最近の大学知財の現状を見ていると、特許ライセンスの収入がかなり減って来ているようだ。
一時は7000万位あった大学も2000万とかになっていた。
これは知財本部ができたころは、フレッシュないい研究成果を特許化してライセンスできたが、それが一巡すると新しいネタが出なくなり、先細りになってきたような感じである。
そういう大学の悩みはやはり、知財部のコストセンターとなっている状況を何とかしたい、ということのようだ。
売れない特許ばかり抱えていてもお金がかかるだけで、赤字を垂れ流しているようなものだ。それなら研究費に回した方がいい、という人もいるだろう。
企業であれば、防衛特許とか、カウンター訴訟用に使わない特許を持っておくことも意味があるが、大学ではそういう特許を持つ必要はない。
ライセンスできる特許でなければ持つ意味が無い、と言いきってもそれほど外れてはいないだろう。
だから、大学知財部としては、何とかして特許を収入に結び付けたいと考えている。
そういう手伝いを弁理士ができればいいのだが、業界全体の技術動向に通じた弁理士はそれほど多くはないように思われる。むしろ、企業のライセンス部長や研究企画部長とかの方が良く知っているだろう。
しかし、弁理士も業界情報に詳しくなることは、可能な場合もある。そうした中で、既に発表されている情報で有益な情報を大学に提供することは可能ではなかろうか?つまり、新聞情報とか業界紙に出ている程度の情報であれば大学に流しても問題ないと思われる。
それでも、直接のクライアントの事業に関わる情報は出すわけには行かないのでそういう意味では弁理士が業界情報をコンサルするというのはかなり難しい気もする。
大学知財本部とかTLOがコストセンターとなり、ただでさえ減りつつある運営費交付金から特許費用を数千万円確保するのは必ずしも容易ではないだろう。知財本部とか、TLOを無くする大学も出てくるかも知れない。いや、現につぶれたTLOもある。
今後も知財収入があまり伸びないようなら大学知財本部やTLOの存在意義が問われるようになるのではなかろうか?