今回はケモデクトーマについて話していきます。
ケモデクトーマとは
'非クロム親和性傍神経節腫'といって
大動脈体や頸動脈小体の腫瘍の総称です。
大動脈体や頸動脈小体は化学的受容器の一種で
血液中の酸素分圧や二酸化炭素分圧の変化を
感知するための器官です。
血液の酸素や二酸化炭素量を検知するための
センサーのようなものです。
通常これらの腫瘍は犬では基本的にまれです。
ケモデクトーマのうち多くみられるのは
大動脈体の腫瘍の多くは心臓の傍に発生します。
心臓そのものに発生することもあります。
短頭種での発生が比較的多いとされています。
(とはいえそんなに頻繁にみる腫瘍ではありません)
大動脈体の腫瘍は、
慢性的な低酸素状態が原因に
関与していると考えられています。
そのため上部気道閉塞が見られる
短頭種で起きやすいと考えられています。
大動脈や肺動脈、大静脈が密集する
心基底部での発生が多く
重要な構造が近接するため
外科手術による完全な摘出はほぼ不可能です。
大きな血管や心臓そのものを圧迫することで
心臓に負荷をかけうっ血性心不全の原因になります。
疲れやすい、せき込む、むくみ、腹水、
胸水や肺水腫による呼吸困難などうっ血性心不全に付随する兆候が見られます。
心臓の周りにある心膜液がこの腫瘍が原因で
増えると心臓が圧迫されて心臓の機能に影響します。
超音波検査、レントゲン検査、CT検査などで発見されます。
治療は摘出が困難なこともあり、
放射線治療や抗がん剤が選択されます。
なかなかリスクが高かったり有効でないことが多いようですが、抗がん剤の中でも比較的副作用の低い分子標的薬が著効することがあります。
対症療法として心膜液がたまりすぎて
著しい心不全に陥らないように
心膜切除を行うことで生存期間が
有意に伸びるという報告があります。
まとめ
・犬において稀な腫瘍だが短頭種は多いとされる。
・慢性的な低酸素状態が原因に関与するとされている。
・大きくなることでうっ血性心不全の症状が見られる。
・レントゲン検査や超音波検査などの画像検査で発見される。
・有効な治療は確立されていないが心膜切除は生存期間を延ばせる可能性が高い。分子標的薬に反応することがある。
はっきり証明はされていないですが
呼吸の問題が関与していると考えられることから
早期の外鼻孔矯正や軟口蓋切除は子の腫瘍の予防に
役立つかもしれません。
今回で一通りお話ししたい腫瘍は説明したかなと思います。
また情報の更新はあると思うのでその都度補足できればと思います。