「時間超過で怒られちゃうわね。美味しかった!今夜は楽しかったー。又誘ってね」
「真知子さんのデートの日と重ならなかったらね」
 徳子の言葉に真知子は「大丈夫、その時はこちらを最優先するから」と笑いながらウインクをしてみせた。

 ホテルを出たところで今から少し飲みに行くという愛や真知子と別れ美沙は徳子と駅のホームへ向かった。
「旦那さんいないのなら一緒に行こうよ」と二人に誘われたが「少し絵の続きが描きたいから」と断ったのだった。徳子は「年よりは夜が早いから」と眠そうに言った。

「あの子ね、不倫してるって噂聞いたことあるけど知ってた?」
 電車を待つ美沙の横で徳子が何気ない口調で言った。
「真知子さん?」
「勿論。愛ちゃんはどう見てもそんなタイプじゃないよね」
 徳子は軽く笑いながら言った。
「辛いよねー。自分だけじゃなくて相手の奥さんだって。」
「会社の人なの?」
「多分・・・大分前彼女、結婚してもいいな~って思う相手って、大体がひも付きなのよねって言ってたのよね。その時は何も知らなかったから、先着順じゃないんだからもし本当に好きなら取っちゃえば良いじゃないなんて、あたし馬鹿なこと言っちゃた」
「私よく知らないけど男の人って一度やる人はまたやるかもしれないって。誠意のある人ならそんな状態を続けてるなんてこと出来ないと思うけど」
「人生いろいろ、男もいろいろ、女もいろいろってことよね」
 徳子は唄うように口ずさむと眠そうに一つ大欠伸をした。
「あっ電車が来たわ。じゃあまたね。お・や・す・み」と軽く手を振りながら電車に乗り込んだ。

 数分後、美沙も急行電車に乗り込んだ。
 家へ帰っても誰もいないと思うともう少し付き合えばよかったのかなとふっと思ったりしたが妙に疲れたような気分で気が進まなかったのだった。