受付で手渡された説明書を事務所の前のソファーに座って読んでいてざわめくような声がしたと思いふと顔を上げると7~8人の女性に囲まれた背の高い男性がエレベーターから出てきたところだった。
「先生わたしたちは先に下の喫茶室へ行ってますから」
 口々に言葉をかけながら階段を下りていく女性達に軽く手を上げながら男性は事務所の中に入っていた。
 それが短歌教室の木野講師だと気付き麻実はその場で立ち上がった。
 待つほどもなく事務員が木野に何か話しながら出てきた。
「お待たせしました。先生こちらが次回から受講を希望されている近藤麻実さんです」
「よろしくお願いします」
 緊張で思わず深々と頭を下げる麻美に事務員が笑いながら「先ほど見学されたからお分かりだと思いますが、こちら木野啓介先生」と紹介した。
「こちらこそよろしく」
 木野は慣れた様子で手を差し出し麻美は慌てて握手のために手を出した。