いつも美沙がダメ!というと姉は不満そうな表情を見せながらも諦めて家で待っていてくれた。

 公園ではクラスメート達五人とゴム飛びをして遊んだ。
 美沙は姉が一人で待っているのがやはり気がかりだったので少しだけ遊んで帰るつもりだったが夢中で遊ぶうちつい時間の経つのを忘れてしまっていた。
 ふと公園の入り口を見ると小さな体を斜めに傾けながらヒョコヒョコと歩いてくる姿が目に入った。
「悠ちゃん!」
 美沙はビックリして入り口の方へ走った。一緒に遊んでいたクラスメート達も何事かと一緒に駆け出した。
 美沙に体の不自由な兄弟がいることはみんなも知っていたのだが実際に会うことは初めてだった。
 姉はお気に入りの人形を片手で抱いて嬉しそうに手を振っていた。
 クラスメート達も姉の様子を見て最初は少し驚いたようだったがすぐ「ミッちゃんのお姉ちゃん可愛いね~」等と笑顔で話しかけてくれた。
 しかし美沙は「悠ちゃん、来ちゃダメって言ったでしょ。一人でお外出ると危ないっていつもお母さんに言われてるのに」と強い言葉で怒ったのだ。
 笑顔から泣き顔に変わった姉は「悠、ひとりは嫌い!ミッちゃん怖いから嫌い!」とシクシク泣き出した。
 クラスメート達は「ミッちゃん、怒っちゃ可哀そうでしょ」「そうよ一緒に遊べばいいじゃない」などといって姉を庇ってくれた。
「あたし、もう帰るから」
 美沙は情けなかった。姉のことが大好きなのに、友だちに見られたことを一瞬でも恥ずかしいと思って姉に八つ当たりした自分に腹をたてていた。
 クラスメート達に笑顔でまたねと言って姉と手を繋いで公園を後にした。

 翌日美沙が学校へ行くと教室の中から大きな笑い声が聞こえてきた。
 中へ入ると二人の男子生徒が手を繋ぎ、一人が大きく体を傾け足を引きずりながら歩いていた。そしてわざとらしくもう一人に凭れかかりながら「ミッちゃん嫌い」と泣いてみせていた。
 その姿を七~八人の生徒が取り囲み笑いながら見ていたのだった。