昨日の故人様は痩せて、目が落ち窪み、カッと見開いていました。
皮膚がちじんで、どうやって閉じようか、、、と思いました。
襖を閉めるご案内をして、色々やってみようか、、、と家を出るまで色々な小道具を用意しました。
社長から前もって「目が開いちゃっとるで、なんとか閉じれんかな~~」
と情報はもらっていました。
ところが、在家は何十人という親族の方々がもうお集まり。
仏間に安置されている故人様とその隣の部屋の襖は取っ払ってあります。
そして社長もその一番前に座って、私をじーっとみています。
「出来ませんでした」は許さんぞ!と言わんばかりに。
私は、口を修復する為に「黄綿」を使っています。
それは、どの大きさにもすぐにちぎれる。水分を含まないから
作った形のまま入れることが出来る。
その魔法の綿を瞼の中にセッシで少しずつ薄く形を作りながら入れていきます。瞼が少しづつ膨らんで、ふくらませながら、セッシでまつ毛のあたりを少し
づつ引っ張ります。
片方で15分くらいはかかったかと思います。
誰一人、話もせず、物音もしません。
両方の綿が入り、あとは接着。
口の方も含み綿をして、喪主の方に近くで見ていただき
「今、綿が見えていますが、接着をすることで、お閉じできると
思います。よろしいでしょうか?」
そこへ、「ももちゃん」が来てくれました。
私がいけないときに行ってくれると言ってくれたももちゃんが
見学にきてくれるというので、後から追ってきてね、と約束して
ありました。
ももちゃんに反対側にすわってもらい、セッシを一つ持ってもらい
まつ毛の部分を少し引っ張りながら下へ、
そして私がそこに接着剤を入れすぐに上と下をくっつけるというやり方で
みごとに閉じました。
「閉じた」
と社長がつぶやきました。
そして今日、偶然にも布団やさんの「うちなおし」の布団を分けてもらいました。
お布団3枚分を車に積んで、ベランダに干します。
夜露とお日様を何回か繰り返して、ふっくらとしたら出来上がり。
使う前には、「この綿を使って故人様を元のお顔にさせていただきます」
ベランダに干してある、昔のお布団を解体して、
ミルフィーユのように重なっている綿を薄くはがして、それを手前にある
ビニール袋にいれ、それを丸まるって丸めると出来上がり。
まだまだ時間かかるよ~~~
これで、この調子でお仕事があると10年もつかな~~
10年っていうと、63歳か~~
使いもんになるかな~~
自分が棺おけはいってるんちゃうやろか?