っているとか言いたい放題の本でした。自分の意見に自信があるのなら、なぜ党内で議論しないのかと言いたい。いきなり本を出版し、週刊誌などで意見を開示するのは、意見の一致を勝ち取る姿勢が見られません。

党内民主主義を壊しているのは松竹氏自身で除名は当然です。

多数者革命には団結した党が必要です。29回党大会が、党の新たな発展の出発点になるようにがんばります。

 

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2024-01-18/20240118-009.pdf

 

 

そして、除名処分の論評を書いた「しんぶん赤旗」政治部長の中祖寅一氏も発言した。


松竹氏の主張は支配層への屈服

意見の対立で排除はしない

 

〇中央 中祖寅一 評議員

 

先ほどの大山さんの話をうかがって発言内容を少し切り替えます。

大山さんは「出版より除名が問題だ」と発言されたと思います。問題は党の側で松竹氏ではない”と。しかしなぜ除名が不当かについて具体的理由を示されませんでした。

党は著作の内容を慎重に吟味し党の根本路線への攻撃を認定して除名を決定しています。

松竹氏の著作の内容について一言申し上げると、松竹氏は安保も自衛隊も維持する基本政策を打ち出すことで他の野党との間に共通の土俵ができると強調しています。

共産党が日米同盟堅持の立場に立てということで、これはまさに支配層の求める安保容認、自衛隊合憲の「現実路線」への変更を迫るもので支配層への屈服に他ならない。松竹氏自身が支配愬の党攻撃にのみこまれた結果です。

また、大山さんは「対話の拒否だ」とも言われました。しかし対話の拒否をしたのはどちらでしょうか。党内での自由な議論と対話を放棄して党の外からいきなり出版という形で攻撃を開始したのは松竹氏です。

小池百合子氏が2017年の総選挙で「排除いたします」と述べ失速したのと同じとも言われた。しかし、これは党の対応と反共主義者の共闘破壊の論理とを同列に置くもので批判としての節度をあまりにも欠いています。

申し上げたいのは、共産党が党内での異論を許さないということは絶対にないということです。

党規約は意見が違うことによって組織的な排除を行ってはならないことを根本原則としています。

党は共通の世界観と綱領で団結する人間集団であって意見の対立が生じた場合でも、それは何が社会変革の正しい道筋であるかの探求の過程での対立です。そのとき何が正しいかを決めるのは多数が少数を押さえつけたり、排除したりすることではなく、統一した共通の実践によって党の認識や互いの認識の正しさが検証される。こうした根本哲学に立脚しています。

突然党外から攻撃するやり方で、包摂的な足場を踏み外したのは松竹氏自身だと申し上げて発言を終わります。

 

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik23/2024-01-18/20240118-010.pdf

 


これに対する田村智子副委員長の結語であらためて大山奈々子氏を批判した。

「しんぶん赤旗」では短く省略されているようだ。

産経新聞に全文が掲載されている。

 

 

この大会の討論の中で、元党員の除名処分について、『問題は出版したことより除名処分ではないか』、つまり、除名処分を行ったこと自体が問題だとする意見が出された。

 

この意見に対して、代議員・評議員から、処分を受けた元党員の言動は党の綱領と規約の根幹を否定し、党の変質を狙った、明らかな攻撃であったこと。メディアを利用して地方選挙の前に攻撃をしかけたのは、元党員の側であること。わが党は異論を許さない党などでは決してないことなどが、この攻撃を打ち破る論戦を懸命に展開した経験に立って発言された。

 

除名処分が規約に基づく当然の対応であったことは、すでに山下(芳生)副委員長から再審査請求の審査内容として明確に報告され、再審査請求を却下することに異議を唱える者はなく、党大会で承認を得たことは、党の最高決定機関による党への妨害者・攪乱(かくらん)者への断固とした回答を示したものとして重要だ(拍手)。

 

党大会での発言は一般的に自由であり、自由な発言を保証している。しかし、この発言者の発言内容は極めて重大だ。私は『除名処分を行ったことが問題』という発言を行った発言者について、まず、発言者の姿勢に根本的な問題があることを厳しく指摘する。

 

発言者は『問題は出版したことより除名処分ではないか』と発言しながら、除名処分のどこが問題なのかを何も示していない。発言者は、元党員が綱領と規約にどのような攻撃を行ったかを検証することも、公表している党の主張・見解の何が問題なのかも何一つ具体的に指摘していない。発言者が述べたのは、ただ、『党外の人がこう言っている』ということだけだ。党外の人が言っていることのみをもって処分が問題と断じるのは、あまりにも党員としての主体性を欠き、誠実さを欠く発言だと言わなければならない。

 

発言者は、(旧)希望の党の小池百合子氏の『排除』発言を持ち出して、『あの時国民が感じた失意が、今、私たち共産党に向けられていると認識すべき』とまで発言した。反共分裂主義によって野党共闘を破壊した大逆流と並べて党の対応を批判するというのは、全く節度を欠いた乱暴な発言と言うほかありません(拍手)。

 

発言者は『除名というのは対話の拒否だ』と述べ、包摂の論理を尊重することは政党運営にも求められていると述べた。しかし、対話を拒否したのは誰か。党を除名された元党員は、自分の意見を一度として党の正規の会議で述べたことはなく、一度として正規のルールにのっとって党に意見を提出したこともない。党内での一切の対話の努力をしないまま、党外からいきなり党攻撃を開始したというのが事実だ。ここでも発言者は批判の矛先を180度間違えていると言わなければならない。

 

党を除名された元党員の問題は、山下副委員長の報告で詳しく解明したように、共産党の安保・自衛隊政策が野党共闘の障害になっている、安保容認・自衛隊合憲に政策を変えよ、民主集中制を放棄せよという支配勢力の攻撃に飲み込まれ、射落とされ、屈服したところに政治的本質がある(拍手)。

 

党外から出版という形で党の綱領と規約を攻撃した者を除名処分にしたことは当然だ。問題のこの政治的本質を全く理解していないことに発言者の大きな問題があると言わなければなりません(拍手。」

 

わが党は多数者革命に責任を持つ党として、組織と組織原則への攻撃を断固として打ち破り、党の統一と団結を固め合い、これからも民主集中制の組織原則に基づいて強く大きな党をつくり歴史を開く。この決意をここに表明するものだ(拍手)。

 

 

 

さて、これは公正な議論なのか?

それとも、権力を持った者の公開パワハラなのだろうか?

 

大山奈々子氏は「私は本を読んでいませんが」と前置きして発言している。

なんだ、これは?

本を読んでいないでどうして堂々と大聴衆の面前で発言できるのか?

それもすごいと思う。

でも、穀田惠二議員も記者会見で、「著書を読んでいないが」「けしからんと思う」と言っていた。