第3章 直流電動機 3.4 回転子の巻き方

 

 直流電動機の波巻や重ね巻は、直流発電機と同様の構造になっています。

 

 そんな波巻や重ね巻が、どのような構造となっており、どのようにして機能しているのかについては、第2章(直流発電機)で解説済みです。

 

 本節では、そんな波巻や重ね巻が、直流電動機に採用されても問題なく機能するのかということに焦点を当てた解説になっています。

 

 電験三種のトルクに関する公式(トルク={<極数×回転子を構成する導体棒の総数>÷<2π×回転子回路の並列数}×<磁極毎の磁束数×電源から供給される電流>) や逆起電力に関する公式(逆起電力={<極数×回転子回路の導体棒の総数>÷<60×回転子回路の並列数>}×<磁極毎の磁束×1分毎の回転数>)では、波巻や重ね巻での極数や並列数の取り扱いが異なっていることから、波巻や重ね巻ごとに、これらの公式の導出方法を理解しておくことが非常に大切です。そうでないと、単なる暗記と変わらない勉強になってしまい、苦痛です…

 

 そうは言っても、直流電動機の回転子に生じる電磁力の分布(大きさや向き)や、各導体棒の起電力の分布は、回転子上において一様ではありませんし、ましてや波巻や重ね巻と言った複雑な巻回方法を採用している場合には、その分布を考えることは容易ではなく、それらの分布に基づき導出されるであろうトルクや逆起電力に関する公式をどのようにして導出したら良いのか悩ましい問題です。

 

 巷の解説では、普通そんな疑問を抱くこともなく、かつ、その疑問に対する答えを素っ飛ばして、次のような回転子回路(図1)をいきなり使用し、かつ、何の断りもなく各導体棒の電磁力(トルク)や起電力は一様であるとして、単に算数的に説明していることが殆どです。(電験三種の機械分野が難しく感じられるのは、このような「いきなり」「何の断りもなく」「単なる算数的」という解説が横行しているからだと思われます。)

 

 

 そこで、本節では、単なる算数的な処理ではなく、次の図2に示すように電磁力や逆起電力の回転子上での分布状態や導体棒の総数の解釈を踏まえて、波巻や重ね巻を採用した直流電動機からのトルクや逆起電力に関する公式の導出方法を紹介しています。

 

(その解説は本書に記載されています↓)

電験三種向け 発電機・電動機・変圧器の解釈 - 基本原理から公式の詳細 - | パテレクト (patelect.base.shop)