加世に何か言おうとした美沙を遮るように高田が言った。
「想い出だなんて…僕たちのしたことが鬼頭さんをどんなに傷つけたか、今更謝ったって仕方ないってわかってるけど、本当にすまなかった」
美沙は黙って俯いた。
過ぎたことにいつまでも拘り続ける自分の気持ちを持て余していた。
夫が言うように心の傷に正面から向き合おうとしなかった事が何かの拍子に原因不明の頭痛に悩まされ続けるという人生を歩む結果になったのだろうと今納得したのだった。
「高校三年の進路を決める時、加藤が福祉大学を選択したんだ。僕はこの頭だから私立の経済学部を選んだんだが、加藤はトップクラスの成績だったから先生もクラスの誰だって彼は国立希望だって思っていたのでみんなビックリしたんだ」
美沙は高田の顔をじっと見た。
「あいつは何も言わなかったけど、僕には何となくわかるような気がしたんだ。彼は中学卒業するまでずっと鬼頭さんの事を気にしてて、口には出さなかったけど態度とか見てるとよくわかったんだ。僕だっていつもじゃないけどやっぱり君が休んだりすると嫌な気持ちになってたからね」
「そんな…別にあなたたちの顔を見たくないとか思って休んだ訳じゃないのよ。本当に体の具合が悪くて休んでいたのよ。そんな風に思っていたなんて考えもしなかったわ」
「たったひと言、ゴメンを言わなかったばっかりに加藤も心に傷を持ったままだったと思うよ。能天気な僕は高校へ入ってから殆どあの事を忘れてたのに彼は”将来は体の不自由な人たちのために役立てる仕事に就きたい “って進路理由を書いてたから」
美沙は正直驚いていた。あの小さな出来事が自分だけでなく二人の少年の心に影を落としていようとは想像もしていなかったのだ。
「想い出だなんて…僕たちのしたことが鬼頭さんをどんなに傷つけたか、今更謝ったって仕方ないってわかってるけど、本当にすまなかった」
美沙は黙って俯いた。
過ぎたことにいつまでも拘り続ける自分の気持ちを持て余していた。
夫が言うように心の傷に正面から向き合おうとしなかった事が何かの拍子に原因不明の頭痛に悩まされ続けるという人生を歩む結果になったのだろうと今納得したのだった。
「高校三年の進路を決める時、加藤が福祉大学を選択したんだ。僕はこの頭だから私立の経済学部を選んだんだが、加藤はトップクラスの成績だったから先生もクラスの誰だって彼は国立希望だって思っていたのでみんなビックリしたんだ」
美沙は高田の顔をじっと見た。
「あいつは何も言わなかったけど、僕には何となくわかるような気がしたんだ。彼は中学卒業するまでずっと鬼頭さんの事を気にしてて、口には出さなかったけど態度とか見てるとよくわかったんだ。僕だっていつもじゃないけどやっぱり君が休んだりすると嫌な気持ちになってたからね」
「そんな…別にあなたたちの顔を見たくないとか思って休んだ訳じゃないのよ。本当に体の具合が悪くて休んでいたのよ。そんな風に思っていたなんて考えもしなかったわ」
「たったひと言、ゴメンを言わなかったばっかりに加藤も心に傷を持ったままだったと思うよ。能天気な僕は高校へ入ってから殆どあの事を忘れてたのに彼は”将来は体の不自由な人たちのために役立てる仕事に就きたい “って進路理由を書いてたから」
美沙は正直驚いていた。あの小さな出来事が自分だけでなく二人の少年の心に影を落としていようとは想像もしていなかったのだ。