1週間経たないうちに、次の仕事が入りました。
この調子で、おねがいしますよ!
今回も、前回と同じ、口の閉じ方がネック。
まずは、含み綿で口をふっくらと整え、お家の方に見てもらいます。
その前に、自宅死亡で、検視が入っていたので、首と腰を確認。
ここから注射で血液を取って死因を調べるので、そこから出血することが多いので、確かめて、その部分はお手当てします。
腰は針穴は確認できませんでしたが、首はありました。少し動かしたりすると、そこから出血して、折角着替えた白い着物や、枕、布団を汚してしまう恐れもあります。
前に葬儀の担当の人が、病院から自宅に搬送して、お布団に安置して、次の日、大出血で、畳から、その下の床まで出血で汚れてしまい、
葬儀社は畳を全部張替え、その下の板まで代える大弁償させられました。
その教訓があり、葬儀社の人が困らないように、出来る限りの事はしなければいけないのです。
お口元の確認をしてもらいOKをもらったら、接着の了解を得ます。
今回は気合を入れて、立会いもなかったので、じっくりと腰をすえてやってみました。
やはり、前回のように口は多少あいてしまいます。
お口のあいている故人様は、ずっと私のテーマでした。
最初勤めた、湯灌会社では、私が勤めた頃は、棒で顎を支え、それを隠す為に、顔の周りに白い布を張って、デスマスクのように、顔だけが
出ている、おかしな納棺でした。
その後、私が考え出して、襟を二重襟にして首を見せないようにして、支えの棒を中にする方法に代えました。
これで、葬儀社から「布を張るのは気持ち悪い」というクレームは無くなり、仕事も増えました。
千葉の湯灌会社の先生は、綿で閉じる方法を教えてくれました。
次に勤めた湯灌会社では接着の方法を取っていました。
私はこの方法が一番失敗が無く、火葬まで、お口を閉じていてくれる
ようで、今後もこの方法を取っていくのですが、きちっと閉じないのは
接着剤の量でもない、では、方法か?
さっそく、帰りに接着剤の以前使っていた「刷毛つき」を注文してきました。
こんな企業秘密を書いちゃうと、葬儀社の方が見たら、ますます私の仕事がなくなるのかな~~
でも、含み綿1つにしても、どの量をどの場所に、どうやって入れるか、
これは、何千の遺体に含み綿をしてきた者にしかわからないと思うし、
そのことに特にこだわらなければ、それは出来ないことです。
私は、施行のたびに、その故人様の一番綺麗にみえる顔はどれ?
一番気品高く、優しい、仏様をその故人様とだぶらせて、そうなってほしいと、全身全霊で、顔を作ります。
それは、その故人様が、もし何か苦しいことがある顔をされていたら、
お家の人が心残りになるかもしれません。安らかな顔をみれば、
悲しいけど、良い所にいってくださいね、という気持ちで送ることが出来ると思うのです。
よく、お家の方は「これなら、人に見せることが出来る」と、最終、故人様のお顔を確認していただく時、おっしゃいます。
その言葉で、私を呼んで下さった社長の顔がほっとするのがわかります。1回1回が、命がけの仕事です。
人に使われていた時とは、全然違う。
いい加減な仕事をしていたわけではないのですが、その時は、出来ない事にたいして上手に言い訳をしていたような気がします。
「やるだけのことはしました。、此処までは出来ますが、これ以上はすみません。」と誤れば、お家の人は納得してくれるし、それで仕事が来なくなることはない、そんな思いで気持ちも楽でした。
でも、今の方が、厳しいと思いますが、技術を磨くのにはとてもいい感じなのかな、と思っています。