前回のブログ「日本共産党は政党交付金を受けとって、政治改革に乗り出すべきではないのか?」にいろいろコメントをいただきました。
その中で、raspberyさんから
れいわ新選組や維新の会が寡頭制のごとく党運営がなされていますが、政党助成金をもらっていますが、いかがでしょうか?
というコメントがありました。
それに対して、パトラとソクラはこう答えました。
代表の選び方をみると、れいわと維新は一般党員の投票を認め、一定の比重で党首選挙で反映するしくみをとっています。
維新は党員資格を2年間党費を払っているものにし、れいわは投票の前にサポーターなどの資格を持っているものとしているので、維新のほうがより厳格です。
いずれも代表候補者は投票の前に、全党員・サポーターに明らかになっています。
寡頭制かどうかという意味では、日本共産党が代表候補も示さず、上部機関の集団名簿で下部機関が信任投票のように行っているほうが寡頭制の性格は強いと思います。
すると、chocolateさんから、
政党組織における「寡頭制・独裁制」の対義語は「集団指導体制」みたいなものかと思うのですが、党運営の実態から言うと、共産党の方が他党より寡頭制的と指摘されている論拠がよくわかりませんでした。
(ちなみに私は、共産党の指導体制は、基礎的組織の議論を経た重層的な選挙によって選出された幹部会を核とする集団指導体制である、と思っています。)
というコメントがありました。
「寡頭制」「独裁制」「集団指導体制」という用語は、話し手によって違う意味を表している場合もあります。
そこで、今回は党首の選び方についてまとめ、パトラとソクラ党の考えを示したいと思います。
実はなんじゃ、これは?
と思ったのがれいわ新選組の代表選挙でした。
れいわって、山本太郎の独裁政党じゃないの?
って思っていたら、代表を公選制で選ぶというにビックリで、この三つ巴の候補者は何?
ひと組は共同代表連合で二人でひとつらしい。
あの右翼から左翼に転じた古谷経衡なんかも出馬しています。
あの人、れいわだったのか。
おまけに、れいわオーナーズとかフレンズになれば代表選に参加できるらしい。
左翼ポピュリズムだという認識しかなかったれいわ新選組だけど、なかなか面白いことをやっています。
ところで、日本の政党ってどうやって党首を選んでいるんでしょうか?
民主主義を重視する日本でどういう政党が、国民に支持されるんでしょうね。
その民主主義を重視する日本で、社会主義を目指しているという日本共産党はどういう党内民主主義を、どんな形の党首選びをするべきなんでしょうか?
ちょっと考えてみました。
1.日本の党首はどうやって選ばれているのか?
まず、現在どうやって党首が選ばれているのか、ざっとまとめてみます。
○表1:日本の政党の党首の選び方(その1)
政党 | 自由民主党 | 立憲民主党 | 国民民主党 |
---|---|---|---|
党首の名称 | 総裁 | 代表 | 代表 |
現在の党首 | 岸田文雄 | 泉健太 | 玉木雄一郎 |
選挙権と重みづけ | 「国会議員票」と「党員票」は同数で、国会議員1人1票の「国会議員票」を基準とし、全国の党員・党友による投票で配分が決まる「党員票」も同じ基準票を与え、合計表で争われる。 | 衆参両院の国会議員は1人2ポイント、国政選挙の公認候補予定者は、1人1ポイントの合わせた基準ポイントとなる。 全国の地方議員と党員・サポーターにも同じ基準ポイントが割り当てられ、得票数に応じて、ドント方式で候補者にポイントを配分する。 これらを合計したポイントのうち、過半数を獲得した候補者が、新しい代表に選出される。 |
衆参両院の国会議員は1人2ポイント、国政選挙の公認候補予定者は、1人1ポイントの合わせた基準ポイントとなる。 全国の地方議員と党員・サポーターにも同じ基準ポイントが割り当てられ、得票数に応じて、ドント方式で候補者にポイントを配分する。 これらを合計したポイントのうち、過半数を獲得した候補者が、新しい代表に選出される。 |
選挙方法 (国会議員) |
「国会議員票」は通常、東京都内のホテルで投票が行われ、その場で開票される。 | 臨時党大会で即日開票される。 | 臨時党大会で即日開票される。 |
選挙方法 (党員) |
党員投票は、規程では2年間、党費を納めた党員に選挙権が与えられることになっている、最近二回の総裁選挙では1年分の党費を納めた党員に投票権が与えられる。 各都道府県本部で投票し、各都道府県連が集計した得票数を党本部でまとめ、ドント方式で候補者に配分される。 |
地方議員とサポーターはインターネットと郵送で投票する。 | 地方議員とサポーターはインターネットと郵送で投票する。 |
候補者要件 | 党所属国会議員20人の推薦 | 党所属国会議員20人以上の推薦 | 立候補には、国会議員と地方議員それぞれ4人以上の推薦人が必要 |
決選投票 | 1回目の投票で過半数に届かなかった場合、上位2人による決選投票が行わる。 決選投票は、国会議員票382票(2021年の場合)と、都道府県連に1票ずつ割り振られた47票の合わせて429票で争われる。 |
過半数のポイントを獲得する候補者がいなかった場合は、上位2人による決選投票が行われる。 決選投票は、国会議員が1人2ポイント、公認候補予定者が1人1ポイント、各都道府県連の代表者に1人1ポイントを割り当てた合計ポイントで争われる。 |
過半数のポイントを獲得する候補者がいなかった場合は、上位2人による決選投票が行われる。 決選投票は、国会議員が1人2ポイント、公認候補予定者が1人1ポイントを割り当てた合計ポイントで争われる。 |
国会議員数 | 衆議院274人、参議院108人(2021年の場合) | 衆議院96人、参議院44人(2021年の場合) | 衆議院10人、参議院11人(2023年の場合) |
地方議員数 | 都道府県1246人、市町村1273人(2022年12月現在) | 都道府県58人、市町村254人(2022年12月現在) | 都道府県14人、市町村53人(2022年12月現在) |
党員・サポーター等数 | 2021年の場合、党員は110万4336人 | 100,267人 (2021年11月16日現在) | 36,682人 (2023年8月3日現在) |
この3つの政党は似た感じです。
国会議員と地方議員、党員が党首を選びます。
でも、国会議員の比重が大きいのが特徴です。
立憲民主党と国民民主党はほぼ同じ。
違うのは、推薦人で国会議員の少ない国民民主党は、推薦人に国会議員以外の地方議員も加えたりしていることくらい。
○表2:日本の政党の党首の選び方(その2)
政党 | 日本維新の会 | 公明党 | れいわ新選組 |
---|---|---|---|
党首の名称 | 代表 | 代表 | 代表 |
現在の党首 | 馬場伸幸 | 山口那津男 | 山本太郎 |
選挙権と重みづけ | 一般党員(継続して年間党費を納入している) 特別党員(代表選挙が行われる臨時党大会の招集案内) 特別党員とは、国会議員、地方議員、首長ら臨時党大会に出席できる者。 |
党大会で投票によって決める。投票できる選挙人は党大会出席の代議員。 | <有権者> ・党所属の国会議員及び党役員 ・予定候補者 ・党所属の地方議会議員 ・れいわオーナーズ及びれいわフレンズ 国会議員及び党役員1人1票の数を基準とし、同じ基準の数を地方議員とれいわオーナーズ及びフレンズ投票に配分し、その合計票で決まる。 |
選挙方法 (国会議員等) |
臨時党大会で一人一票で投票。 | 下参照。 | 投票日に投票し、即日開票される。 |
選挙方法 (党員) |
一人につき一票。往復ハガキで投票。 | 党大会で即日開票。党大会出席の代議員。 | 地方議員は郵送、オーナーズおよびフレンズはインターネットで投票する。 |
候補者要件 | 特別党員30人の推薦 | 党所属国会議員10人の推薦 | 党所属国会議員1人以上の推薦 |
決選投票 | 一般党員と特別党員が同じ一票を持ち、一回の投票で決まる。 | なし。 | 代表候補者が3人以上である場合で、過半数を得た代表候補者がいないときは、上位2人による決選投票をう。 決選投票は、党所属国会議員及び党役員の直接投票。 |
国会議員数 | 衆議院41人、参議院16人(2023年現在) | 衆議院32人、参議院27人(2023年現在) | 衆議院3人、参議院5人(2023年の場合) |
地方議員数 | 都道府県15人、市町村138人(2022年12月現在) | 都道府県197人、市町村2682人(2022年12月現在) | 都道府県0人、市町村2人(2022年12月現在) |
党員・サポーター等数 | 40,800人 (2023年2月5日現在) | 約450,000人 (2021年9月30日現在 “党概要”. 公明党ウェブサイト 2021年11月11日閲覧。 ) | オーナーズ5473人、フレンズ7332人 |
○表3:日本の政党の党首の選び方(その3)
政党 | 日本共産党 | 政治家女子48党 | 社会民主党 |
---|---|---|---|
党首の名称 | 日本共産党中央委員会幹部会委員長 | 党首 | 社会民主党全国連合党首 |
現在の党首 | 志位和夫 | 大津綾香 | 福島瑞穂 |
選挙権と重みづけ | 2年または3年の間に1回開かれる党大会で、全国から選出された代議員による中央委員会を選出。 中央委員会で、幹部会委員、幹部会委員長、幹部会副委員長、書記局長を選出 ※所属する党組織(末端は党員3人以上の党支部)の一級上の党機関に関する代議員や役員のみを選挙する。「立候補」も認められているが、代議員や役員の候補は党機関執行部があらかじめリスト化し、選挙ではこのリストに◯付けする信任投票がされる。 ※中央委員会の候補者リストは委員長、副委員長らが決め、代議員は◯付けの信任投票をする |
選挙なし。 規約で、「党首は大津綾香とし、臨時管理人は立花公美とする」となっている。 |
? |
選挙方法 (国会議員等) |
党大会で代議員が中央委員を選出(国会議員を含む) | ー | ? |
選挙方法 (党員) |
党支部で一級上の党機関に関する代議員や役員を選挙する。 | ー | ? |
候補者要件 | 中央委員は、党歴二年以上。 | ー | ? |
決選投票 | ー | ー | ? |
国会議員数 | 衆議院10人、参議院11人(2023年現在) | 参議院2人(2023年現在) | 衆議院3人、参議院5人(2023年の場合) |
地方議員数 | 都道府県115人、市町村2163人(2022年12月現在) | 都道府県0人、市町村0(2022年12月現在) | 都道府県27人、市町村137人(2022年12月現在) |
党員・サポーター等数 | 2023年9月、党員数が約28万人 | 891人(2022年10月現在) | 13,016人 (2021年3月30日現在) |
この党首問題の裁判、実はまだ続いているらしい。
でも事情通はこう言っていますね。
党規約では、党員は大会の代議員や指導部たる役員を「民主的に選挙」するとされています。しかし、実際は所属する党組織(末端は党員3人以上の党支部)の一級上の党機関に関する代議員や役員しか選挙できません。「立候補」も認められていますが、代議員や役員の候補は党機関執行部があらかじめリスト化し、選挙ではこのリストに◯付けする信任投票がされます。事実上、指導部主導の根回しで決まるということですね。
こうした形を何段階か繰り返して選ばれた代議員たちが2〜4年に一度開催される全国的な党大会で中央委員会の役員を選出します。支部、地区党会議、都道府県党会議で各執行部によるリスト化でふるいにかけられてきた代議員に、党中央へ批判的な者が入っている可能性は、ほぼゼロです。
党大会に提出される中央委員会の候補者リストも最高指導者たち(志位委員長や副委員長たち、小池晃書記局長、なぜか不破哲三社会科学研究所長)が決め、代議員は◯付けの信任投票をするだけ。全国レベルの会議では代議員はリストの役員候補者を個々には知りませんから、執行部への信頼を根拠に機械的に◯付け投票し、晴れて全員信任となるわけです。
更に最高指導者たちの意のまま選ばれた中央委員の最初の会議でこれもあらかじめ根回しされたメンバーがその上の幹部会委員として口頭で推薦され、拍手で承認。次の幹部会委員の最初の会議でも同じ繰り返しで最高指導者の最側近集団である常任幹部会委員(21名前後)を選出…。
結局、すべてがトップとわずかな側近たちで決められているのです。健康を壊したり、上級の不興を買わない限り、党役員に再選を妨げる規定はありません。党のトップは自分を含め、お気に入りの役員を事情が許せばいつまでも再任させることができます。
2.海外の政党の党首はどうやって選ばれているのか?
去年、イギリスでボリス・ジョンソン首相が辞任に追い込まれたときこういう報道がありました。
新しい党首を選ぶ選挙はこれまでの例に従えば、3人以上が立候補した場合は議員による投票を繰り返して2人に絞り込んだうえで、全国の党員による投票が行われます。
イギリスのメディアは、議会が夏の休会に入る7月後半までに候補者が2人に絞り込まれ、ことし9月以降に最終的な投票が行われる見通しを伝えています。ただ、党内からはジョンソン首相が秋までそのポストにとどまることに反発して、手続きを急ぐべきだという声もあがっています。
イギリスの保守党でも、党首選びの投票に党員が参加しているのです。
イギリスの保守党の党首選びはこうなっています。
党首選に立候補できるのは、党所属下院議員のみである。その立候補には、自らを除く 8 名(2019 年党首選の規定。2016 年以前は 2 名)の下院議員の推薦が必要となる。
候補者が 1 名の場合は、その候補者が党首となる。ただし、党評議会(Board)が党員投票による承認を命じる場合には、推薦受付締切日から1か月以内に党員投票を実施することができる。
候補者が 2 名の場合は、少なくとも 3 か月前から党員であった者による党員投票が郵便投票によって行われる。過半数の票を得た候補者が当選する。
候補者が3名以上の場合は、下院議員によって候補者を2名に絞り込む第1段階を経た上で、党員投票により 2 名のうちの 1 名を選ぶ第 2 段階によって最終的に党首が選出される。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_12132513_po_1177.pdf?contentNo=1
引用したのはちょっと専門的な論文ですが、ここにはドイツとフランスの党首選の事情も書かれています。
イギリスの労働党だとこうなります。
党首選の候補者は、労働党所属の下院議員でなければならない。現職党首がいる場合、当該党首の立候補に推薦人は不要であるが、その他の候補者は、下院議員の 20%の推薦人が必要となる(候補者本人も推薦人になることができる。)。これに対し、現職党首がいない場合は、下院議員の 10%の推薦人(同上)に加えて、①選挙区労働党の 5%、又は、②労働組合等の党加盟団体の 3 団体(そのうち少なくとも 2 団体は労働組合でなければならず、かつ加盟団体を通じて党員となった者の少なくとも 5%を擁していなければならない。)のいずれかの推薦が必要となる。
党首は、党員投票により選出される。投票権を有するのは、①党員、②特定の期間に 25 ポンド(約 3,800 円)の登録料を支払った登録サポーター(Registered Supporters)、③加盟サポーター(Affiliated Supporters. 党加盟団体に所属する者であって、党首選での投票を希望し、労働党に一定の登録料を支払ったもの)である。ただし、過去 2 年間に他の党の党員であった者等は登録サポーターや加盟サポーターになることはできない。
投票は、選択投票制(preferential vote)により行われる。選択投票制とは、全候補者に 1、2、3…と選好順位を付して投票する方法で、「1」の付された投票の過半数を得た者がいれば当選となる。該当する候補者がいない場合は、「1」の付された投票が最も少なかった候補者を除外するとともに、当該候補者の得票をその票に示された選好順位に従って移譲し、過半数を得る者が現れるまで、移譲を繰り返す。投票の方法はオンラインによる。ただし、メールアドレスを登録していない者は郵便による。
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_12132513_po_1177.pdf?contentNo=1
日本の自民党や立憲民主党が行っているような国会議員の推薦を被選挙権の要件としているのは同じです。
また、れいわ新選組のようにお金を払えば投票できる登録サポーター制度というのもあります。
ただ、投票では「選択投票制」という好きな順位をつけて投票します。過半数で一番を得たら当選ですが、そうでなければ、選好順位で一番が少なかった人を除外したりして選ぶという複雑な方法を採用しています。
まだ、自民党や立憲民主党が採用している党員の比重をドント式にするほうが分かりやすい気がします。
気になるのは、民主主義的運営が進んでいそうなドイツの社会民主党です。
ここの党首は、社会民主党の党首は、党理事会(Parteivorstand)の議長です。議長は 2 名又は 1 名から成り、2 名の場合はそのうち 1 名は女性でなければならないという決まりもあります。
議長は、2 年ごとに開催される党大会において選出されます。
党首選挙は、党規約上、選挙の前に党員意向調査(Mitgliederbefragungen)を行うことができると定められており(第 13 条第 5 項)、2020年議長選の際には党員意向調査が実施された。
政党法上、議長は党大会で選出する必要があるので、党員意向調査で過半数の支持を得た議長候補者を党大会で正式に承認した。
議長選には、2 名のリストでも単独でも立候補することができる。立候補するには、党員であること(連邦議会議員である必要はない。)のほか、1 つの州支部、1 つの地域支部(Bezirk)又は 5 つの支地域支部(Unterbezirk)の推薦が必要となる。
党員意向調査の投票権は全ての党員が有する。投票の過半数を得た候補者(2 名又は 1 名。以下同じ。)があれば当選人となる。該当する候補者がいない場合は、1 位と 2 位の候補者による決選投票が行われる。党員意向調査は、投票率が 20%を超えると有効となり、当選人が議長選任議案として党大会に提示される。投票の方法はオンラインによる。ただし、所定の期限までにオンライン投票の申込みがなかった党員については郵便による。
党大会は、地域支部党大会で選挙される代議員 600 名と党理事会構成員により構成される。
地域支部ごとの代議員数は、まず各地域支部に 2 名ずつ配分し、残りの代議員を、各地域支部の前年の党員数に比例して配分する。党大会では、党員意向調査の当選人を候補者とする議長選任議案を承認することになる。党員意向調査が行われない場合は、代議員等の単純多数で議長を選出する。
まず、党員がそれぞれ一票を持っていて、党員意向調査という投票をします。
投票の過半数を得た候補者(2 名又は 1 名。以下同じ。)があれば当選人となります。
党大会では、党員意向調査の当選人を候補者とする議長選任議案を承認します。
党員意向調査が行われない場合は、代議員等の単純多数で議長(党首)を選出することになります。
代議員といえども、党員の直接投票の結果に従わなければならないということです。
フランスでは、共和党の総裁であるクリスチャン・ジャコブ(Christian Jacob)氏が当選した 2019 年総裁選の際に適用された手続はこんな感じでした。
総裁選に立候補するには、党員であることのほか、党員の 1%及び議員(下院議員、上院議員又は欧州議会議員)の 5%の推薦が必要である。党員の推薦は、少なくとも異なる 15 の県連合の党員から成っていなければならず、1 つの連合からの推薦が 10 分の 1 を超えてはならない。
総裁は、全ての党員によって構成される党大会において選出される。党大会における投票で過半数の票を得た候補者が当選となる。過半数を得る候補者がいない場合は、上位 2 名の候補者による決選投票が行われる。投票はオンラインにより行われ、オンライン投票ができない党員は、各地に設置された投票所で電子投票を行う。
全ての党員によって構成される党大会で党首が選ばれます。
投票はオンラインで行われ、候補者の得票が過半数に満たない場合は、2名の決選投票がオンラインで行われるということです。
いずれの国も党員の一票を重視していると言うことが分かります。
3.議会で社会主義を目指す日本共産党は、どのような党首公選制を目指すべきか?
ソ連や中国の共産党は、プロレタリア革命が人間を解放するという建前でした。
プロレタリア社会の実現のためには、プロレタリア独裁(執権でもディクタツゥーラでも同じ)が必要だと、レーニンは言いました。それがボルシェヴィキの方針でした。
資本主義の復活、ブルジョアジーの復活を許さないためには、レーニンがそう考えたのも分かる気がします。
第一次世界大戦を「内戦から革命へ」とツァーリのロシア帝国を社会主義・ソ連に変えたのです。
その前衛党として共産党があらゆる権力を奪取する必要があり、革命後もプロレタリア社会を実現するためには、共産党が主導的な役割をする必要がありました。
レーニンがカウツキーをこっぴどく批判してまで守った「民主集中制」とはその共産党の心臓部だったのでしょう。
「民主」というのは形ばかりで、優れた指導部に指導され、党の団結を統一を守って、革命を遂行する中央集権的官僚組織、それが「民主」「集中制」の内実でした。
それが、思想や表現の抑圧に繋がり、ソ連ではソルジェーニツインなど収容所送りになったりした思想犯が多く生まれました。
資本家階級の経済的自由を奪い、労働者階級を解放しようとしたのですが、実際には欲望や自由を抑圧した70年あまりでした。
そして今も中国やベトナム、ラオス、キューバなどの共産党や日本共産党にもその残滓なのか、民主集中制が生き続けてしまっています。
自由投票は国家元首も、党首にも適用などしません。
そんなことすると、国家や共産党のなかに派閥や分派が生まれ、国家が崩壊するんだと思っているんでしょうね。
そんな考えで、社会主義を民主主義を重視した議会で実現できるのでしょうか?
だれがそんなプロレタリア革命のために、国民の「自由」を抑圧する社会なんて望むでしょうか?
だから、日本共産党が本当に議会を通じて社会主義を目指そうと思うのなら、日本のどこよりも民主主義の行き届いた政党にすべきです。
さしあたり、ドイツの社会民主党やフランスの共和党の党首選びが参考になるんじゃないでしょうか。
つまり、党員の一票が党首を決めることを重視した民主主義です。
党員は正しい答えを選ぶ。
そう信じれば、そういう選挙制度ができるのです。
まあ、派閥や分派活動を恐れているようでは、本当の民主主義には近づけないでしょう。