昨今、研究不正が問題になることがありますが、論文の執筆を外注する不正について科学雑誌Natureに掲載されています(文献)。

 

Natureには、the Royal Society of Chemistryに掲載された論文が怪しいと思った研究者がいたことから不正が発覚したという経緯が記載されています。

 

この文献を読んでいて思い出したのですが、私も研究不正を疑われたことがあります。

 

2018年夏にあった実話なのですが、あるイギリス人が東京まで出張してまで私と面談して、アレコレと私に質問をしたのですが、その質問に回答しているうちに、研究不正を疑っていることに気がつきました。

 

私は有機金属化学の研究を通じて、米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で博士号を取得しているのですが、2016年4月から突如として電子情報通信学会及び情報処理学会でマイクロ波聴覚効果とか、無線通信とか、ブレイン・マシン・インタフェースなどに関する研究成果について、発表を始めました。

 

博士号を取得した化学と、マイクロ波聴覚効果とか、無線通信とか、人工知能を利用したブレイン・マシン・インタフェースなどでは、研究分野があまりにも異なるので、怪しいと判断したようです。

 

このように疑われたことが契機となって2018年10月に日本化学会の会員となりました。即ち、化学で博士号を取得した人物と、マイクロ波聴覚効果などの研究成果を発表している人物は同一である旨が分かりやすくなると思ったのです。

 

簡単に経緯を振り返ると、2013年4月に日本生理学会の会員になったのですが、その頃から無線通信、通信工学などの専門書などを読み始めています。専門書といっても、大学の教科書とか、MITのOpen Coursewareとか、米国の大学が公表している講義用パワーポイントスライドが多かったですね。

 

このような基礎知識がないと、電子情報通信学会や情報処理学会の研究会を聴講しても、その内容についていけないですからね。

 

例えば、スペクトル拡散とか、CDMAとか、5Gといっても、その技術的な詳細を理解するためにはそれなりの専門知識が必要になります。

 

それにしても、苦労して専門知識を身に着けたことにより、誰かが疑惑を抱くというのは、意外であり、かつ、不愉快でした。

 

文献

The fight against fake-paper factories that churn out sham science

Holly Else and Richard Van Noorden, Nature, March 23, 2021

https://www.nature.com/articles/d41586-021-00733-5