昨日の施行のことです。

女三人姉妹のお母様が故人様。

お顔は綺麗で、もう微笑んでいらっしゃいました。

私の得意とするのは、お顔の修正、というか、歯がない、唇が中に入り込んでしまっている

お顔とか、お口が空いてしまって、、なんていうのは、誰がみても、ビフォーアフターが

よくわかるので、喜んでもらえます。

最初から綺麗だと、変わり映えがしないというか、、、、


さて、お母様、よく見ると、入れ歯は上顎から落ちている状態とわかったので、

「入れ歯が落ちた状態なので、きちんとすると、こんな感じで、少しお口が空いてしまいます。

それで、少し綿を含ませて頂きますと、こんな感じですね。。。

と、綿を片方の口にだけ入れてみてもらいますと


「最初が良かったわ、、、」


と三女さんがいうと、皆が「そうね、顔が変わっちゃうもんねー」


「わかりました。では最初のように入れ歯は落とした状態ですね」

そういって、元の状態に戻すと

「この方がお母さんらしい」と三人がいいます。


手強いな、、、、その後、髪の毛のドライシャンプーをし、
髪型を聞いて、ショートカットの髪をクルクルドライヤーでーふんわりした感じに仕上げ

目のまわりが色が変わっていること、顎のあたりのキズ跡、などを
かばーし、
全体の肌色を明るく、頬紅を塗り、眉も薄くかかせていただき、
最後に口紅の色をお聞きしながら、上唇が中に入り込んでいるのを
唇があるように描きました。

「さすがプロだわ」

そう長女の方がそう言ってもらいました。

納棺飾りをして、最終、おふたを閉じる前に皆さんが、

「綺麗!、お母さん、綺麗だわー」

「お母さん、綺麗って言ってもらうのすごくよろこんだもんね」

そう口々に言っています。

「やっぱ、頼んで良かったわ、お金払っただけのことはある」
そんなこともいっていらっしゃいます。

鳴き声が聞こえてきました。長女の方でした。

皆がみんな、お母さんのことを大好きだったんだな、、、、

私は三人姉妹の長女。母は認知症で、行っても、ただ黙って車椅子に座っているだけです。

父が母を看ています。母のことを「好き」と思ったこともありません。

そんな事をおもっったからか、長女さんの鳴き声でつられたのか、


「小窓にハンカチをおかけください」という言葉が鳴き声になってしまうので、言えませんでした。
担当者が代わりに言ってくれました。

最後、ホールに棺を安置して私の仕事は終わり。荷物をまとめて、帰ろうとすると、

長女さんとすれ違いました。

「本当に母を綺麗にしてくれてありがとうございました」

そういってもらいました。

「そう言っていただくことが、何よりも嬉しいです。励みになります」

そう言いました。

綺麗にするってことは、お化粧をするということではなく、その人らしさをちゃんと

出した上で、より良いお顔の色を作る、ということだと、最近思います。