最近、マイクロ波聴覚効果について言及するときに文献を省略しています。そこで、久しぶりにマイクロ波聴覚効果の文献の一部を紹介いたします。

 

マイクロ波聴覚効果は60年前、1962年に報告されています(文献1)。

 

水槽に水を張り、パルス波形のマイクロ波(周波数、2.45GHz)を照射すると、水中に音波が発生するという実験結果は1974年にサイエンスに掲載されています(文献2)。

 

脳の80%前後は水なので、脳でも同様にマイクロ波が音波に変換すると考えられます。

 

頭部を球形と仮定した上で頭部に発生する音波に関する偏微分方程式は解析的に解かれています(文献3)

 

音波の基本周波数f0について、f0=c/2rという数式が導かれています。

ここで、cは音波の音速であり、rは球の半径になります。

 

人間の頭部は半径8cmと仮定すると、基本周波数は8000ヘルツになります。

 

この数値と実験結果で得られた基本周波数は概ね一致しています。

 

マイクロ波聴覚効果に鑑みて、電波妄想は現代の迷信、疑似科学、偽情報に過ぎません。

 

ところが、医学関係者の大多数は、マイクロ波聴覚効果に関する文献をキチンとチェックしません。文献に記載されている実験条件などを読んで、マイクロ波はこの条件で聞こえると確認する代わりに、マイクロ波聴覚効果を主張する人を問題にします。特に、その人の精神状態を問題にします。

 

マイクロ波は、このような条件で聞こえるということが問題なのですが、人の精神状態という問題にすり替えるのです。

 

医学関係者は、マイクロ波聴覚効果や電波妄想に関する問題をすり替えて、電波妄想というデマを継続しています。

 

文献

1       Allan Frey, J. Applied Physiology, 17:689-692, 1962

 

2 Kenneth R. Foster, Edward D. Finch, Science, Vol. 185, No. 4147, pp. 256-258, 1974

 

3 James C. Lin "On microwave-induced hearing sensation." IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques 25, no. 7 (1977): 605-613.