私、大松さくら、当時32才、いわゆる女の前厄だったのよね。彼氏いない歴三年目で独身主義でもなかったから、たとえバツ2とはいえ独身の男性にはやっぱり興味は深々。
 全国的に見れば三流とはいえ、この田舎町ではトップクラスの商社で今まで頑張ってきたのはそれなりの結婚相手を見つけたいという願望も大いにあったのだ。
 マアそんな訳で私を含めての未婚女性三人組は新しい課長に精一杯の笑顔で挨拶をしたのだった。

 この職場で独身者と言えば彼ともう一人、三年前に奥さんに先立たれた52才の経理課長だけなのだ。後四十代の営業担当が三人と、経理と庶務を担当するベテラン既婚女性が三人の総勢十人がワンフロアーの事務所で仕事をしていた。
 私たち未婚三人組と新しい課長はお客様相談口というところの担当だった。
 主な仕事と言えば商品に関する問い合わせ、苦情などの電話受付なのだが時には、直接訪問して接客する場合もあった。
 大抵の場合は予め用意されたマニュアル通りの応対で解決するのだったが苦情などの場合電話では中々納得してくれない顧客も有り、そんな場合は課長が出向いていく事になっていた。