☆ ☆
5つの話から構成されており
それぞれの個性豊かな登場人物が
それぞれの視点で、物語が進んで行き
そして、それぞれの物語はふとした拍子に
クロスオーバーします。
また5つの話は、時系列が異なり、
仙台駅前に立っている、金髪をポニーテールにした白人女性が
「あなたの好きな日本語を教えてください」
というプラカードを持っていて
それぞれの登場人物が、そこに好きな日本語を
スケッチブックに描いていく。
その書いた言葉も、時系列の前後を証明してくれるポイントになっており
何を書いたかを注意深く見て、覚えておくと
このタイミングで、仙台駅前にいたんだなと思えます。
それぞれの人生が、それぞれで歩み
そして、それはどこかで、誰かとつながっていき
実に巧妙にリンクするように描かれています。
また、伊坂さんの世界感の特徴として
本作に、他の作品の言葉や、シーンが練りこまれていたりします。
たとえば、
「オーデュボンの祈り 」のカカシの話が出てきたり、
(というか、カカシの話はほとんどの作品に出てくるような。。。)
ラッシュライフの登場人物の一人黒澤が
「重力ピエロ」に出ていたり。
そういうのを見つけながら読むのも
伊坂さんの本の楽しみの一つだと思います。
読後感は、一言
「うまいなぁ~」
と感嘆し、うならさせられた作品です。
まさに、エッシャーの騙し絵。
【背表紙】
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。
父に自殺された青年は神に憧れる。
女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。
職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。
幕間には歩くバラバラ死体登場―。
並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。
不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。
巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。
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