第2章 直流発電機 2.5 回転子巻線の巻き方

 

 「波巻」を採用した多極の直流発電機は、簡略化して示すと、次の図1に示すような展開状態になります。

 この程度であれば、よく見かける解説です。しかし、並列回路数やブラシ数が分かる位で、暗記要素しかありません…。

 

 実際、この程度の情報でも、電験三種の誘導起電力を算出する問題には十分に対応できるようには思います。

 

 図1を深く考えず暗記することに抵抗なければ、それでも構わないと思います。

 しかし、理屈からしっかり学習したいタイプの人にとっては、暗記は苦痛ですよね…

 

(私の経験則では、試験に合格するには暗記も必要なのは事実ですが、理屈からしっかり学習した上での暗記は記憶の持続期間も長く、仮に忘れても覚え直す際の時間が短くて済みます。なので、理屈タイプの人は、遅かれ早かれ試験合格する要素を兼ね備えてると思いますので、頑張ってください。)

 

 しかし、実際に図1に示したような並列回路は、このように単純なものではありません。各並列回路は、波巻の基本単位と言われるループが幾重にもなって構成されており複雑です。また、そのループを構成する導体棒の位置も画一的ではなく、それゆえ導体棒毎の誘導起電力が同方向・同サイズになるという単純な話ではありません。

 

 それにも関わらず、よく見かける誘導起電力Eの公式(E=(pz/60a)ΦN pは極数、zは回転子導体棒の総数、aは並列回路数、Φは磁極毎の磁束、Nは1分毎の回転数)の導出過程においては、導体棒毎の誘導起電力が同方向・同サイズになっているとして取り扱われており、公式の理解において疑問が残る原因になっていると思います。

 

 そこで、本節では、波巻の理解を深めるべく成功例と失敗例に分けて解説し、かつ、波巻を前提とした誘導起電力の公式の導出方法について解説しています。

 

(その解説は本書に記載されています↓)

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