



「予感めいたものなど、何ひとつなかった。」
という冒頭から、物語は進んで行きます。
読み終えた今の感想は、
正直、物語としての構成が素晴らしい思うと同時に
しばし、呆然・・・。
それで、よかったんだよな?
これも、幸せなんだよな?
なんともいえぬ、心の中で切なさ、やるせない気持ちが
言葉では言い表せない形で、渦巻いていました。
あまりにも、平介が切ない・・・。
けど、あの結末は、あれでよかったんだよな。
きっと、それが幸せなエンディングなんだろうなと。
1日かかって、その思いにたどり着きました
中盤、杉田平介の直子に対する嫉妬心は
正直、同じ男として、同感する部分はありましたが
あまりにも、クドく、焦燥感がありありと出ていて
苛立たしさを募らさせられましたが
それも、エンディングにむけてのプロローグとして
必要な要素だったんですよね
平介の父親としての意識を明確に決めた、
その次の日、藻奈美(直子)に異変が起こり・・・。
そこから一気にクライマックスへと加速する。
本のタイトルである、「秘密」
まさか、最後の最後で本当の「秘密」は
その事だったのかと、感嘆してしまいました。
読み応えのある、1冊でした。
おすすめです
【背表紙】
妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。
妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。
その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。
映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。
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