京都大学の霊長類研究所で5億円前後の不正経理が発覚したので、2022年4月に解体、再編される予定ですが、一部で反対する声が上がっています(文献)。

 

ところで、霊長類研究所の研究分野は、行動科学、神経科学に分類されますが、このような研究分野は医学部の研究分野とされることがあります。

 

湊京大総長が霊長類研究所の解体、再編を主導しているのですが、湊総長は京大医学部出身であり、免疫やガン治療が専門です。すると、研究分野という観点からは、2018年にノーベル生理学医学賞を受賞した本庶佑京都大学特別教授の研究分野とほぼ同じになっています。

 

大多数の研究者はとにかく研究を続けたいのですが、研究を管理するという観点を加味すると、どうなるのでしょうかね。

 

本来、不正経理のような悪事というか法令違反があってはならないのです。そうすると、不正経理のようなことが起きない組織を構築することが求められ、何らかの対策が求められます。

 

そこで、大学教授などの研究を管理する総長、理事はこの対策を講じることになるのですが、総長、理事と通常の教授との相違は、このようなところにあるのかもしれません。

 

ところで、国立大学法人は、株式会社のような民間と異なるのですが、株式会社の設立根拠となる会社法は、役員に対して、忠実に職務を行うという忠実義務を規定しています。この忠実義務に法令を遵守する義務が含まれています。

 

国立大学法人法を精査しても、法令遵守義務に関する規定は設けられていないのですが、法令に違反してよいということにならないでしょうね。

 

国家公務員法に法令遵守義務が規定されているので、どこかで準用されているのかもしれません。

 

ちなみに、国立大学法人法第三十四条の十は、文部科学大臣は、国立大学法人等又はその役員若しくは職員が、不正の行為若しくはこの法律若しくは他の法令に違反する行為をし、又は当該行為をするおそれがあると認めるときは、当該国立大学法人等に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができる、と定めている。

 

文献

京大・霊長類研究所の「解体」に研究者から反対の声“研究が衰退する可能性”を危惧

MBS NEWS、2021年11月17日