手元の写真は先々月実家へ行ったときははと二人で胡瓜や茄子の収穫をした後の寛いだ様子を美沙が撮ったものだ。
 母は採れたての野菜を入れたザルを持ち嬉しそうに笑っている。その笑顔を描いて残したいと美沙は思った。
 
美沙には四十年ほど前に亡くなった三つ年上の姉がいた。
 姉は脳性の小児麻痺で四肢が少し不自由なのと知能の遅れがあったが、喋ることは全く普通でその明るい性格はいつも周囲を和ませていた。美沙も小さい頃は姉が大好きでいつも一緒にお人形さんごっこやおままごとをして遊んでいた。
 しかし小学校の高学年になると部活や塾で忙しくなり小さいころのように何時も一緒という訳には行かなくなった。

 姉は美沙が学校から帰ってくると「ミッちゃんお帰り」と玄関まで飛んで出迎え、養護学校であったこと、行き帰りに見つけた虫や花のことなどを嬉しそうに報告した。
 当時母は姉の世話と同居していた寝たきりの舅の介護と家事に追われる毎日だった。だから家にいるときは出来るだけ姉と遊ばなくてはと子供心にわかってはいたのだが友達との約束が優先して姉を怒らせることが度々あった。