前回はピアノ伴奏で歌ってもらいましたが、今回はパソコンでYouTubeをだして、それをビデオプロジェクターを使ってスクリーンに写し、パソコンのイヤホンにスピーカーを繋いで、パソコンから流れる音楽を大きくして、、と大掛かりなセットを緩和病棟のサロンに持ち込みました。

その前3回ほど、病室の壁にYouTubeの動画を写し、歌の練習をしてもらいました。

その時は、次から次に曲名をいいます。

あの鐘を鳴らすのは貴方はどうかな?
桜坂はどうかな?
大空と大地の中ではどうかな?
越冬ツバメはどうかな?

どんどん歌いたい曲が出てくるので、
「今回は、2・3曲にしておいたらどう?」

あんまり下手くそな歌を聞かされるギャラリーにも悪いしな、、
、とは言いませんでしたが、、、

日曜日の忙しい時間を割いて来てもらい、なんのお礼も出来ないこともあるし、、、

せめて、お茶くらいは用意しないと、、、


ボランティアの人が、「皆さんがいらっしゃったら、注文聞きましょうか?」

そういってくださったのですが、

「私、お茶とアイスコーヒーは用意しているのですが、氷が無いので、もしよろしかったら氷をいただけませんか?」
とお願いしました。

緩和病棟では、3時のお茶を出していただけるのですが、お金は心あれば
募金箱に入れてください、とのことでしたので、夫にかき氷を出して頂いて

夫が喜んで「かき氷だしてくれた」と言ったとき、ボランティアの人に

「少ないのですが、、、夫が喜んでいましたので、、、ありがとうございます」
と500円をお盆に乗せて、器を返却します。


夫には、スーツとピンクのネクタイ(息子に成人式用に買ったやつ)を着せて、準備万端??

ところが、昨日はちゃんとYouTubeをだしてくれたパソコンが
今日に限って、動きません。

「故障だな、、、もしかしたら、もう動かないかも、、、」と言われ、、あれま、、、

しかも、マイクも動きません。

前回は私がいつもボランティアで
演奏しながら歌うとき用のカチューシャみたいになっているやつなんだけど
耳にスポンジみたいなのをあてるからか、「音が聞こえない」と言ったので
普通のマイクを持って行きました。
出がけに、いつも使うマイクも持たなきゃ と神様の声が聞こえたのに
バタバタしていて、忘れてしまいました。

11時に常滑で納棺が入りました。2ヶ月ぶりに仕事が入ったのです。
もう、そこの葬儀社は私に仕事をくれないのかな、、、そう思っていました。
それが終わって1時に家に帰り、スクリーンを運ぶために、夫の車を使おうと
前日から、車を置いてってね、と息子に頼んでいたのに、バイトに乗って行ったと
電話があって、バイト先まで車を交換に行き、それから2メートル 10キロのスクリーンを
車に乗せて、病院に行き、7Fまで運び、夫の病室に行きますと「煙草を吸いにいこかな」

もーっ、この忙しいときに、煙草か、、、、

そうは思っても、車椅子をガーッと押してエレベーターにガーッと乗って、何時ものところにガーッと行って、急いで戻って、サロンで準備していると岐阜から夫の親戚の人が3人来ました。

私は、夫の親戚とは一切付き合いはしないと決めていたのに、メールして来てくれた人(父方の実家のお嫁様)に夫の命がもうそんなにないことを知らせました。

薄々とは皆、きずいているとは思いますが、、、何しろ緩和病棟なんだから、、、

それを叔母さんに話したら、会いにいきたいといっていると電話があって、

「実は明日、夫が歌を歌うので、よかったら聞きにきてもらえませんか?」
そう言いました。
「じゃあ、花束を持って行きます」

「夫もきっと喜ぶと思います」

というわけで、わざわざ
岐阜から車椅子の叔母さんを連れて来てくれました。

私は、16年も親戚の人の前に顔を出していないし、ずっと妻らしいこともしていないし、、
皆、きっと良くは思っていないに決まってる


だから葬式もできることなら、息子と二人きりで済ましてしまいたいくらいなのに、、、

ちょこちょこ団体でお見舞いに来て、、こうやって会ってみると良い人達で、、

葬儀もキチッとやるっきゃないな、、、という感じです。

車椅子の叔母さんは、夫の父親の兄妹で、子供がいないということで、お金に余裕があってか

入居するのに1千万くらいはする有料介護付きマンションに入居していたのに、最近、淋しいからと
岐阜の特別養護老人ホームに代わったのだそうです。

叔母さんは何度も私の手を握って「あきちゃん、頼むよ、あの子を頼むよ」と言います、

「大丈夫、叔母さん、私、ちゃんと最期まで面倒見るからね、心配しないでね」

そう言いました。

全部でギャラリーは8人、あと、看護婦さんも4人ほど来てくれました。

マイクも、看護婦さんが、何処からか借りてきてくれ、パソコンもなんとか動きだし

手際は悪かったけど、夫も2曲歌い切り、無事、私のイメージする「夫をスターにする」
イベントはおわりました。

あとは皆さんにお礼を言わなければ、、、「今日は忙しいのに本当にありがとうございます」



夫も部屋に戻るまで、嘔吐することもなく、部屋に行くと、看護師さんが、夫の着替えを

してくれていました。


もう、看護師さんにそこは任せてお願いして、来てくれた人達のところへ行きました。

早く他の人が利用できるように荷物もかたづけなければいけないし、、、

皆が帰るとき、エレベーターまで一緒に行って、エレベーターのドアが閉まるまで頭下げていました。

私が思ったことが、実現するのは、私一人がやっているのではなく、協力してくれている人達のおかげです。

緩和病棟のサロンが気兼ねなく、使わせていただいたこと。

マイクの故障なんかのアクシデントも助けていただいたし

沢山のギャラリーの手拍子や拍手。

ビデオを撮っていただいたこと。

岐阜の親戚の人の大きな花束。

看護師さんに写真を撮ってもらい、その場でプリントして、岐阜の親戚の人にも
渡してもらえ

もーー感謝感謝です。




https://www.youtube.com/watch?v=wl4JSQ_P7sE
ユーチューブにアップしました。よかったら見てください



緩和ケア通信に載せていただきました。

看護師さんが、こんな風に記事をかいてくれました。