今の仕事、描きかけの絵、朗読録音の予定、旅行の予約、夫と語った老後の生活、其のすべてが突然中断される日が来るなんて考えたこともなかったのに。

「どちらにしたって誰だって遅かれ早かれ死ぬんだから、今出来ることは今のうちにやっておくに越したことはない。明日死ぬか、百歳まで生きるかは神のみぞ知るってことさ」
 高田は二人の間をとりなす様に言うとバックの中から同窓会の計画表を取り出した。
「そうね、難しい話は終わり。皆で楽しむ話に移りましょう。」
「この前幹事会で集計した出席人数が約八十人、二次会への参加者は例年だと三分の一位かなー」
「そうすると二、三十人位ね。うちの店だと多くても四十人がやっとだから、ちょうどいい人数かも知れないわね。」
「二次会の会費とか時間は次回の幹事会で詳しく決めるから今日は凡その値段とか内容を簡単に相談したいと思ってるんだ」
 高田と加世が話し始めたのを切っ掛けに美沙は腰を浮かした。
「今日は突然ご一緒させてもらってありがとうございました。私此れで・・・」
「なんだ美沙帰っちゃうの!高田君と打ち合わせが済んだら一緒にお店へ来てもらおうと思っていたのに。ねぇーいいでしょ!そんなにかからないから」
「ありがとう。でもこれから出かけるところがあるので、また改めて遊びに行かせて貰うわ」
 残念がる加世に微笑み返し、高田に軽く頭を下げて美沙は席を立った。
「じゃあ、同窓会のハガキの返送待っています。二次会にも出席してくださいね」
 高田は席を立ってそういうと手を差し出した。
 美沙は軽く握り返しさようならと言った。