気象制御技術;水蒸気から雲そして雨
 
 
湿度と水蒸気
 
今日の朝、関東地方は雨。このように雨の日は、当然、湿度は高くなります。
 
ここで、湿度とは何かというと、物理的には空気中に存在する水を意味します。湿度という文脈で空気中の水といったときは、液体の水でなく気体の水を意味し、日常用語で水蒸気といいます。
 
ちなみに、水は、気体、液体、固体などの状態ないし相phaseで存在しています。
 
湿度の高い日に道を歩いていても自動車を運転していても、通常の景色が拡がっています。要するに、水蒸気というか気体状態の水は無色透明であり、目で見えません。
 
ところが、ヤカンでお湯を沸かすと、ヤカンの注ぎ口に湯気が見えます。この湯気のことを日常生活では水蒸気ということもありますが、この湯気の正体はなんでしょう。
 
湯気は当然、水なのですが、液体の水が微粒子になって空気中に分散しているのです。湯気のように空気中に微粒子が分散している状態は、エアロゾルということもあります。
 
ヤカンの内部で液体の水が加熱され、蒸発して気体の水になります。ヤカンの注ぎ口から水蒸気が放出されると、周囲の空気で冷却され、気体の水が液体の水に戻るのです。液体の水といっても、多数の微小な水滴が形成されており、この微小な水滴が可視光を散乱して、白く見えます。
 
 
雲は、湯気のようなものであり、大気中の微小な水滴がエアロゾルになってます。空でなく山など地上で同様な現象が起きたときには、霧といいます。
 
この微小な水滴は雲粒ということもあり、そのサイズは直径数マイクロメートルから数十マイクロメートル程度です。雲粒は、液体の水のことが多いのですが、固体の水、即ち、氷のこともあります。
 
雲粒が液体の水のときには雨が降り、雲粒が固体の水のときには雹が降ります。
 
雲が生成するしくみとしては、雲核(うんかく)と呼ばれる微粒子があると、雲核の表面で水蒸気の凝結などが始まって、雲核が成長して雲粒が発生します。雲核が媒介して大気中の水蒸気が水滴や氷の粒へ変化するということもできます。
 
 
人工的に雲を造る;気象制御技術
 
飛行機が青空を飛行すると、飛行機の軌跡に沿って、細長い飛行機雲が形成されます。飛行機の排ガスがエアロゾルとなって、白く見えるのです。
 
飛行機雲ができるのですから、もっと大規模にこの類いの物理現象を応用すると、人工的に雲を形成することができます。
 
どのような気象のときでも雲を造れるというわけではなく、湿度は高いが雲が形成されていないとき、雲が造りやすいということになります。
 
雲核が雲粒に成長するのですから、まずは雲核を造ればよいということになります。

それではどのように雲核を造ればよいのか。
 
飛行機の飛行中にヨウ化銀を散布して、ヨウ化銀粒子を雲核にするという手法は、昔から行われています。
 
荷電粒子が気体分子をイオン化させたときも雲核が形成されます。荷電粒子となると、素粒子物理学などを応用すると、人工的に発生することができます。
 
米国特許9526216にこの詳細が記載されています。

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まず、イオンビーム202を照射して、雲核203を生成します。
 
次に、雲核が成長して、雲粒からなる雲208が生成します。
 
更に、イオンビーム211を雲に照射して、雲粒212を成長させ、降雨を誘発します。
 
地上からイオンビームを照射することができますが、人工衛星からイオンビームを照射することもできます。
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