やあ、僕の名はハインリヒ・シュペール。建築家を夢見る樵さんさ。

この前僕が体験した不思議な出来事を君だけに話したいんだ。だから誰にもヒ・ミ・ツだよ。


あの日、僕は森の中で道に迷ってしまって大変だった。何日森の中を彷徨ったんだろう?数時間かもしれないし、永遠かもしれない。

歩き疲れて喉はカラカラ、足もガクガク…このままだと僕も森の一部になりかねないって思ったよ。

そうして歩いていると、なんか聞こえてきたんだ。音が、そう、水音が聞こえてきた!僕は気力を振り絞って最後の茂みを掻き分けてその音の方向へと進んでいった!

するとどうだろう、そこには泉があり、なんと有りえないことに、泉の女神がその泉で裸で遊んでいたんだ!

僕は唾をゴクリと飲み込んだ。

考えてもご覧、泉の女神っていうと全身ブロンドでクラマラスな色気ムンムンのなんというか絶対に二十歳は超えてるだろうし何人の男を拐かしてきたんだろうか?っていうレベルのものだと思うじゃないか!それが、それがあろうことか、まだまだあどけなさの残る絶対に年の頃は十六か十七かっていうレベル!

ああ、なんてことだ!こんなに女神って幼いのか?いいねえ、髪も黒系統だし瞳も黒かな?ああ、あれが兄さん達の言うアジアンビューティーっていうのか?そう思っていると、その裸体に蝶が止まった。

彼女はクスリと微笑んで、蝶と戯れていた。

そんなのを見ていると僕の中の何かが沸き起こってきた。

このまま自分のものにしたい、家に連れて帰りたい、いやその前に僕の中の怪物が気の済むまで色々弄びたい。そういった感情が湧き上がって来ていると同時に体は本能の赴くままに彼女に抱きついていた。

哀れな女神様は裸で怯えたダークブラウンの瞳で僕を捉えていた。なんて吸い込まれるような瞳だろう。もう少しでものにできる。

「怖がらなくていいよ」僕は微笑みかけた、オオカミさんだからね「大丈夫、僕は君と結ばれるんだ」そう、もうすぐで。

ああ、怯える瞳が可愛いなぁ。華奢なように見えてもきちんとした肉付き、うん最高の嫁だ。

さあて、味見をしますか!っていうときに変な有無のいななきが聞こえた気がした。

「ハイ・ヨー!パトリシア!」

何かが当たった。

僕は泉の水をたらふく飲み込んだ。

そして水面から顔を出すと、騎乗の変態が彼女を奪っていた。

「この娘は我が輩、ピエールが頂いた!」そういって変態騎士は彼女を抱きかかえたまま、パトリシアという馬で連れ去っていった。

そして残された僕は、嫁をとらない兄さんの元へ帰っていった。


あれ以来、泉へ行っても女神なんて現れないし、そう夢だったんだ。だから、君のようなあの泉の女神に似てる東洋の旅行者にこうやって話してるんだ。