日経新聞電子版によると、フェイスブックが脳で考えるだけでコンピューターに文字を入力する研究開発をしているそうです。この報道は勉強会の会員から連絡があり、気が付きました。

 

さて、ブレインマシンインタフェースには脳に信号を入力するタイプと脳から信号を出力するタイプがありますが、フェイスブックは脳から信号を出力するタイプの研究を進めていることになります。

 

また、ブレインマシンインタフェースには外科手術を伴う侵襲型と外科手術を伴わない非侵襲型がありますが、非侵襲型になります。

 

ところで、フェイスブックチームは、光学画像装置による脳情報の読み取りにより出力型のブレインマシンインタフェースを目指しています。光学画像装置とあるので、電極を頭部に設置するものでなく、光学センサーを使って脳に関する時系列信号を計測して、この時系列信号を文字などに変換するということになります。

 

典型的な光学センサーは赤外線センサーであり、赤外線レーザーから赤外線ビームを頭部に照射して、その透過光又は反射光を受信して、解析することにより、脳情報を読み出すことになります。画像装置とありますが、頭部の一カ所に赤外線ビームを照射するのでなく、頭部の多数の場所を複数の赤外線ビームで照射して、赤外線ビームでスキャンすると、画像データを取得できます。ちなみに、日立製作所の赤外線トポグラフィーとほぼ同様の技術になります。

 

ところで、離れた場所から脳波を計測する方式は1940年代に既に開発されているのですが、その詳細は、文献2に記載されています。

 

また、フェイスブックほど有名ではないですが、日本国内でも考えただけでコンピュータ、正確には音声対話システムに入力するという研究はされています(文献3)。

 

文献

1 2017420日、日経新聞電子版

「フェイスブック、脳で操作するコンピューター技術を開発へ」

 

2.小池誠,“リモートセンシングによる脳波計測”

電子情報通信学会技術報告,

vol. 116, No. 286, MICT2016-54,pp.35-42,201611.

 

3 小池誠,“リモートセンシングを入力インタフェースに応用した音声対話システム”

電子情報通信学会技術報告,vol. 116, no. 378, SP2016-60,pp. 59-64, 201612.