夫の今まで知ら なかった一面をみたような気がした。
「それで…会社を六十で辞めようと決めたのには何か切っ掛けになるようなことがあったの?」
「原因といえるかどうかは解からないが、最近のリストラで僕より若い人たちが会社組織の変更で部署によっては子会社へドンドン転籍させられているんだ。いつも一緒に集まる塊の会のメンバーも何人か移ってね。一旦会社を退職して新たに就職するのだから、同じような仕事でも待遇も違うし、色々難しいらしい。僕は万年課長だが技術開発では一番古いので出来たら定年後も居て欲しいと言われたのだけど、トカゲの尻尾切りのような今のやり方は青臭いような気もするがどうしても納得できないんだ。辞めたら生活できないのならともかく君も頑張ってくれたお蔭で二人食べてく事は出来そうだから、この際第二の人生って奴を探してみようかなって思ってね」
そういうと悟は照れたようにグラスに残った水割りを一気に飲み干した。
「私の我儘で選んだ生き方をそんな風に言ってもらえるなんて、少しはあなたの役に立てたなんてうれしいわ」
美沙もグラスの水割りを飲み干し「お風呂でも入れるわね」と立ち上がった。
「それで…会社を六十で辞めようと決めたのには何か切っ掛けになるようなことがあったの?」
「原因といえるかどうかは解からないが、最近のリストラで僕より若い人たちが会社組織の変更で部署によっては子会社へドンドン転籍させられているんだ。いつも一緒に集まる塊の会のメンバーも何人か移ってね。一旦会社を退職して新たに就職するのだから、同じような仕事でも待遇も違うし、色々難しいらしい。僕は万年課長だが技術開発では一番古いので出来たら定年後も居て欲しいと言われたのだけど、トカゲの尻尾切りのような今のやり方は青臭いような気もするがどうしても納得できないんだ。辞めたら生活できないのならともかく君も頑張ってくれたお蔭で二人食べてく事は出来そうだから、この際第二の人生って奴を探してみようかなって思ってね」
そういうと悟は照れたようにグラスに残った水割りを一気に飲み干した。
「私の我儘で選んだ生き方をそんな風に言ってもらえるなんて、少しはあなたの役に立てたなんてうれしいわ」
美沙もグラスの水割りを飲み干し「お風呂でも入れるわね」と立ち上がった。