先日、特許出願の非公開制度について学会発表したときに、次のような質問がありました。
保全指定がされたときには、出願を取り下げることができない、発明の実施制限、守秘義務など、国家安全保障という公益上の観点から特許を受ける権利という私権に多種多様な制約が課されることになります。
それでは、保全指定がされるメリットは何になのでしょう。
さて、特許出願の非公開制度は、国家安全保障のために設けられています。そうすると、保全指定することによる出願人のメリットは、特許法という観点でなく、国家安全保障という観点から考察することが求められます。
スウェーデンの化学者、発明家アルフレッド・ノーベルはノーベル賞を創設したことにより、歴史に名前が残っているのですが、ノーベルは、生前、ダイナマイトなどについて世界各国で特許を取得し、更に製造、販売したことにより、巨万の富を築いています。
現代日本であっても、画期的な発明が保全指定されることにより、巨万の富を築く機会があるのかもしれません。