自分で確かめればいいことなのだから。
 目の前できゃんきゃんと何か喋っている課長の声が耳を素通り、全くうっとおしい声なんだから。
 ちょっと前まで、課長に夕食を誘われた時、ほんの少しだけどときめいた自分が情けない、この男を生真面目ではあるが純粋な人かもしれないなどと思いそうになったのだから。
 そろそろ良い人がいたら結婚してもいいかなと思う心が判断を誤らせたのだと認めるしかないようだ。

「判りました。どうかご安心ください。課長が小耳に挟まれた噂はきっと聞き間違いだったと思いますから。課長が何方と交際しようが結婚しようが、別れようが私には全く関心はありませんから」
 それだけ言うと私はウエイトレスの持ってきた珈琲には手もつけず立ち上がった。
 私の切り口上にあっけにとられたようナ表情で私の顔を見返す課長の目を無視して私は店を後にした。

 はっきり言って今はみんなどうでもいいような気持ちになっていた。
 誰かが直接告げ口したのか、本当に噂話が偶然耳に入ったのか、あるいは由美が問い詰めたのか、そんな事を考える事さえ面倒な気持ちだったのだ。
 今思うと、誰も信じられない、そんな気持ちだったような気がする。