最初 の三ヶ月くらいは平穏な日々だった。
上司の手を煩わせるほどのトラブルもなく、私たちの電話対応を見ながら「イヤーさすが三人とも優秀、皆さんのような部下に支えられて僕は本当に幸せ者ですよ」と歯の浮くようなお世辞を(それがお世辞だって気付かなかったなんて私もバカだったのだけど)囁いて回っていた。
例の甘い声でね・・・。
ある日あいつが一枚の紙をヒラヒラさせながら私の机にやってきた。
「今ちょっといいですか?」
「はい、なにか?」
「この書類なのですが・・・」
見ると昨日私が出した報告書である。
「これがなにか?」
「昨日出していただいた報告書なんですが」
(見れば解かるわよ)
「これがどうかしたのですか?」
「昨日は全部で12枚出していただいたのですが、この書類の受付時間の書き方がちょっと違っていたモノですから」
「ハア?」
「ですから、11時30分に受付たので11:30と書くべきところが11.30ってなってたんですよ」
「??」
「もちろん、僕がキチンと直して置きましたから何の問題もないのですが」
「それって別にどちらでもいいんじゃないですか?役所へ出す訳でもないし」
この一言が拙かったのだ。