2022年3月24日に日本化学会第102春季年会で「マイクロ波加熱における運動温度の意義」という演題を英語で発表いたします。

 

マイクロ波加熱というと、電子レンジでチンするのが例示になります。スマホを耳元で使うと、頭や脳がほんの僅かにマイクロ波加熱されます。マイクロ波聴覚効果でもマイクロ波で頭部に含まれる水分を加熱しています。

 

次に、「運動温度」となると、その説明はどうしましょうかね、チョット難しくなります。

 

気温でも体温でも温度を計測しているのですが、これらは熱力学温度を計測しています。

 

気温を計測するときには、日陰で計測し、直射日光があたっている状態で計測しません。直射日光が照射されているときには、空気の温度は温度計でキチンと計測できません。熱平衡という条件が成り立っていないので、熱平衡を基盤とする熱力学温度は計測できないのです。

 

同様に、マイクロ波が物体に照射されているとき、物体の温度はキチンと計測できません。要するに、直射日光が当たっているときの気温の計測と同様の問題があります。

 

例えば、電子レンジで食品を加熱するとき、マイクロ波が食品に照射されている状態で、食品の温度というか熱力学温度は計測できないということです。

 

ちなみに、日光やマイクロ波が照射されているときには、平衡熱力学が成立しないのですが、非平衡熱力学は成立します。

 

非平衡熱力学では、熱力学温度を拡張した概念として「運動温度」というのがあるのですが、「運動温度」を使って、アレコレというのが今回の演題になります。

 

この春季年会のプログラムが早期公開されたので、この発表があることを確認することができます。