そう言うと美沙は夫から受け取ったハガキをもう一度屑篭に投げ入れようとした。
「嫌なものどうしても行けとは言わないが、ちょうどその日はいつもの例会で僕もいないから都合が良いのかな~と思ったのでね」
 ふとハガキを見るとクラス会は十月の第三日曜日となっていた。会場は駅前のホテル、会費は一万円とある。
「そうか~あなたが出かける日だったわね」

 美沙は晩酌のためのビールを冷蔵庫から取り出しテーブルに着き、夫のコップにビールを注ぎながら言った。
「実はね、夕方加世から連絡があったのよ、一緒に行かないかって」
 喫茶店へ一度遊びに来ないかと誘われたことなど電話の内容を簡単に話した。
「彼女の場合、地元だから共通の話題も多いだろうし、お店の事もあるので出来るだけみんなと顔繋ぎもしたいだろうけど、私はあまり気が進まない」

 夫には小学校時代の話をしたことは一度もなかった。
 ただ美沙の原因不明の頭痛が大分昔、子どもの頃に体験したことのトラウマが原因ではないかと医者に指摘されたことがあり、それとなく何かを感じてはいる様子だった。
「過去と向き合ってみれば案外乗り越えられるんじゃないかな?もうそろそろ」
 夫の言葉に美沙はビックリして見返した。