「ずいぶん急な話なんですネ。時子さんが居なくなったら淋しくなっちゃうし、今まで何かと頼ってきたから心細いです」
「何言ってんの、私なんかよりあなたの方がしっかりしてるわよ。でもね、明日お店へ言ってからみんなに話そうと思ったんだけど、美沙ちゃんとは長い間同じ仕事でがんばってきたし、今まで本当に色々相談相手にもなってもらったから、前もってお礼だけ言っておこうと思ってね。朝早く忙しい時間にごめんなさい。じゃあ明日お店でね。おかみさんには今から電話をするつもりだから何か言われるかもしれないけど、この電話の事は黙っていてね」
「わざわざありがとう。じゃあ明日お店で」
時子が電話を切った後も美沙は暫く電話の側に座ったままボーっとしていた。
(人生突然何が起きるか解からないってよく言ったものね)
つい二日前まで一緒に仕事をして、同じ毎日の繰り返しがこれからも続くと疑いもせずに思っていたのに、突然糸がプツンと切られたように状況は一変するのだ。
いつも側に居た人が居なくなって、ひょっとして新しい出会いがありお店の中では暫くバタバタするのだろうが、お客さんにとっては今までの「味の店・太一」は何にも変わらないのだ。
当たり前のことだが妙に虚しかった。
誰だってそうやって生きてきたのだ。
あんなに忙しくて毎日残業、残業で追われていた銀行だって、私が辞めたからといって一秒だってその機能が滞ることなんてありえなかったのだ。
私が三十五年以上占めていた空間は無くなったわけではなくて、新しい備品が補充されるようにその日から違う人が何十年もやってきたように動き続けるだけなのだ。
あの時はそれを当然と受け止め不思議にも思わなかったのだが、今日は何故か一度に力が抜けた気がするのだ。
(まだ若かったからかなー?)
「さぁ出かけなくっちゃ!」と気持ちに踏ん切りをつけるように美沙は声に出して言うと勢いよく立ち上がった。
「何言ってんの、私なんかよりあなたの方がしっかりしてるわよ。でもね、明日お店へ言ってからみんなに話そうと思ったんだけど、美沙ちゃんとは長い間同じ仕事でがんばってきたし、今まで本当に色々相談相手にもなってもらったから、前もってお礼だけ言っておこうと思ってね。朝早く忙しい時間にごめんなさい。じゃあ明日お店でね。おかみさんには今から電話をするつもりだから何か言われるかもしれないけど、この電話の事は黙っていてね」
「わざわざありがとう。じゃあ明日お店で」
時子が電話を切った後も美沙は暫く電話の側に座ったままボーっとしていた。
(人生突然何が起きるか解からないってよく言ったものね)
つい二日前まで一緒に仕事をして、同じ毎日の繰り返しがこれからも続くと疑いもせずに思っていたのに、突然糸がプツンと切られたように状況は一変するのだ。
いつも側に居た人が居なくなって、ひょっとして新しい出会いがありお店の中では暫くバタバタするのだろうが、お客さんにとっては今までの「味の店・太一」は何にも変わらないのだ。
当たり前のことだが妙に虚しかった。
誰だってそうやって生きてきたのだ。
あんなに忙しくて毎日残業、残業で追われていた銀行だって、私が辞めたからといって一秒だってその機能が滞ることなんてありえなかったのだ。
私が三十五年以上占めていた空間は無くなったわけではなくて、新しい備品が補充されるようにその日から違う人が何十年もやってきたように動き続けるだけなのだ。
あの時はそれを当然と受け止め不思議にも思わなかったのだが、今日は何故か一度に力が抜けた気がするのだ。
(まだ若かったからかなー?)
「さぁ出かけなくっちゃ!」と気持ちに踏ん切りをつけるように美沙は声に出して言うと勢いよく立ち上がった。