「お疲れさまでした、ご迷惑をかけてすみませんでした」
 最初から大丈夫ですかと言ったのにと思いながらもねぎらいの言葉をかけると満足そうに頷きながら「僕だから大事にならなかったけどね」と余裕の笑顔なんか作ってみせる。

 私たちの間では課長が口を出すとトラブルの火に油を注ぐと陰でもっぱらの評判だがもちろん当人の全く知らない所でだ。
 特に今回のように修理の方と連携が取れていない時は尚更だ。
 絶対自分の非は認めない、頭を下げて頼むことはしない、何でも自分の意見が正しいと信じている、  諸々その調子だから周囲の人も彼をカバーしようとしない。だから顧客とのトラブルに直接タッチすることはあまりないのだが、今回のように偶々担当すると拗れることが多い。でも本人はそんな風には思っていなくて、今回は連れて行った相棒の所為、わからずやのお客の所為、いつも悪いのは自分以外の人なのだ。
 そんな事言う訳には行かないので、無事に?他の人の手に手渡してもらったことに感謝の思いをこめて頭を下げた。