東大4年に進学した直後、研究室に配属された。
3年までは授業で講義を聞いて、その内容を理解すればよかった。
研究室では研究という名目で実験をする。
実験では、まだ分かっていない科学現象を解明することが目的である。
ある仮説があり、その仮説を実験で実証するということもできる。
大学4年の知識では、実験というより、
実験の練習というのが実情であり、
研究者の卵に過ぎない。
研究室には、大学4年の学生、修士課程の学生、
博士課程の学生もいれば、
大学の教職の先生もいる。
東大工学部の研究室の雰囲気は、
大学院に進学するのが当たり前というものだった。
そこで、私も東大大学院の進学の準備を始めて、
大学院の過去の入試問題も集めていた。
そのとき、両親が大学院の進学を認めるかな、
という漠然とした不安があった。
実は、高校3年のとき、父が東大受験に反対している。
父によると、東大でなく、地元の国立大学に進学しろ、
というのである。
私が通っていた高校は進学校であり、
毎年、10人~20人東大合格者を輩出している。
高校時代の成績はトップ争いをしており、
10~20人という枠なら余裕で東大合格圏であった。
数学は極めて得意であり、
センター試験レベルなら数学で満点である。
それなのにかかわらず、父は東大受験に反対したのである。
経緯は省略するが、結局、東大を受験して、
ストレートで合格している。
このとき父は私立大学の進学を認めないだろうと考えて、
滑りとめとして私立大学は受験していない。
東大一本勝負だった。
大学4年のとき、このようなことを想い出して、
父は再び大学院進学を反対するだろうと予想した。
そこで、頭を使った。
父が反対しても、
大学院進学を成功させるのにはどうしたらよいか、
ということである。
色々と調べると、アメリカ留学に関しては
奨学金を提供する団体が色々あることが分かった。
そこで、アメリカの大学院に進学して、
奨学金で学費、生活費を賄うというのが基本方針になった。
大学4年のとき、大学院進学の準備だけでなく、
奨学金の受給、アメリカ留学の準備を始めたのである。
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